北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

トルコ南部地震-甚大被害のシリア反政府勢力滞る支援,国連支援漸く-アサド独裁政権に被災地支援の方針無し

2023-02-12 07:00:01 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南部地震
 崩れている建物の様子が阪神大震災よりも遥かに多い状況故に心が痛むのですが。

 トルコ南部地震、犠牲者は2万4000名という状況でして、行方不明者の救出を進めれば進むほどに犠牲者の素ゆじだけががってゆくという状況です。阪神大震災の様な直下型地震が脆弱な建物を襲い、トルコの耐震基準は近年強化されているものの、耐震基準通りでは中所得層には建築費が大き過ぎる点が、脆弱な建物を多くした状況があります。しかし。

 内戦中のシリア領内、反政府勢力掌握地域での被災状況が、全く支援が届かないという点で深刻です。10日に国連の車両が漸く人道物資を搭載し到着しましたが、人道物資は毛布とテント、被災地が必要としているのはまだ瓦礫の下で助けを待つ膨大な行方不明者を救出する建設機械と専門のレスキュー要員ですが、こうした支援の手は伸びていません。

 シリア領内へ、例えばPKO部隊等を派遣し一時的に人道支援を実施した場合にシリア政府軍からの攻撃等を阻止する人道介入ができれば理想的なのですが、現在のPKOは2002年依然と異なり、安全保障理事会の所管である為に大規模地震災害が果たして安全保障理事会を招集する対象であるかについても、現在の国連は前例踏襲主義を堅持する状況です。

 紛争地での人道問題、これは大規模災害であった場合でも国連以外の主権国家が紛争当事国の了承なしに介入することは、いわゆる“国境を越えた義務”のような人道介入として看過しうるのか、それとも政党政府との紛争問題に発展する可能性から自重するべきなのか、国際人道法は、地域紛争や内戦を扱っても紛争地での大災害には未着手という部分が。

 PKO国連防護軍など、安全保障理事会の所管以外での、国連人道支援軍のような組織を総会において、これは恰も過去、スエズ危機に際して安保理の米ソ対立による拒否権行使が朝鮮戦争のような国連軍編成にたどり着けず、国連総会が独自のPKO国連平和維持軍という新組織を立ち上げた様な、こうした決断が必要なのかもしれません、前例を覆して。

 国連憲章には加盟国の義務として国連の支援義務が明記されています、その支援の定義が曖昧ゆえに国連創設当時の各国軍隊の指揮系統統一というような壮大な展望は、そもそも軍事参謀委員会さえ70年近く招集されておらず、30年以上前の湾岸戦争の際には、軍事参謀委員会室の鍵が見つからないと騒がれていましたが、各国へ支援要請位はだせるはず。

 復興やインフラ整備についても、反政府勢力掌握地域での復興支援は、ともすれば反政府勢力支援と反論され、支援国が係争当事国になりかねないという非常に大きな問題を突き付けるのですが、他方今回の震災の破壊状況を見る限り、だからと言って反政府勢力の減衰に繋がる様子をシリア政府が奇貨として受け取ることを看過することもまた人道問題だ。

 今回の巨大災害は、震災という点単体で見ても悲劇的なものでしたが、内戦中の国、しかも一方が交戦団体承認を受けず単なる一般刑法犯として戦闘員が裁かれる事例があった内戦の地域における大規模災害と国家承認などを棚上げしての支援の枠組み、こうしたもののあり方も、次に続かないでほしいのですが、次の災害に備え、検討が必要なのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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トルコ南部地震-死者2万1000名超へ,生存者捜索続く-トルコ政府初動の遅れと深刻なシリア内戦地域援助遅滞

2023-02-11 07:00:59 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南部地震
 ヘリコプターを集中投入していれば。トルコと共にシリアの反政府勢力掌握地域での被害が非常に深刻なのですが後者については今を以て支援が不充分です。

 トルコ南部地震、死者数は残念なことに2万1000名を超えているようです。ただ、トルコ政府とともにNATOなど友好国も軍隊を派遣しており、昨日はスペイン海軍の空母ファンカルロス一世から水陸両用部隊が展開している様子が報道されていました。エルドアン大統領の初動の判断に一部批判があるようですが、ただ、阪神大震災を思い出すとどうも。

