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東日本大震災災害派遣 部隊規模10万動員見直しと即応予備自衛官動員解除

2011-05-18 23:31:50 | 防災・災害派遣

◆現派遣部隊9万、統合任務部隊の任務は続く

 防衛省によれば、東日本大震災災害派遣部隊の縮小が始まっており、同時に即応予備自衛官の動員は12日に解除されたとのことです。

Img_2182  東日本大震災災害派遣について、防衛省発表を見ますと5月10日の派遣部隊は102850名で陸上70000名、海上10900名、航空21600名と原子力災害派遣350名、対して5月11日の派遣部隊は99750名、内訳は陸上70000名、海上10900名、航空18500名と原子力災害派遣350名となっていました。

Img_3647  自衛隊の空前の災害派遣は11日を転換点として10万の動員から順次縮小しているようです。現在の派遣規模は90400名、陸上自衛隊62000名、海上自衛隊9600名、航空自衛隊18500名、原発災害派遣300名、航空機370機、艦艇34隻という規模で、東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊は現在も任務中です。

Img_7657  正直、10万の動員は自衛隊の規模から考えれば非常に非現実的な数字ではあったと認識しつつも、あの3月11日の時点では文字通り有事、下手をすれば日本という国が無くなってしまう可能性があったのですから、とにかく10万は予備動員をしてでもやるしかない、という当方の認識でしたが、地震発生から二カ月まで、この動員を続けた事には驚きと尊敬という言葉のほかありません。

Img_6450_1_2  即応予備自衛官の動員ですが、防衛省の16日発表によれば12日までにこちらも解除されたとのことです。今回の災害派遣で動員された即応予備自衛官は延べ2179名、動員は三月下旬から開始され、遺体捜索を含めた第一線での復旧や被災者支援任務に当たったとのことです。

Img_7290  特に東日本大震災は現憲法下では最も広域の被災地への救援活動を行う必要があった、という特色があり、首都圏直下型地震における想定された五万名派遣を遥かに凌駕する十万災害派遣を強いられた、という点に特色があります。十万動員を命じた菅首相は総合防災訓練に幾度も参加しているため、首都圏直下型地震に動員し得る人員が五万、ということは知っていて然るべきですので、知らなかった可能性もあるのですが、無理を命じた、という訳です。

Img_7156  その一方で、浜岡原発に対して東海地震が迫っているとのことで原子炉停止を命じた首相ですので、次の地震まであまり時間が無いという事を政治家の勘として認識しているようですので、個人的に勘に頼り過ぎて思い付を押し通すのはどうかと思うのですが、少なくとも言行一致の為にも今回の派遣を契機に、現役定員数、予備自衛官制度、ヘリコプター数や輸送艦数を含む輸送能力、無人偵察機やヘリコプターと航空機による情報収集能力と共有能力について、派遣の問題点を洗い直しつつ、備えるという態度を執ることは当然求められるでしょう。

HARUNA

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コメント (5)
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