■米海軍横須賀海軍施設
グランドイルミネーション役に立たないおお役立ちガイド。明日十二月六日は0900~2000時(入場は1900まで)まで横須賀海軍施設が一般公開、艦船も1000~1700(乗艦は1615まで)まで一般公開される。本日は、横須賀グランドイルミネーションの様子を、昨年の写真にて掲載したい。
停泊する空母キティーホーク。横須賀グランドイルミネーション、そのメインは、なんといっても航空母艦だ。その昔、佐世保基地で初めて強襲揚陸艦ベローウッドを見上げたときは、自分の高校の校舎に匹敵する威容に、ただただ驚いたものだ。その艦内に入ることができるとあれば、もうそれだけで大満足だ。
満載排水量75200㌧、基準排水量でも60100㌧という空母キティーホークは、四隻が建造されたキティーホーク級航空母艦のネームシップとして1961年に竣工。全長323.9㍍、幅は水線で38.5㍍、甲板幅は最大で76.0㍍に達する。早い話、京都駅の新幹線ホームが動くようなものだ(新幹線16輌編成とくらべると、まあ、キティのほうが短いけどね)。
そのキティーホーク一般公開ということで、2007年12月8日、アメリカ海軍横須賀海軍施設の正門前には、文字通り長蛇の列。正午頃に入場開始できるというのだが、早く入りたいというのは、皆さんの共通認識のようで、正門から横須賀中央駅まで到達するのでは、と誇張ではなくそう思ってしまうほどの行列だ。
キティーホークは、2008年に後任の原子力空母ジョージワシントンと交代することになっており、おそらく、この公開が最後になるだろう、という点。そして、9.11以降保安上の問題から航空母艦の一般公開は激減してしまい、たとえ何時間並んででも、空母を観たい、ということだろう。
それで何時間並んだの?と聞かれそうだが、なんというか、あっさり入れた。金属探知機など、数的に充実しており、人の流れも順調、多人数の入場も手早く対応できた次第。ううむ、米軍の物量って、こういうところでも少し感心してしまう次第。手前はイージス艦も収容できる大きさのドック。でもこの際、空母に一刻も早く進むことの方が重要。
しばらく歩くと、空母キティーホークの雄姿が見える。前任のフォレスタル級空母インディペンデンスに続いて建造されたスーパーキャリアーであるキティーホーク級は、飛行甲板などの設計を大きく改めたものとなっている。なお、このキティーホークが就役した1961年に最初の原子力空母であるエンタープライズが就役している。
キティーホークは改めて大きい、という印象を抱いた瞬間。仮設階段がエレベータ上に設置されている。入場者はかなりの人数なのだが、もともと乗員と空母航空団の要員、あわせて五千人が生活するひとつの町のような巨大空母には、どんどん入場者が吸い込まれてゆく(別名:軍ヲタホイホイ)。
アイランド。艦橋というよりも、アイランドという呼称が本当にあう一枚。操艦と発着管制をおこなう中枢で、その上にはレーダーや通信アンテナなどが多数並んでいる。その後方には、独立したレーダーマストも配置されているのがわかる。煙突などは、その気流が航空機発着に影響するため舷側などに分散配置されている。
ついに飛行甲板上に到達。京阪三条駅や阪急河原町駅と比べると大きい印象があるものの、伊丹空港や中空と比べると小さい、この空母に航空団がおさまっているというのも驚きだった。甲板上には、ボイラーから送られた高圧蒸気をシリンダーに叩き付け、35㌧の航空機を一気に94.5㍍の距離を139ノットまで加速させ狭い飛行甲板から発進させるC-13蒸気カタパルト、105ノットで前進する22.7㌧の航空機を停止させることができるMk.7着艦拘束装置などが並ぶ。
捨て猫。ただし、持ち帰ることは出来ない。地上では、訓練用のF-14の姿が見える。有事の際にはここから垂直離陸、する・・・ことは絶対出来ず、用途廃止された機体だ。主としてクルーの地上訓練や艦上訓練などに充てられている機体だ。F-14も遂にイラン空軍の機体を例外として、空からは消えてしまった。
高所から見下ろす風景は壮観だ、何でもないものが素晴らしいものに見える・・・、って空の境界でいわれていたが、横須賀基地を空母甲板から見た情景はまさにその通り。しかも、この場所は35ノットで動くことができる航空母艦の艦上からの俯瞰風景なのだ、と考えるとさらに違った風景のようにも見えてくる。
エレベータは四基配置されている、最大搭載量は58.5㌧で、F/A-18Eなどを同時に二機運搬することが可能だ。格納庫は208×32㍍あり約40機の航空機を収容できる。格納庫に収容しきれない航空機は甲板に係留される。格納庫は、スライド式防火シャッターにより三分割できる構造になっている。