 トルコ陸軍の規模は48万名と欧州最大規模ですのでもう少し何とかならなかったのか、と思うところではあったのですが、指揮系統や作戦研究として大規模災害というものをあらかじめ運用体系に盛り込んでいるのはわが国陸上自衛隊くらいですので、被災地の状況把握、必要な支援と専門レスキュー部隊との連携はある程度経験が必要となるものなのです。

 日本の場合は阪神大震災、これもせめて静岡県のような日常から防災訓練に対応している地域であったならばもう少し違った対応ができたのかもしれませんが、あれは初動が失敗であった、と政府が認め、防衛装備品や部隊運用に関する改革が行われてこその、その後の災害派遣の円滑な実施というものがあるように考えるのです、その点トルコはまだ、と。

 しかし、多用途ヘリコプターを集中投入して被災地に専門の救助技術を有したレスキュー隊を輸送する、そのためにも、バイラクタルTB-2という有力な無人航空機を多数装備しているのですから、もっと無人機を活用、この部分は陸上自衛隊が送れている点だ、無人機を潤沢に装備するトルコ軍だからこその情報収集手段はあったようにも思うのは残念です。

 シリアについて。シリアは内戦中ですが、シリア民主軍など反政府武装勢力の掌握地域での被害がかなり甚大で、報道によれば日本時間9日にようやく最初の国連からの車両が現地に入ったという、被災者、特に倒壊家屋の下の生存者が助かる時間内には国連からの支援もほとんど届かなかった、という点は非常に残念です。紛争地の災害、検討せねばなりません。

 紛争地の災害というものは、人道的介入という意味合いは有していても、紛争当事国にとり第三国の介入として紛争を拡大させる可能性がありますが、一方の勢力に対して肩入れしていると認識されたとしても、現状、あの規模の災害を看過する事はやはり人道上問題の方が大きいのです、この点で今回のシリア人道支援は失敗と云わざるを得ません。

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トルコ南部地震-死者1万名超す,迫る"人命救助-72時間の壁"救助活動尽力の努力と届かぬ支援の現実

2023-02-09 07:01:44 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南部地震
 小牧基地では地震の在った当日も日常訓練が続いているのですが、トルコは欧州NATO最大というかなりの規模の陸軍を有しているもののこういうときには不足する、支援できないものか。

 トルコ南部地震、死者数は時間と共に増大しており、直下型の振動周期が短く瞬間的な揺れが集中して建物に負荷をかける揺れが、現地の構造物、特にトルコの現在の耐震基準よりも前に建設された建物、中層建築物を崩壊に至らせたという、パンケーキクラッシュ、こう説明される、一つの階層が崩壊する事で将棋倒しのように潰れる破壊が多数あった。

 シリアとトルコの死者数は1万1200名と日本時間8日時点で大台を超えており、兎に角救助隊を現地に運び込むためのヘリコプターと機動車輛の不足が現地から伝わります。この点、思い切ってトルコの加盟するNATOと共に日本もUH-1多用途ヘリコプター位を災害派遣という事で輸送機により現地へ展開させられないものか、と考えるのですけれども。

 72時間、過去には瓦礫の下で一週間以上生存した事例もあるのですが、これは奇跡的な救助事例というものであり、一般論として瓦礫に閉じ込められ、飲食出来ない状態で体の一部が圧迫され続けている状況での人命生存時間は72時間を境に急激に生存性が下がるとされています、だからこそ急いている一方、現地では支援の届かない現場も多い現状がある。

 阪神大震災における災害派遣の自衛隊記録を当時の中部方面隊がまとめた資料があるのですが、鶴嘴や円ぴでの災害派遣、つまり専門工具の無い当時の災害派遣装備では、普通科部隊などは、倒壊したビルの生存者を探すにも、叩いても先ず穴をあける事が難しい、一つ穴をあけたとしても、中の生存者を探せる規模までは人力では無理、できなかった、と。

