独身の大場美奈子(田中裕子)は、朝は牛乳配達、その後はスーパーでのレジ担当で生活している。
仕事が終わったあと、たくさんの本が詰まった家で過ごす日々だ。
子どものころ、“私はこの町から出ません”と宣言してからそれを守りとおしている。
高校のころ、心を寄せ合っている男子生徒・高梨がいたが、ある事件が起こり、それ以来、疎遠と
なっている。しかし、同じ町の公務員(市役所の福祉課)として勤務する高梨(岸部一徳)は末期
癌の妻・容子(仁科亜季子)を自宅で看病してきた。だが、ずっと美奈子は高梨への気持ちは持ち
続けてきた。そんなある日、美奈子はラジオに自分の思いを綴ったハガキを出す。
「私には大切な人がいます。でも私の気持ちは絶対に知られてはならないのです…」
坂の町を自転車と走りで牛乳配達をする姿。懐かしい、牛乳配達そのものが。今はスーパーで紙
パックに入れたものを買うようになってしまって、近所の牛乳販売店がなくなってしまったことを
思い出した。瓶で飲んでいた牛乳、おいしかった記憶。
で、この作品は“大人の純愛”がテーマ。田中裕子と岸部一徳の淡々とした演技。そこにある中の
心の熱さが感じられてお見事だった。
2004年公開作品。エンドロールを観ていくと、江口のりこの文字が!
んんん、江口のりこってあの江口のりこ???若い時よね、と思いつつエンドロールが終わった
ら最初に戻って早送り。そして確認。
たぶん、あのシーンということで出ていた!
気づくでしょうか。
そして、本が好きな私としては、本が詰まった部屋が素敵で、こんなふうに埋め尽くして
みたいと思った。
美奈子の近所に住む小説家を渡辺美佐子、スーパーの店長を香川照之が演じている。
他に、杉本哲太と鈴木砂羽。この二人にも注目してほしい。