シリーズ累計発行部数1億2千万部を誇る荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョ
の奇妙な冒険」から生まれたスピンオフ「岸辺露伴は動かない」。
20年にNHKで高橋一生で実写ドラマ化され、話題を呼んだ。そのチームでの映画化
となる。
特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴(高橋一生)は、青年時代の露伴(長尾謙杜)が淡
い思いを抱いた女性(木村文乃)から「この世で最も黒く、邪悪な絵」の噂を聞く。
時が経ち、露伴は新作執筆の過程でその絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを
知る。取材とかつての淡い思いを抱いて担当編集者の泉(飯豊まりえ)と共にフラン
スを訪れる。しかし、職員でさえその絵の存在を知らないという。だがデータベース
に出たその保管場所は今は使われていないはず「Zー倉庫」だった。
露伴は、“黒い絵”が引き起こしてきた出来事を知ることになっていく。隠されていた
真実とは。
国を超えて、時空も超えて進んでいく壮大で奇想天外な物語。高橋一生が八面六臂の
活躍を見せる。ドラマでもいい…という場面はあるのだが、何といってもルーヴル美
術館の映像は見ごたえあり。スクリーンの大画面に貴重なモナリザの絵が映る。巨大
で美しい建物も見逃せない。
撮影許可が下りたのが凄いが、撮影そのものは何時に行ったのだろうか?早朝か、深
夜か?そんなことも頭をよぎりながらの鑑賞ともなった。物語の世界観はドラマ同様
に楽しめるものとなっている。
出演は他に、ルーブル美術館のキュレーター辰巳隆之介を安藤政信、文化メディエー
ション職員を美波が演じる。
★閑話休題
原田マハの小説に「美しき愚かものたちのタブロー」という本があるのだが、いわゆ
る“松方コレクション”について書いてあるもの。松方幸次郎が私財を投じて買った絵
画は、戦争中ひそかにフランスに預けられていた。戦後、戦勝国フランスと敗戦国の
日本が返還を求めて交渉する。その一筋縄ではいかない交渉。そして、どのようにし
て守られてきたのか、壮大な話となっている。フランスにある日本の隠された絵画、
という一つのポイントに反応してしまった当方である。