 人命救助システム、陸上自衛隊は全国の駐屯地へ阪神大震災の教訓を受け、災害派遣に際してまず必要であった装備品、一つ一つは専用装備でも、また高いものではなく可搬性が有るものの、しかし災害現場には在りそうでないものを一つのコンテナに収容した人命救助システムという装備品を阪神大震災以降、極めて短期間で全国の部隊へ配備しました。

 エンジンカッターにエアジャッキと油圧式ジャッキ、エンジン削岩機と手動式ウインチ、可燃性ガス検知装置に捜索用音響探知機や非破壊構造物探知装置、小型消防装備と携帯式消火装置、作業用照明装置に発動式発電機、移動式トイレなど。こうしたコンテナごと減りでも運べる装備品を被災地に運び込めないものか、災害報道を前に考えてしまいます。

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トルコ南東地震-トルコシリア両国死者6000名規模へ,トルコに国際緊急援助隊集結も課題は被災地への機動手段

2023-02-08 07:00:44 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南東地震
 建物が倒壊する様子は心が痛むとしか言いようが有りません。前回のトルコ地震では自衛隊の掃海母艦と輸送艦と補給艦が派遣されましたが海上移動は時間を要する。

 トルコ南西地震による死者数は6000の大台に乗ろうとしています、エルドアン大統領は10県に非常事態宣言を発令したとも報じられていますが、同時に首都アンカラやイスタンブールでは被災地へ向かう救助隊や国際救助部隊とともに有志のボランティアが集まり始めているという心強い一報も入っています。こうした中で課題は被災地への移動手段だ。

 1999年トルコ地震に際しては海上自衛隊が新鋭の輸送艦おおすみ、以下3隻へ被災地支援物資を載せて派遣していますが、2010年パキスタン地震では陸上自衛隊のUH-1多用途ヘリコプターをC-130H輸送機にて輸送し、山間部の被災地支援や救助活動に充てた事例があります、輸送艦では時間がかかるが、C-2輸送機ならばトルコまで充分展開可能です。

 被災地へ救助部隊が入るにはヘリコプターや車両が不足しているということで、日本時間7日の時点で既に各国からは12の救助隊1400名が集結、8日には更に27の救助隊がトルコへ到着するという、しかし、車両が充分なく被災地へ入れないという。具体的には、国際救助部隊は各国の消防や警察などの専門レスキュー部隊を中心に編成されています、が。

 レスキュー部隊は空挺部隊ではなく、移動は基本的に旅客機により展開しますそして旅客機に載せられる車輛とうものは、あるには在るのですが国際救助部隊はこうした車両を装備していません、つまり現地での移動手段が無い状態なのですね。これが軍用輸送機により展開する緊急展開部隊であれば事情は違うのでしょうけれども、現地では不足している。

 C-2輸送機にUH-60JA多用途ヘリコプターを載せて展開させる必要はないか、もちろんトルコはNATO加盟国ですし、ギリシャとの微妙な関係はありますが、イタリアやフランスの空母部隊や空中機動部隊に支援を要請する選択肢はあります、しかし、これは日本の2011年東日本大震災の教訓なのですが、こういうとくにはどれだけ航空機が有ってもたりない。

 日本からは警視庁などが国際緊急援助隊として出動していますが、やはり警視庁も移動は旅客機であり、現地の空港、国際線のある一定以上の規模の空港から被災地までは移動手段が無いという実情です。NATOやアメリカ軍からの支援、中国の支援なども考えられるのですが、こうした状況では被災地は一機でも多くのヘリコプターを必要としています。

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トルコ南東地震-死者3000名規模へ,双子地震マグニチュード7.7マグニチュード7.6-シリアトルコ国境襲う

2023-02-07 07:00:21 | 防災・災害派遣
■臨時情報-トルコ南東地震
 アナトリアプレートとアラビアプレートが重なるトルコ南東部において巨大地震が発生しました。

 日本時間6日、トルコ南西部において二度にわたる大規模地震が発生し3000名規模の死者が出ています、地震はトルコ南西部からシリア国境地域に掛けて朝マグニチュード7.7の地震が発生し、救助活動を本格化させようとしている6日夜に再度マグニチュード7.6の巨大地震が現地を襲いました、速報での死者数は400名でしたが被害の全容が明らかになると、

