◆機体はMH-60派生型の新型と推測
パキスタンにおいて実施された国際テロ組織アルカイダ指導者ビンラディン急襲任務において、米軍が新型ヘリコプターを運用したのではないかとの見解が出されています。
ステルスヘリコプターといえば六年ほど前に開発計画が一機1億ドルと量産機の価格高騰が避けられない事で中止されたRAH-66偵察ヘリコプターを思い出すのですが、今回投入されたヘリコプターはUH-60多用途ヘリコプターを原型として対レーダーステルス性能付与と新型ローターの搭載による音響ステルス性能付与が実施されたものとみられています。
この可能性が米ABCテレビにより示唆されたのは、任務に当たったUH-60ヘリコプター二機のうち一機がトラブルにより不時着し、機密保持のために爆破されたのですが、テイルローター部分が原形を保っており、この形状が従来のUH-60ヘリコプターとことなっていたため、新型機ではないか、と推測されたわけです。
UH-60,と記載してきたのですが特殊戦用MH-60G,と記載するべきだったのかもしれません、しかし仮に新型であればMH-60H,とでも呼称するのでしょうか。現在アメリカではこれが新型であった場合、パキスタン政府により残骸が回収されているためステルス塗料情報等がパキスタンの友好国である中国に漏えいしないかが問題視されています。
他方で、これまでヘリコプターによる特殊作戦は特にそのローター音による秘匿性の低さが問題視されてきましたが、技術的に普及可能な形状であるならば、これからのヘリコプター運用体系に革新をもたらす可能性もあります。もっともヘリコプターの展開が現地の人に知られていることから、これは程度の差なのかもしれないのですが。
他方でこの原型であるS-70シリーズは多用途ヘリコプター、哨戒ヘリコプター、電子戦ヘリコプター、救難ヘリコプター、要人輸送機と広く運用されている一方で一部についてより大型で航続距離の大きな後継機を選定するとの動きがあるのですが、S-70は全高が低く被空輸性に秀でているという一面がありますので、今後の運用について新しい展望が開けた、ともいえることになるのでしょうか。
HARUNA
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