空母の格納庫、ということで戦闘機や電子戦機にヘリコプターがゴロゴロと、と期待されるかもしれないが、通常、母港(キティの場合は前方展開であるので拠点港と表現するべきか)に入港している場合は機体を陸上基地(キティの場合は厚木航空基地)に下ろし、陸上空母発着訓練を実施させる。なにぶん、大海原に文字通り浮かび、かつ前に進む200㍍少々の滑走路にジェット機で何が何でも着地し停止しなくてはならない。この様子は制御された墜落とも表現され、これを確実にこなす為に空母が入港中といえども訓練を休むわけには行かないのだ。なお、苫小牧や小樽、佐世保寄港時などは多数の艦載機を搭載していることが多い。
十二月八日ということで、改めて日米有効を強調している、わけではないのだろうが、大きな太平洋を挟む同盟国同士の国旗が掲げられている。日米両国の国旗、そのまえには多くの人たちが集まっている。なにをやっているのかというと、格納庫を会場として、グッズ販売がおこなわれているのだ。
俺たちの本気をDVDでみてくれ!、第5空母航空団の要員が、航空機から撮影した自主制作DVDを販売している。二日間で50万以上の来場者を集めたという厚木航空祭ウイングスは9.11以降実施されておらず、米軍再編の関係上、山口県の岩国航空基地に空母航空団がい点する、とされているので、空母航空団の本気はDVDじゃないと中々見れないのも事実か。
DVD以外にも様々なグッズが販売されている。帰りの交通費は、ぷらっとこだまチケットで既に確保しているので、思う存分散財できるぜ!って調子に乗るといろいろと売られているので、大変なことになる。とりあえず、キティーホークのキャップ(識別帽)などを購入。なにせ、今年で最後なのだから、と。
レーザー誘導からGPS誘導まで、各種精密誘導爆弾がズラリと並んでいるが、これらは販売ではない(当たり前だ)。GBU-24ペイヴウェイⅢやAGM-154JSOWなどなど、これが航空自衛隊に配備されていれば、某国の核施設など一発で、とおもうような装備がぞろぞろ置かれている。真面目に掲載すれば、これだけで一日分の記事になりそうだ。
空母をおりて、しばらく散策する。写真は見上げて目に映ったRAM RIM-116個艦防空ミサイルのEX-31型21連発射器。サイドワインダー空対空ミサイルのロケットモーターと弾頭部分、信管部分を流用したシステム。目標のレーダー電波を辿って飛翔し、最後にはスティンガー携行地対空ミサイルのものと同じ赤外線ホーミングにより目標に命中する。
同じくこの日に公開されていたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦CG-67シャイローとCG-63カウペンス。満載排水量9516㌧のイージス艦で、垂直にミサイルを格納し即座に発射させることが可能なVLSへ122発の各種ミサイルを搭載、電子の要塞として艦隊防空、特に空母の護衛に大きな威力を発揮する。
米海軍、というか、米軍基地といえばピザである。横須賀、厚木、横田、岩国と、米軍基地ならではの味、非常に美味しく値段も手頃。宅配ピザを中心に飾りすぎて本来のファーストフードから値段も手頃感も消えているが、基地で販売されているピザは、これぞピザ、という基本に徹している。数箱を抱えて開門直後にお帰りになる入場者もいるようで、米軍関連行事影の主役というべきか。
米軍といえば、これも忘れてはならないスポーツ飲料のゲータレード。着色料がいかにも胡散臭いし、日本のスポーツ飲料的な色をしたものと比べると一瞬味が想像できないが、特に快晴真夏の横田基地フレンドシップデイでは、リットル単位で痛飲した(まあ、それでも3~4kgは発汗で体重減るけどね)。
べう群といえば物量と火力。ステーキを一斉に焼いている。火力がたり無いぜ!となると、待ってましたとばかりに油をぶっかける。下手な戦争映画よりも炎が力強くあがっていて、香ばしく焼かれたステーキが次々に屋台へ並ぶ。これを食べると縁日やお祭の自称神戸牛ステーキ串は食べられなくなるかも。
グランドイルミネーションということで、夜には艦船に電灯艦飾が実施される。同一の白熱級を用いた海上自衛隊の電灯艦飾と比べると、米海軍のカラフルでさまざまなかたちをした電灯艦飾は、電灯艦飾というよりもグランドイルミネーションと表現するのが正しいのかもしれない。
海上自衛隊の吉倉桟橋でも電灯艦飾が行われている。写真はヴェルニー公園から撮影したもので、三脚を用意していなかったので、ISレンズの機能に頼って撮影した。さてさて、明日は第二回の横須賀グランドイルミネーション。空母もキティーホークからジョージワシントンにかわっており、第15駆逐隊は訓練で沖縄に展開、ひゅうが用新桟橋工事により情景もかわっているかもしれないが、概括した情景をお伝え出来れば、と考える次第。
HARUNA
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