 エルドアントルコ大統領は、倒壊した建物が2800を超えているとの情報に触れ、被害の全容はまだ把握できてないと発言しています。マグニチュード7.7と7.6、震源の深さは7kmと浅く、激しい揺れが耐震性の低い建物を中心に大打撃を与えたようです。本震と思われたものが前駆地震であり双子自身の様に巨大な前駆地震に続いて同等の本震が襲う。

 本震の双子地震は2016年熊本地震がこれに当りますが、今回のトルコシリア地震もこれにあたります。なお、松野官房長官によれば、現地大使館が現在情報収集中であるとしたうえ絵、現在のところ在留邦人に被害の情報は無いとしていますが、日本大使館により在留者一人一人にメールを伝送し安否確認を行っている最中であるとも発表しました。

 トルコシリア国境地域は民族問題なども複雑な要素を構成していますが、伝統的建造物と住居の構造に煉瓦積様式を用いた住宅や中層建築物が多く、最初の大きな揺れとともに本格化した救助活動、生き埋めとなった住民救助中に現地時間1930時に再度発生した大きな揺れが、半壊した家屋での救助活動中の最中に全壊させ、被害が拡大した可能性もある。

 日本からの支援しては、東京消防庁の国際消防救助隊がさっそく羽田空港から出発しましたが、人員は18名となっています、続いて派遣される可能性もあるのですが。岸田総理大臣はお見舞いの声明を出していますが、航空自衛隊輸送機による支援物資搬送などの動きは今のところありません。ここ数年間、トンガ噴火災害など、人道支援は始動が遅い。

 トルコでの巨大地震、過去には1999年にトルコ西部イズミットを震源とした巨大地震では、死者数1万7000名と、東日本大震災に迫る規模の死者があり、この際には海上自衛隊は、輸送艦おおすみ、掃海母艦うらが、補給艦とわだ、三隻からなる国際緊急援助隊を派遣、トルコでは数百人の死者を出す地震がその後もありますが、数千名規模は1999年以来です。

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1.17:兵庫県南部地震-阪神大震災発災28年,追悼祈念するとともに改めて考えたい次の災厄への備え

2023-01-17 07:00:10 | 防災・災害派遣
■阪神大震災発災28年
 わたしは揺れを直前に目覚めた事で不気味な地鳴りから経験した世代なのですが、もう28年となるのですね。

 本日は兵庫県南部地震-阪神大震災28年目の慰霊の日です。早朝に派生した巨大地震は、当時比較的長い期間に渡り関西地方では巨大地震が発生していなかったという事情とともに、局地的に激しい揺れを引き起す逆断層型直下型地震により、神戸市を中心に激甚な被害をもたらしました。この追悼を祈念すると共に、今生きる私たちは次に備えねばなりません。

 巨大地震は必ず再来します、それはこの文章を読まれているこの瞬間かもしれませんし、明日かもしれません。地震予知技術は限界があり、台風のような兆候がありません。しかし火山性地形の大陸外縁弧状列島である日本列島は絶え間ない地殻の圧力に曝され、かならず次の巨大地震は発生します、それは早いのか遅いのかだけが問題というべきでしょう。

 防災分野でのオペレーションリサーチが必要だ、これは具体的に言えば、南海トラフ地震など、どの程度の人的被害が発生するかという研究は一応ある訳ですが、どの程度の物資が不足するのか、想定被災地に備蓄されている物量がどの程度津波被害に巻き込まれるのか、民間備蓄など都市が有する備蓄能力の被害想定、この具体的な数値がありません。

 道路は何処まで機能するのか、橋梁の破損は勿論建造物の倒壊などによる交通障害による物資輸送基盤の破綻というものも考えなければなりませんが、こうしますと想定しなければならない係数が肥大化しすぎ、ある種の不確定要素により結果が大きく偏移してしまう、こうした批判はあるでしょう。ただ、数値が無ければ準備ができないのも事実なのです。

