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陸上自衛隊観測ヘリコプターOH-1/OH-6D飛行訓練再開,不時着事故原因判明

2015-07-01 22:43:08 | 防衛・安全保障
■OH-1/OH-6D飛行訓練再開
 今年2月17日と4月7日に発生した不時着事故により飛行訓練を停止していたOH-1とOH-6D,その原因が判明した為、飛行訓練を再開した、と発表されました。

 和歌山県白浜町沖で2月17日に発生したOH-1不時着水事故ですが、搭載エンジン2基のうち片方をアイドル状態としたところでもう片方が破損、これは新品エンジンタービンブレードの高温高圧での接触により固着部分に負荷がかかり破損した為で、アイドル状態のエンジンを回復できなかったことが原因とのことでした。

 片方のエンジン停止訓練を行った際に可動エンジンに異常をきたす、必要な訓練ではあるのですがここで非常にまれな事故が発生した形で、陸上自衛隊では再発防止策としまして、異常固着部品の緊急点検を実施し、加えてシミュレータを活用し緊急事態対処訓練を行う事で危機対処能力を向上させる再発防止措置をとっています。

 仙台市宮城野区にて4月6日に発生しましたOH-6D観測ヘリコプターの不時着事故について。こちらは霞目駐屯地を整備試験飛行として離陸したOH-6Dがエンジン出力を絞りオートローテーション試験を実施した際に、試験後回復操作を行った際に出力が回復せず、近くの乾田に不時着した事故でした。

 OH-6Dの事故原因は燃料制御装置の一時的不具合とのことで、OH-6D全ての燃料制御装置を新造部品に換装し、飛行前に地上支援を行う事で対策とし、更に今後オートローテーション試験を整備試験飛行に際し行う場合には、飛行場もしくは演習場上空に限定し行う再発防止措置を採るとの事で、併せて着陸に後傾姿勢を採ったことが破損を増大させたため、対策を検討するとのこと。

 OH-6Dについては後傾姿勢での着陸は致し方ないのではないか、とおもいますし、OH-1については片方のエンジン停止状況を想定した訓練を行う際に不幸にももう片方の稼動エンジンが故障、という不幸な事故ではありましたが幸い犠牲者はありませんでした。現在、観測ヘリコプターの任務を多用途ヘリコプターUH-1等が肩代わりしていますが、災害派遣にも重要な観測ヘリコプターの訓練再開、朗報というべきでしょう。

北大路機関:はるなくらま
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