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日米同盟を考える: 航空自衛隊 次期主力戦闘機(F-X)候補

2008-12-09 22:24:31 | 国際・政治

■F-X選定

 第一回にあたる今回は、航空自衛隊次期主力戦闘機として候補に挙げられている機体と関連する環境について簡単に掲載したい。

Img_1932  第一の候補は、米空軍の航空支配戦闘機とも称される制空戦闘機F-22A。ステルス性、超音速巡航、協同交戦能力など全ての面で群を抜いているものの、機密保護の面から輸出が規制されており、加えて極めて高価、運用コストも極めて高く、一機が護衛艦一隻分に相当する覚悟が必要。並んで、F-35戦闘機、国際共同開発で開発が難航しており、日本が導入するとしても当分先になる見通し、同時に開発費高騰に悩んでいるものの、ステルス性などを有している航空機。

Img_1916  第二の候補は、F-15FX。航空自衛隊が運用するF-15の最終発展型で、米空軍の戦闘爆撃機F-15Eをさらに発展させた航空機だ、大きな機体には多くの装備搭載量を備えている上に、日本におけるライセンス生産の可能性が残されている。続いて、艦載機であるF/A-18E,候補に挙げられた機体の中では比較的低コストであり、運用コストも比較的低いものの精密誘導兵器の運用能力などで充実した面がある。

Img_1886  欧州からも共同開発のタイフーンが提示されている。段階発展を踏まえて今後さらに性能が向上する機体であるが、他方で、近代化改修を繰り返し行う必要がある、というのが一点。

 航空優勢確保に重点を置くのか多用途性に重点を置くのか。技術供与に重点を置くのか直接輸入であっても高性能機の取得を重視するのか。段階発展を考慮してよいのか近代化改修を度外して装備化を行うのか、それぞれの重心により、結果は変化する。

Img_2036  他方で、航空自衛隊は、現在、弾道ミサイル防衛網を整備中であり、これには莫大なコストを必要とする。核恫喝に対する防盾を整備することは、非核政策を前提とした上での政策決定に大きな意義を有する一方、警戒管制網整備やPAC-3や今後導入が検討される余地のあるTHAAD導入には多額のコストを必要とし、当然、F-Xの選定にも少なからず影響を及ぼす。仮にF-Xに対地攻撃など高い戦力投射能力が付与されれば、弾道ミサイル防衛に対する指針にも変化が生じる可能性もある。

Img_2061  もう一点、C-X(次期輸送機)や次期固定翼哨戒機XP-1など、航空機関連の技術開発が行われている最中であるので、こちらに対しても費用捻出が必要となる。国際人道支援任務への日本の関与を重視するならば、戦闘機よりも輸送機の整備に注目が集まる可能性も無視することが出来ない。F-Xはどういった任務に用いるのか、明確にできなければ、そもそも後継機が選定されず作戦機の減勢、という可能性も捨てきれないことは、思考の片隅に置く必要があろう。

HARUNA

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