 三日間の備蓄を、こう防災に際しては内閣府などから提唱されているのですが、しかし、備蓄した家屋が津波で流失した場合はどうするか、火災の延焼により防災倉庫そのものが被災する想定も必要でしょう、特に現代日本では破損した橋梁は安全が確認できるまでは長期間通行止めとしてしまい、破損状況でのどの程度までの通行可否の研究が不充分です。

 防衛崩壊、任務増大による予算不足を受け阪神大震災や東日本大震災の頃よりは自衛隊が災害派遣に避ける余力は年々低下しています、いや、だからこそ確実に到来する巨大地震というリスクに対して、どういった物資が不足するのか、どういった輸送手段の問題があるのかを曖昧な数字ではなく事前に研究し、備える事が非常に重要なように思うのです。

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兵庫県南部地震/阪神大震災から17日で28年-考えねばならない地域防災能力強化と住民負担

2023-01-15 07:01:05 | 防災・災害派遣
■追悼-阪神大震災
 次の災害に備える事こそ追悼と祈念のかたちとおもう。

 来週17日は兵庫県南部地震阪神大震災28年目の慰霊の日です。震災記憶の風化という時の経過と共に顕在化する認識があるようですが、実際のところは日本列島は新潟中越地震に長野県北部地震や鳥取県西部地震、東北太平洋沖地震東日本大震災、熊本地震に胆振東部地震と繰り返される地震被害により、防災という認識は一定程度定着しているとおもう。

 阪神大震災、しかし考えなければならないのは、災害について少子高齢化と地域過疎化による地域防災組織の弱体化が指摘される一方、地域防災組織の代替に阪神大震災以降依存度が高まっている自衛隊災害派遣、こうした制度の依存度の高まりが、長年続いた防衛費の抑制と昨年大転換を果たした安全保障政策の見直しにより見直しを求められる可能性が。

 1995年阪神大震災、この頃の日本における安全保障制度は現在よりも超法規措置を前提としたような未整備を有事の際に緊急整備するという建前での整備が進められ、いわば置き去りとされていました。この状況に社会党政権である当時の村山政権も、また兵庫県の貝塚知事を中心とする県庁も対応出来ず、自衛隊も法の枠内での行動に批判が集まりました。

 転換点となった、こう考えるのは続く橋本政権時代の周辺事態法整備と共に小泉政権での有事法制整備と共に、安全保障に関する議論が禁忌から危機管理の重要性に移り変わる景気が阪神大震災であり、また所謂革新自治体であっても災害派遣や防災訓練への自衛隊参加は自然な流れとして定着してゆく事となりました。もちろん、それだけではないのだが。

 法整備の背景には朝鮮半島有事、特にクリントン政権時代にかなり高い可能性として朝鮮半島核危機への米軍介入のリスクがあり、この為の法整備という背景はありました。ただ、この議論を単純に禁忌とさせなかった国民世論の背景には、巨大地震、別の軸線ではあっても国民全体が危機管理というものを認識させる事例が有った為ともいえるでしょう。

 しかし、二つの意味で、次の巨大地震に備えるには自衛隊への依存度から自治体防災、これは消防団や水防団への参加強化と、防災資材蓄積への住民負担、こうした厳しい視点を含めて住民自らが民間防衛という視点で参画を求められる可能性があります。まず防衛力の崩壊、緩慢に進んでおり気付かないでしょうが予算不足は着実に影響しています。

 2011年東日本大震災の時点から比較しますと、ヘリコプターはかなり縮小されました。いや1990年代に多用途ヘリコプターの師団配備など空中機動力強化という流れが有りましたので、2011年の時点では惰性のように航空機が充分あったという背景もあるのですが、これは10年以上前の話であり、老朽化した機体を更新できず、定数割れ部隊がかずおおい。

 安全保障政策の転換も影響しています、防衛費が増額される、防衛費GDP2%という方針が示されましたが、しかし、増額される防衛費は防災にも転用できる各種装備というよりも長距離打撃力整備などに用いられる指針であり、昔の様に、いや今までの様に自衛隊災害派遣能力に依存するのは難しくなる、こうした認識と備えが、必要なのかもしれません。

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F-2戦闘機に偵察任務を!高い即応性と機動力,百里基地F-2戦闘機にMS-110航空偵察ポッド搭載すべきだ

