北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

特集:平成27年度防衛予算概算要求概要⑧・・・重要施策、南西諸島防備強化Ⅳ

2014-09-10 23:47:24 | 防衛・安全保障

◆部隊は増強、陸海空自衛隊員は来年度減勢

 特集:平成27年度防衛予算概算要求概要、今回で八回目となりました。今回は部隊増強とともに増勢されるべきものが片手落ちとなっている点について。

Tbimg_2485  航空団への拡大改編、第15ヘリコプター隊創設、その一方で那覇基地の重要性は高まる一方で、同時に那覇空港と那覇基地は滑走路を共用し、現在の緊急発進急増だけでも発着数の増大に民間空港としてだけでなく沖縄県の空の玄関口という位置づけにもある那覇空港の運用に支障が来しています。

Tbimg_2401  那覇基地は海上自衛隊のP-3C哨戒機を蘊奥する第五航空群の展開する那覇航空基地でもありますので、自衛隊機の離発着頻度は南西諸島緊張増大により航空自衛隊戦闘機のは着が増加すると比例して海上自衛隊の海洋監視飛行への離発着を意味する、ということは言うまでもないでしょう。

Img_9714  防衛予算とは関係ありませんが、現在那覇空港は海を埋め立て発着回数の増大に対応するべく第二滑走路の建設を進めていますので、将来的には那覇空港と那覇基地の滑走路分離、というあたかも千歳基地と新千歳空港の分離のような方策も行われることがあるかもしれませんね。

Tbimg_3275  基地の確保は重要で、例えば冷戦時代の最前線として三沢基地の航空自衛隊と八戸航空基地の海上自衛隊のように、海上自衛隊の航空基地を別の基地、嘉手納基地などに一部移転できないか、陸上自衛隊の那覇駐屯地を普天間飛行場移設後に利用できないか、など、検討費用の計上は検討するべきでしょう。

Tbimg_1676  このように”重要施策、水陸機動防衛力整備Ⅰ”につづいて”重要施策、南西諸島防備強化”と重要施策の紹介と分析を行いました。重要施策、水陸機動防衛力整備、島嶼部はいよいよ防衛の抑止力で紛争誘発の危惧が解消され、水陸機動部隊の整備とともに南西諸島の防衛警備強化は以上の通りです。

Tbimg_1568  観ての通り、奄美大島への部隊配備は駐屯地建設への準備開始という段階ですので着手したばかりの状況ではあります。与那国島に関しては沿岸監視隊を配置することとなりましたが、沿岸監視隊が異常を察知した際に展開する部隊の整備は水陸機動団や那覇駐屯地第15旅団の改編などを待たなければなりません。

Tbimg_2452  第83航空隊から拡大改編を受ける第9航空団ですがその整備を行うと共に航空掩体の建設などを行わなければ巡航ミサイル攻撃などの脅威から戦闘機を温存することは問題が出てきます。特に中国軍の巡航ミサイルは増強の一途をたどり、爆撃機こそ旧式過ぎますが、脅威度は無視できません。

Tbimg_2501  防衛力整備は、中国民主化と中国が歴史認識ではなく歴史事実に基づく共有知を日本と得るまで緊張は続きそうで、南西諸島防衛は前進したものの問題が山積している状況ではあるため、抑止力を強化し攻撃を受けない体制を政治的にも考えつつ、着実に南西諸島防衛の施策を進めてゆくことが必要となるでしょう。

Tbimg_2961  ただ、“重要施策、南西諸島防備強化”として掲載してまいりましたが、この事業に関する人員を何処から抽出するのか、という視点が非常に大きな関心事として残ります。現在の与党は民主党時代に一貫して縮減された自衛官人員を政権奪還後一貫して増員してきた、と豪語しましたが、これまでとなります。

Tbimg_3109  自衛官人員を政権奪還後一貫して増員に停滞、来年度以降陸上自衛隊だけで250名の減員となり、政権奪還後の増員数を依拠に帳消しとなります。これは別稿で検証するものですが、来年度、自衛隊の装備調達と維持を一括して行う防衛装備庁が新編され、この為に409名の職員が必要となります。

Tbimg_3080  防衛省職員として財務省は陸海空自衛隊も内部部局も区別しませんので、来年度より陸上自衛官250名減員、海上自衛官128名減員、航空自衛隊133名減員、となります。統合幕僚監部は2名増員、内部部局は9名の増員、となるのですが防衛装備庁新設に伴う409名の増員を内部でやりくりしなければならない。

Tbimg_3159 防衛省職員全体は現在の24万7160名から24万7173名へと13名増員するのですがこの程度の増員で対応できる訳もなく、しわ寄せは陸海空自衛隊にのしかかります。重要施策、南西諸島防備強化、この為には人員をいかに確保するか、という難題を無視して通る事は出来ません。

Img_3483 防衛力強化といますと、勿論当方も含め正面装備の増強ばかりがどうしても防衛力に繋がるように見えるのですが、運用する人員の確保、稼働率向上への施設や基地機能や基地の予備施設などこそ、同時に造成されなければ、文字通り地に足がついていない防衛力を構築してしまいます。

Tbimg_3287 さて。特集:平成27年度防衛予算概算要求概要、重要施策、南西諸島防備強化、第四回となりましたが防衛省面は南西諸島だけではありません。そこで、今回の掲載を以て一段落し、次回からは概算要求に盛り込まれた装備開発について、注目すべき部分を提示し触れてゆきたいと思います。お楽しみに。

北大路機関:はるな

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