『東京人』地図と写真で旅する探偵散歩。本日発売。表紙に使用した江戸川乱歩は、96年に最初に作った乱歩である。これを抱え、友人を見張りに撮影禁止の所などで随分撮影したものである。思えば作家シリーズで苦楽を共にした、というと、この最初の乱歩であろう。背景は線を引き、塗りつぶしたりして制作した浅草十二階である。乱歩が弟等らと団子坂で営んだ三人書房と、それを向かいの白梅軒から眺める明智小五郎のニカットも掲載されている。三人書房のシヨーウインドーの中には『ドグラマグラ』『虚無への供物』『黒死殺人事件』いわゆる三大奇書を並べてある。誌面では判らないし、もちろん、時代を無視した悪戯である。 いつもは連休、正月、お盆などは、社会人が休んでいるし、そこはかとなく漂う罪悪感も感じず制作に没頭出来るのだが、しかしここに至り、仙人を作りながら罪悪感もないだろう。