2022-11-24 07:00:52 | 防災・災害派遣
■戦術偵察機が必要だ
 昔は偵察器材が重く偵察機は専用の機体が必要でしたが現代では戦闘機の多用途性が向上し戦闘機をそのまま戦闘機にも偵察機にも転用可能です、偵察ポッドさえ積めば。

 百里基地のF-2戦闘機にMS-110航空偵察ポッドを搭載し、有事の際には難しくとも平時における災害派遣へ航空偵察能力を構築することはできないか。航空自衛隊には現在既にRQ-4グローバルホーク偵察機の配備が開始され、RF-4戦術偵察機退役後、災害時に航空偵察を行う手段がない、という状況か改善の見通しが立ちつつあるのは理解するのですが。

 RQ-4グローバルホーク無人偵察機、しかし、その後幾つかの台風災害や航空自衛隊が戦闘機を緊急発進させる震度五強以上の地震が発生した場合でもRQ-4を展開させたことはありません、そしてなにより、無人偵察機であり滞空型無人機であるRQ-4は、何かあったときに緊急発進させ現場に急行させるという運用を想定した戦術偵察機ではないということ。

 戦術偵察機は素早い速度で偵察地域へ展開することが可能ですし、なにより戦闘機を転用しているのですから緊急発進へ短時間で離陸させる設計思想に基づいています。現在の災害でも一定以上の地震では戦闘機を緊急発進させ目視で偵察、昼間であれば国籍不明機撮影用にデジタルカメラも載せていますが、夜間は目視、偵察能力は低いことは否めません。

 F-2戦闘機ならば緊急発進の待機を行っています、もちろんスクランブル待機のF-2戦闘機にMS-110偵察ポッドを常に搭載するわけには行かないので、災害があった際にポッドを装着するための数時間はかかるのですが、なにもないよりは、情報収集を素早く行うことが可能です。松島基地の航空教育集団隷下のF-2Bが使えればいいのですけれど、どうか。

 MS-110は戦闘機装着型の偵察ポッドで、デジタル画像を昼夜や気象条件にとらわれず撮影可能であり、複合光波スペクトル合成での夜間カラー画像、反射特性や赤外線特性を複合してカラー画像に仕上げる方式、被災地の情報をカラーのデジタル画像とした上で、前のRF-4と違いフィルム式ではないため、現像せず市ヶ谷や永田町へ電送可能、正に即応だ。

 偵察航空部隊の必要性を改めて感じるのですが、航空自衛隊には戦闘機の調達と部隊整備だけで手一杯という状況があります、いやMS-110はメーカーによればビジネスジェットにも搭載できるというので、いっそT-4練習機に搭載、と考えるのですが空中給油できないT-4の行動範囲は限界がある、しかし現状のままでは十分に災害対応ができないのです。

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消防航空機モジュールA-400MとKC-390で相次ぎ実験,ブラックサマー豪州山林火災とC-2輸送機消防機転用案

2022-11-17 07:01:44 | 防災・災害派遣
■大規模火災を考える
 日本にも必要という単語を安易に使わないように考えているのですが費用対効果が高く汎用性のある装備の活用方法については考えてしまう。

 エアバスA-400M輸送機とエンブラエルKC-390輸送機、新進気鋭の輸送機が今年相次いで消防装置の評価試験を実施しました。これは消防用航空機ではなく、既存輸送機に放水用モジュールを搭載することで短時間で輸送機を消防用に転換する、輸送機の汎用性を示したものですが、これの機能は我が国のC-2輸送機にも必要な能力ではないでしょうか。

 山林火災、懸念するのは気候変動により我が国においても大規模な森林火災が発生する危惧があり、消防車の入れない錯綜地形、防災ヘリコプターや自衛隊のヘリコプターが搭載するバンビバケットによる消火だけでは対応できないような火災を、防災リスクとして考える段階に来ているのではないかという事、この種の火災は北米や豪州で多発しています。

