◆陸上自衛隊の能力向上へ火力の効率化
現代先頭は情報優位の戦域空間優位への直結性が従来に増して重要となっており、十数年前の情報RMAという話題性は当然の共同交戦能力として求められています。
陸上自衛隊では第2師団及び第6師団への基幹連隊指揮統制システムの導入と試験運用により、その能力の定着化を模索していますが、実のところこの運用試験さえ既に開始されてより五年以上を経ているため技術的に場米軍と比較し一世代前の情報共有能力を進めているにすぎません。
無論、その域に達していない諸国の陸軍他世界の主流なのですから陸上自衛隊はNATO水準い負けない程度に前進を期しているのですが、その一方で、そもそも情報RMAの概念は野戦特科部隊の情報共有能力の概念を全部隊に普及させた程度のもので特別な概念ではない、という認識は必要でしょう。
特科、即ち見えない目標に関する位置情報と脅威情報を全部隊で共有し対処するという間接照準射撃の必要不可欠な要素をそのまま近接戦闘部隊や機甲部隊に適用し、脅威情報と戦闘情報を全部隊で共用しようとしたものに過ぎないともいえ、情報RMAと聞き身構える必要は別にありません。
この点で比較的早い時期に特科情報システムを構築し特科部隊の能力向上を進めてきた陸上自衛隊は、情報RMAが志向した情報優位に案する概念と特科職種という戦闘職種の基盤的な部分において既に盤石なものとしており、情報の伝達手段を音声やテレタイプからデジタルデータに移行するのみです。
そして既に普及している装備体系には野戦特科のみならず、高射特科職種における師団対空戦闘情報システムなどの概念も、こうしたデータリンクの概念に当たり、こうした下地を元に、そのまま普通科や機甲科へ普及させることで全体の能力を一挙に共同交戦能力を前提とした水準に押し上げる事が可能です。
平成27年度防衛予算概算要求概要では、“指揮統制・情報通信体制の整備”としまして、現在の数類型される野戦通信体系を包括的に指揮統制する一体化を構想し、通信体系を簡略化することで全体の脆弱性を払拭し、併せて各部隊同士の戦闘情報を共有、いつどこにどういう支援が必要か、という情報の一本化を目指します。
このほか陸海空の情報通信の統合なども自由度を高める施策が取り入れられますが、その具体的政策に“野外指揮・通信システム一体化(20億円)。陸上自衛隊の指揮統制システムをソフトウェア化し、野外通信システムに搭載することで、第一線部隊まで戦闘に必要なデータの共有を可能とする。
此処に加え、日米間で秘匿データの交換を可能とする研究を実施”、としてもりこまれました。システムの一体化とは、通信の基盤と指揮の基盤の一体化で、これは意見式は通信合っての基盤ではないかとの疑問にもつながるのですが、指揮命令系統を通信によって維持するという部分を通信そのものが指揮系統となる、いわば通信部隊の指揮系統への包含が進めtられる事となります。
野外通信システムは、野戦用交換装置と広帯域多目的無線機により推進する方式へ現在各師団及び旅団への装備行進が進められていますが、野外指揮システムは、通信系統とは別個にサーバ装置を設定し、指揮命令系統は携帯端末とGPS端末により、命令伝達をメールにより発し、戦域気象状況や地理情報及び彼我勢力情報と統合しています。
ここに広帯域多目無線機と通信交換装置へ情報通信能力を付与しサーバ装置機能を付与させることにより野外指揮通信システムへと発展させる研究が行われる、次世代夜戦デジタルネットワークというべき研究ですが、これが平成27年度防衛予算概算要求概要に盛り込まれました。
中枢となる部分は各種情報をソフトウェア化し、各指揮官情報端末に配置することでサーバ機能と共に一箇所での情報処理を求める現行の方式から各指揮官での連携が可能となり、一か所の情報処理中枢の物理的破壊を以て麻痺する現在の脆弱性を払拭することにつながるでしょう。
日米情報共有、こちらも野外指揮・通信システム一体化という技術開発面で非常に重要な要素と成り、野外指揮・通信システム一体化事業により指揮統制に関するデータ共有が現在の音声通信や指揮官同士の直接交信に懐疑という部分を省きリアルタイムでの情報連携が可能となります。
具体的には誤解を恐れずに示すならば同じデジタルマップ上の彼我勢力情報と戦域戦闘情報及び補給情報などを共有するもので、自衛隊が得た脅威情報や戦闘情報を米軍が、米軍が得た脅威情報や戦闘情報を自衛隊が、それぞれゲーム画面を連想させるモニター上にて共有することとなります。
上級指揮官同士は日米共同指揮所訓練ヤマサクラなどで幾度も繰り返されていますが、第一線部隊同士のリアルタイムでの情報連携はまだまだで、日米間で秘匿データの交換を可能とする研究を実施、この施策により自衛隊の情報連携能力は高まると共に別の問題と波及効果が期待できることに気付くところ。
米軍からの大量の情報に耐える通信基盤を図らずも構成する必要に見舞われるため、自ずと情報通信指揮統制能力は米軍並みの水準に底上げする機会を得るわけでもあるのです。もちろん、対応できなければ非常に悲惨で、1990年代にNATOも対応をきしましたがデータリンクを接続するたびに回線が破綻し、当初は苦労した、と伝えられています。
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