北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊 下志津駐屯地創設52周年記念行事速報

2007-04-30 22:01:47 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■最新装備“中SAM”猛訓練実施中

 高射特科部隊は、対空戦闘を受け持ち、戦場防空及び後方の策源地防空を以て作戦行動全般の遂行を担保する。この専門教育、特技教育を受け持つのが、下志津駐屯地に所在する高射学校である。

Img_0033  現在、高射学校では、陸上自衛隊に配備が進められている新型装備03式中距離地対空誘導弾、通称“中SAM”(写真左)、その慣熟訓練、そして戦術開発を全力で進めている。これは、航空自衛隊のペトリオット(写真右)と補完し合い戦域防空を担う比較的射程の長い装備である。

Img_9707_1  高射学校は、JR総武線を千葉駅にて乗り換え、成田空港行き電車を四街道駅で下車、駅から徒歩でも15分くらいの場所に所在している。駐屯地では観閲行進に備え待機している車輌も見ることが出来、小生も見学した。写真は6連装発射機。射程は、一説には60km程あるのでは、といわれる。

Img_9715_1  駐屯地グラウンドに整列した高射学校の隊員。残念ながら逆光の撮影となっている。なお、高射学校は、隷下に各種装備の教育訓練及び支援に当たる中隊があり、全部隊の模範となるべき教育訓練部隊ということで、待機姿勢一つとってもその意気込みが伝わってくる。

Img_9727  整列した部隊の前を車輌により部隊巡閲を行う高射学校長平野陸将補。紹介では、3月30日に着任したとのことである。訓示では日進月歩の高性能化著しい航空機に対応する重要さに触れ、一刻も早く新装備である中SAMの慣熟に務めることが使命である、と訓示した。

Img_9733  観閲行進へ!。その号令のもと、64式小銃を手にした隊員が駆け足で待機位置に向かってゆく。この白い建物の裏には87式自走高射機関砲などが待機していたようだ。行進して退場する部隊と駆け足で退場する部隊があるが、高射学校では駆け足で退場した。

Img_9778  ライト眩しく、本部管理中隊の対空レーダー車輌などとともに、高教-1と書かれた81式短距離地対空誘導弾セットが行進、その後方には第二中隊の93式近距離地対空誘導弾が観閲行進を行っている。この二つの装備が、師団高射特科大隊の対空装備となっている。

Img_9801  03式中SAMも観閲行進に参加する。写真はレーダー車である。この中SAMシステムを輸送する車輌として、かなり大きめの車両が新規開発されており、重装輪回収車などファミリーを構成している。横幅が広く、公道での運転には注意が必要とのことだ。

Img_9813  改良ホーク3型に続き、第三中隊の車列が、96式装輪装甲車を先頭に進む。3輌が参加した87式自走高射機関砲は戦車部隊の対空防御を主眼として開発されたもので、戦車師団である第七師団の第七高射特科連隊や、戦車連隊を有する第二師団の第二高射特科連隊などに配備された装備である。

Img_9682  観閲行進に続いての訓練展示では、対空戦闘の展示が行われた。驚いたのは、03式中SAMのレーダー装置がかなり早く回転していたことだ。旋回はしても索敵では基本的に回転しないペトリオットに見慣れた小生には意外であった。

Img_9961  航空機接近!との報に際し、各種装備が射撃しこれを迎撃する。とはいっても、ペトリオットや中SAM、改良ホークが射撃すれば、特に展示されたペトリオットの場合は熱海や宇都宮、前橋まで届く為、射撃は当然無く、スモークを焚いて代えた。子供たちが装備品展示で隊員にしきりに聞いていたが、まあ、大人向けの展示というべきであろうか(笑)。

Img_9990_1  防空網をかいくぐって飛来した仮設敵のAH-1S対戦車ヘリコプター。木更津から飛来した機体だろうか、この他、仮設敵にはOH-6D観測ヘリコプターなども展示に飛来した。その後装備品展示では着陸して展示に参加している。

Img_9967  接近したヘリに対して96式装輪装甲車の12.7㍉機銃が空包を発射する。87式自走高射機関砲を装備する中隊に配備されており、部隊では指揮官が乗車すると、装備品展示において説明を受けた。写真では見えないが、96式の後ろ側には93式近SAMが待機している。

Img_9824_1  訓練展示が修了し、訓練展示のために展開した位置のまま、装備品展示が開始された。訓練展示の位置のままの展示というのは意外であった。もっとも人だかりが出来たのはこの中SAMである。中には『これがペトリオットですか』と聞く人もいた(旧軍や米軍の防空砲兵といったイメージかな)。改良ホークも3型はかなり信頼性が高いとの説明を受け、中SAMは改良ホーク2型を装備している部隊から導入されるとの事だ。

HARUNA

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コメント (2)
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