 オーストラリア森林火災、2019年から2020年に発生した森林火災では、その喪失面積が例にないほど大きく、自然災害としては過去最大と視る学者もいるとのこと。実のところ例えばVEI火山爆発指数7以上の噴火に比較すると限られた被害にも思えるのですが、オーストラリアに限っていうならば、まぎれも無く史上最悪の自然災害といえるでしょう。

 ブラックサマーと呼ばれたこのオーストラリア森林火災、2022年2月にも600万平方メートルが焼失する森林火災があり、2020年から2022年までの火災では、例えばコアラだけで全生息数の三割が死亡し、オーストラリア政府は東部地域のコアラを絶滅危惧種に指定する深刻な事態となりました。日本の防災はかつては水害、地震と津波に偏重しています。

 オーストラリア山林火災は、かなり高い火災旋風が同時発生し地上やヘリコプターからの放水は出来ない状況であり、消火活動には限界がありました。影響は甚大で焼失地域では90%の動植物が死滅し、生態系ごと崩壊したと考えられる種もあり、半年後の雨季により、焼失地域の砂漠化は回避されたようですが、ひとたび火災が発生した場合の危険性を示す。

 C-2輸送機は各国が輸送機用に開発したモジュールをそのまま搭載可能です。消防といえばUS-2飛行艇を消防用機に転用する選択肢もあるのでしょうが、US-2は外洋で発着できる点が強み、海水は船舶火災や沿岸工業地と都市火災の消火に有用ですが、森林火災に用いた場合は塩害の懸念が生じます、この点からC-2で、森林火災対処を検討するべきです。


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フロリダ州-ハリケーン“イアン”は過去最悪級の被害,バイデン大統領は初期情報で大規模人的被害に懸念表明

2022-10-01 07:00:16 | 防災・災害派遣
臨時情報-ハリケーンイアン
 ハリウッド映画等ですと大災害がアメリカで発生すると大編隊のヘリコプターが救助へという印象があるのですが、現実は厳しいのかもしれません。

 アメリカのフロリダ州に上陸したハリケーン“イアン”は過去最悪級の被害をもたらしたという懸念があるようです。これは2005年8月にアメリカ南東部を蹂躙し甚大な被害の爪痕を残したハリケーンカトリーナに並ぶものと危惧されていますが、なによりこのハリケーンイアンは9月28日に中心気圧942hPsというカテゴリー4の規模に成長していました。

 フロリダ州では沿岸部250万の住民に広域避難を勧告しています、これは日本の避難勧告のような近所の学校に避難するのではなく、浸水する可能性のある地域から住民をハリケーンの進路外に移動させる避難勧告であり、特に高潮被害が3.7mとなる予測が出されていた事から、その深刻度合いが分りますがハリケーンは大西洋上で一旦は熱帯低気圧となる。

 ハリケーンイアンは、しかし熱帯低気圧となったものの大西洋上で勢力を増し再度ハリケーンとなった上でノースカロライナ州に再上陸しています。そしてこのハリケーン被害において深刻なのは、被害の全容がハリケーン上陸から三日を経ても、未だ全容が判明していないという点です。この点についてはジョーバイデン大統領も危機感を表明しています。

 バイデン大統領は、人数はまだ不明だが相当の人命が失われている可能性を示す初期情報が入っている、としていまして、フロリダ州市追う最悪の死者を出すハリケーンとなった可能性がある、こう表明しています。フロリダ州消防局長、フォートマイヤーズ市、オーランド市、リー郡、地域単位で水没している地域があるとし、救助隊も進めないという。

 日本とアメリカの災害における公的機関の制度の違いが、端的に分かるといえるのかもしれません。日本では消防が東京消防庁を除けば市町村単位で整備されているのに対して、アメリカでは州政府が統括する制度があり、同時に大規模災害への対処能力が充実しています。対して日本では市町村消防に対応できない場合は、自衛隊へ災害派遣を要請します。

 大規模土木工事は逆にアメリカでは陸軍工兵隊の所管です、これは30年ほど前まで自衛隊で維持されていました地区施設隊の制度と重なる、具体的には制度設計でアメリカを模倣したのですが、大規模な堤防造成と治水工事はアメリカでは民間ではなく工兵隊が担うのです。即応性等の違いはありますが、アメリカの災害対処というものを見守りましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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