■ファントムを継ぐのは誰か
F-X問題とは、現在旧式化している航空自衛隊のF-4EJ改の後継機をめぐる選定交渉を示す。F-4EJは対領空侵犯対処に当たるための要撃機として導入された航空機だ。航空自衛隊は、要撃機として米空軍の最新鋭要撃機を導入してきたが、今回は事情が大きく変わりつつある。
日本の国土は、四島から成るため面積は錯誤してしまうが、弧状列島とも喩えられる日本列島は、実は広大だ。地図を見ればよく分かる、北緯45度付近には稚内市、旭川市があるが、これは北米大陸ではカナダの首都オタワ市やトロント市。ニューヨーク市が青森市と同緯度。東京は、だいたいコロンビア市と同じくらいであるが、那覇市がフロリダのマイアミ市と同じ緯度。
防空を必要とする範囲は、北米大陸の東海岸や西海岸に匹敵する規模に至るわけだ。緯度で図ると分かりやすい、稚内が北緯45度、石垣島が北緯24度(沖ノ鳥島が北緯20度、ただし離島)。つまり緯度で21度分(これに排他的経済水域が加わる)。。
アルジェリアの首都アルジェが北緯36度でスウェーデンの首都ストックホルムが北緯59度。緯度で23度。弧状とはいえ、日本列島は広いのだ。さらに加えて日本海、東シナ海、南シナ海、オホーツク海を隔てた先には、ロシア極東軍、中国空軍、北朝鮮空軍という航空戦力が配置されている。
航空自衛隊は、北海道の千歳基地、北日本および青函地区の防空にあたる三沢基地、首都圏防空の要衝である百里基地、日本海を睨む小松基地、北九州と対馬海峡の防空に当たる築城基地に二個飛行隊を展開させ、南九州と太平洋を睨む新田原基地、沖縄を中心とした南西諸島防空に那覇基地が、ともに一個飛行隊を、それぞれ対領空侵犯任務に対応するべく24時間体制で待機にあてている。
航空自衛隊には予備の航空基地なども少なく、有事の際には幾つかの基地が航空攻撃により機能を喪失する場合、また、少ない機体を極力高い稼働率に保ち、峠気任務を遂行する必要があり、加えて対艦ミサイルの運用能力を有するF-4EJ改の後継機には、ある程度の支援戦闘機としての能力も求められることとなる。・・・続く
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HARUNA
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