北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

御嶽山噴火災害自衛隊災害派遣 第12旅団、全力で人命救助への捜索救難活動を展開中

2014-09-29 23:25:23 | 防災・災害派遣

◆有毒ガスと火山灰と標高3000mの過酷な環境

 御嶽山火山災害は行方不明者が40名以上、死者12名と心肺停止者24名、今晩新たに5名の心肺停止遭難者が山頂付近で発見されました。

Sdimg_1050 御嶽山火山災害に対して長野県知事からの災害派遣要請に応じ、第12旅団は松本の第13普通科連隊を中心とした災害派遣部隊を編成し、第12ヘリコプター隊、 東部方面航空隊、富士教導団、第13普通科連隊、第12偵察隊、第2普通科連隊、が派遣ないし待機部隊として前進派遣され災害派遣任務に当たっていますが、被災地は有毒ガスと火山灰と標高3000mの過酷な環境です。

Fimg_7734 特に御嶽山火山災害では89式装甲戦闘車が派遣されたことが挙げられます。これは火山弾による多くの死者が出ており、気象庁の警戒情報として火口から4km圏内での以外なども想定されることから、富士教導団普通科教導連隊の89式装甲戦闘車が第12旅団へ臨時編入され、緊急輸送に備えています。

Amimg_1581 災害派遣要請は27日1431時に出され、早速第12ヘリコプター隊より1514時にUH-60多用途ヘリコプターが情報収集へ離陸、1525時には第13普通科連隊のFAST- Force即応派遣部隊が松本駐屯地を出発しました。初動は情報収集が中心となり、1526時に第12ヘリコプター隊よりOH-6Dが、1552時より第12偵察隊の20名が車両10両とともに、1555時には東部方面航空隊の映像伝送機UH-1が離陸しました。

Fsimg_6821_1 噴火当日にも火口付近まで着陸可能な地域を探して接近を試みるUH-60JAやOH-6Dが報道映像に映っていました。災害派遣は人命救助について要請、これは火口部分には誰も近づけないため、自衛隊に緊急の措置として要請されたものですが、1740時に第13普通科連隊より最初の捜索部隊が人員30名と車両15両を以て登山道黒沢口へ向け出発し、以降、救助活動の準備に当たりました。

Img_1356 2120時に第13普通科連隊の捜索部隊増援が人員90名と車両約20両を以て登山道田の原口へ向け出発し、更に旅団普通科連隊の人員規模から交代要員を考えた場合の支援部隊として新潟の新発田駐屯地より第2普通科連隊が人員80名及び車両20両を以て派遣され2315時に松本駐屯地到着しています。

G12img_3686 第12旅団は3年前まで空中機動を重視した関係上、化学防護車2両以外一切の装甲車を持っていませんでした、近年は軽装甲機動車に指揮通信車や偵察警戒車を装備していますが、火山灰の堆積地域で不整地突破が可能な装軌式装甲車を一切有していません。

Gimg_6698 そこで89式装甲戦闘車の派遣が決定し富士教導団より人員約10名が車両5両を伴い登山道田の原口及び黒沢口へ向けて28日0241時より順次駐屯地を出発しています。装甲車は有珠山や普賢岳に十勝岳噴火災害にも出動しており、今回は管理替えで借り上げる形となり対応したもよう。

Img_7300  第12旅団は王滝村役場に前方指揮所を設置し、空中機動部隊を相馬原などの駐屯地から松本駐屯地に前進、第12ヘリコプター隊のCH-47が3機と東部方面航空隊のOH-6の1機が松本駐屯地で待機態勢に当たっており、UH-60JAが前進し任務に当たっているかたち。

Limg_9934 28日より本格化した災害派遣での救出任務はまず0500時に東部方面航空隊のUH-1が1機、映像伝送機として離陸し、以降、情報収集活動実施しており、0530時には第12ヘリコプター隊のUH-60が1機とOH-6が1機が離陸、以降、情報収集活動実施、0829時に
東部方面航空隊のUH-1の1機が離陸し情報収集を実施しています。

Cimg_9840  救出活動は第12ヘリコプター隊のUH-60JA多用途ヘリコプターにより行われました。まず、0651時に第12ヘリコプター隊のUH-60が剣ヶ峰山荘付近で2名をホイスト吊り上げにより救助、1000時に第12ヘリコプター隊のUH-60が離陸し救助活動実施し1017時に剣ヶ峰東側の山小屋覚明堂で4名をホイスト吊り上げにより救助に成功しました。

Img_0290  1030時に第12ヘリコプター隊のUH-60が離陸し救助活動実施し、1040時に剣が峰東側の石室山荘に登山道黒沢口より入山した第13普通科連隊等が到着、空中機動部隊と密接な連携を取りつつ同北東側の二の池本館小屋付近を捜索を開始しました。1120時、第12ヘリコプター隊のUH-60が覚明堂で行方不明者を発見し1名をホイスト吊り上げにより救助しています。

Uhimg_4292  ホイスト吊り上げにより救助は、1318時に覚明堂で4名を、1345時に第12ヘリコプター隊のOH-6×が離陸しその情報に誘導され 、1347時にUH-60が覚明堂で4名を、1417時にUH-60が覚明堂で4名を、1653時にUH-60が剣ヶ峰山荘付近で3名を、1725時にUH-60が剣ヶ峰山荘付近で1名を、それぞれ収容しホイスト吊り上げ等による救助者は23名に上りました。

Gimg_4136 しかし、亜硫酸ガスや硫化水素などの有毒ガスが火口より噴出し、風向きによっては人命を左右する状況となるため28日1400時、派遣部隊は消防レスキューや警察山岳部隊と共に、火山性ガスの影響により活動を一時中断し、王滝登山道を心肺停止者4名を搬送しつつ下山しています。

Simg_6182  現在の災害派遣部隊は、人員270名、車両75両、航空機12機の態勢で継続しており、防衛省発表は本日現時点で28日2300時のものまでですが、本日も捜索救助活動を実施しています。被災地は標高3000m、自衛隊災害派遣史上もっとも標高の高い被災地のひとつでの派遣は継続しています。

北大路機関:はるな

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コメント (1)
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