夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『日輪の遺産』

2011年09月11日 01時44分05秒 | Weblog
 小さいことの例えだが、日本人はいつから、電車の床に座り込んだり、電車の中で化粧をしたり食事をするようになったのだろう。ダラダラ歩いたり、周りを気にせず、自分に甘く、緩くなったのは、いつからなのだろう…。日本人としての気概、気品や気高さがなくなってきたのは、いつからなのだろう。
 この映画は、まだおよそ60年くらい前にあった話。現代の日本人が先祖から受け継いできたものは何か。先祖が国を守ってきたから、今の自分たちが生をうけてきたということを、魂で感じさせる。
 昭和20年8月10日。陸軍の真柴少佐は、阿南陸軍大臣らに呼び出され、ある密命を帯びる。それは、山下将軍が奪ったマッカーサーの財宝900億円(現在の貨幣価値で約200兆円)を陸軍工場へ隠匿すること。その財宝は、敗戦を悟った阿南陸軍大臣らが、復興支援のために使おうとする資金であった。真柴は、小泉中尉、望月曹長と共に任務につく。そして、勤労動員として20人の少女と、教師一人が集められる。
 勤労の内容について知らされていない少女たちであったが、日本国のために懸命に働く。だが、任務の終わりが見えたころ、少女たちに非情な命令が下される。
 登場人物、どの視点からも見ることができる。軍人として、勤労動員の少女として、また現代の人間として、というように。戦時ものとしての、激しい戦闘シーンがあるわけではないが、スケールのある良作である。
 原作は「鉄道員」「地下鉄に乗って」「蒼穹の昴」の浅田次郎。監督は、『半落ち』の佐々部清。真柴少佐には『武士の家計簿』『ゴールデンスランバー』の実力派俳優、堺雅人。真柴と行動を共にする小泉中尉に福士誠治、望月曹長を中村獅童が演じている。3人の男と少女たちの生き様が、心を熱くし、忘れていた感情を呼び覚ましてくれる。