■航空館boon
先日掲載した航空自衛隊小牧基地航空機撮影の舞台となった航空館boonについて特集したい。名古屋空港ターミナルビルの展望台が現在立ち入り出来ないという中で、もっとも航空機の撮影に適した場所のひとつであるのが神明公園である。
小牧基地、つまり名古屋空港は、三菱重工小牧南工場と隣接しており、岐阜基地と隣接する川崎重工岐阜工場と並び、東海地方が日本航空産業の一大集積地帯、航空の街であることを端的に示している。また、中部国際空港開港以来旅客輸送数は激減したものの、空港施設は充実しており、かつての威容を保っている。
この航空の街における今を見ようと多くのファンが訪れたが、同時に大型旅客機を間近に見ることが出来るとあり市民憩いの場でもあった。そこで、緑、水、そして大空への憧れの空間として整備されたのが神明公園とのことである。
航空館boonは、愛知県により建設され、豊山町が管理している博物館で、この神明公園内に2005年4月に開館した。館内には1963年に製造されたMU-2ビジネス機の三号機やヒューズ369HS型ヘリコプターの実機、フライトシュミュレータ、エンジンや解説資料などが展示されている。
入場は無料で、御手洗や自販機(ただし、館内での飲食は禁止)もある。0900~1600時に開館しており、休館日は月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日が休館)、12月28日~1月4日の年末年始が休館となっている(詳しくは豊山町HP航空館boon)。
二階部分は展望デッキとなっており、滑走路を離陸する航空機を一望することが出来る(小生は神明公園の高台より撮影)。ちなみに、MU-2など、かつて名古屋空港ビル三階にあった名古屋空港航空宇宙館二展示されていたものも展示されている。
操縦席からの情景にくわえ、操縦装置に連動する模型の機体機動やフラップの動きを再現する。
展示の筆頭、三菱MU-2ビジネス機。1963年9月に初飛行して以来、20箇国以上に700機以上の販売実績を有する。本機の技術的特徴は、翼面荷重を増加させ、短距離離着陸能力を向上させるために導入された主翼全翼幅のダブル・スロッテッド・フラップにある。
当初はA型として仏製アスタズ2Kエンジンを搭載していたが、販路がアメリカに集中した関係などから米製エアリサーチTPE331-25Aエンジンに換装した、これがB型である。更に38号機以降は翼内燃料タンクをインテグラルタンク方式としたD型、エンジン出力や機内装備を充実させたF型などがある。
その後胴体を延長したG型、エンジンを更に強化したJ型K型、1974年に最終発展型となったN型、P型が誕生した。このMU-2は、航空自衛隊の救難機として、また陸上自衛隊の連絡偵察機(正式名称LR-1)として採用されている。航続距離1800km(P型は2700km)、最大速度450km/h(562km/h)、座席数7(9)の本機はキャビン部分が開放されており中に入ることも出来るのが嬉しい。
ヒューズ社の機体を川崎重工においてライセンス生産され、発行部数が系列紙を含めると毎日新聞を越えるという中日新聞社用ヘリ“あさづる”として運用された機体。5290時間という飛行時間を終え、1985年12月に引退した機体である。巡航速度200km/h、最高速度234km/h、航続距離760km、座席数5。
神明公園展望台。デイキャンプ場、芝生広場、大型複合遊具、シェルターの他、三箇所分散の127台分の駐車場がある(詳しくは豊山町HP神明公園)。基地撮影を行った高台とは、航空館を挟み反対側にある。管制塔のような形状がおもしろい。
管制塔型展望台の向こう側には駐車場、そして名古屋市栄と結ぶとよやまタウンバスの停留場がある(本数が少ないので要注意)。名古屋空港、小牧基地というと航空機ファンという印象をもたれる方もいようが、デイキャンプ、そして子供の体験学習の場として、充実した内容を有する施設がある。皆さんも興味をもたれた方は足を運ばれてみては如何だろうか。
HARUNA
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