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◆沖縄・下地島に日米共同で災害対応センター設置へ(05/30 11:53) ・・・ 政府は、アジア太平洋地域での大規模な災害に対応するため、沖縄県の下地島に日米共同の災害対応センターを設置する方針を固めました。 政府関係者によると、下地島に置かれる災害対応センターでは、自衛隊と米軍が協力して対応を協議します。また、下地島空港の活用を念頭に援助物資を集積するなど、アジア太平洋地域での災害に対応する活動拠点とする方針です。東日本大震災での自衛隊と米軍による協力を踏まえ、日米が共同で積極的に災害支援の面で国際貢献することで周辺地域の安定化につなげる狙いもあります。沖縄県側も、新たな振興策の一環として、災害援助拠点の設置を提言していました。今週末にシンガポールで行われるアジア安全保障会議で、北沢防衛大臣がセンターの設置を表明する予定です。http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210530014.html
◆沖縄県が求めていた災害拠点として、下地島に構築しよう、という提案です。下地島は沖縄県宮古市の離島で、その中央部には下地空港があり、旅客機などの搭乗員養成における発着訓練を行う空港があります。沖縄県が求めていた防災拠点は自衛隊と米軍の協同、という形態のものであるのかは、未知数、恐らく違うような気はしないでもないのですが、海兵隊航空部隊や自衛隊の備蓄拠点としての機能を果たす施設を構築しよう、ということになるようです。普天間代替施設の問題とも訓練拠点として運用するなどの何らかの関連が生じるのでは、とも推測するのですが、日米の軍事機構が協同運用する拠点が南西諸島に新しく構築できる、ということは意義がある事でしょう。
ただ、沖縄であっても日本列島である以上地震と津波の危険性は忘れてはならないということはここに付け加えておきたいと思います。沖縄でも地震や津波災害は当然起こる訳です。八重山地震、1771年には石垣島東断層と仮称される正断層の活動による八重山地震が発生しており、宮古島を含む八重山列島全体で死者12000名という、人口密度の低い同地域としては異例の大災害が発生しています。続く塩害により農業が打撃を受けた結果、人口は百年後の明治年間までに地震発生前と比較して三分の一程度に激減しており、沖縄であれば地震は無いから、と考える事は非常に大きな問題です。言い換えれば、企業は台風災害は別として過去百年間を見た限りでは沖縄県には地震災害などは少ないという理由からデータセンターなどのバックアップ設備を集中させているのですが、地震観測の歴史は地学の観点からは非常に短いのですし、安易に沖縄を、と考えることは危険だと考えます。
しかしながら、現時点では沖縄周辺の大規模災害への対処準備は、陸上自衛隊第15旅団と那覇救難隊程度。第15旅団は離島での災害派遣、災害派遣と行っても急患輸送が主たるものなのですが、考慮した空中機動能力を輸送ヘリコプターと多用途ヘリコプターを若干数保有することで、ほかの師団飛行隊や旅団飛行隊よりは機動力が高い程度、輸送艇等は保有していません。海上自衛隊も勝連基地に掃海艇を有している程度で、大規模災害が発生した場合では本格的な災害派遣任務は、佐世保基地の水上戦闘艦部隊や九州の西部方面隊が有する空中機動部隊、首都圏の中央即応集団等の展開能力に期待しつつ、米軍、在沖米軍に依存しなければ対処できないという、防災上の空白地帯でもある訳です。防災拠点を下地島に構築することが、東アジア全体の防災基盤に寄与するとともに、南西諸島の災害派遣準備、そしてその展開能力が南西諸島の抑止力にも寄与すれば、と考えるのですが、相応の予算措置を講じなければ中途半端なものになることも最後に付け加えておきます。