■ロッキードマーティン、シコルスキー統合へ
ロイター通信によれば防衛産業最大手ロッキードマーティン社が航空大手シコルスキー社の企業買収による子会社化の指針を表明しました。
ロッキードマーティン社のシコルスキー社子会社化、実現の方向で推進しているもようです、早ければ今月中に合意の調印に至るとの見方があり、規制当局の承認次第とし今年末から来年初めまでに手続き完了をめざし、F-35戦闘機により航空防衛産業最大の規模に達するロッキードがUH-60後継の次期米陸軍回転翼機選定にS-97複合ヘリコプターを提示するシコルスキー社を傘下に置くことで防衛需要受注の安定化を図るものとみられるもの。
米陸軍はUH-60後継機を全て従来の回転翼航空機よりも高速を特色とする可動翼機乃至複合ヘリコプターにより代替する構想で、空中機動強襲任務の高速化を期しています。米軍はF-35とMQ-9無人機等の戦域情報能力による戦闘展開の迅速化を志向しており、強襲ヘリコプターについてはUH-60よりも高速度の性能が後継機に求められている点で、従来の汎用ヘリコプターと輸送ヘリコプターや観測ヘリコプターという装備体系と重輸送ヘリコプターの位置づけなどに大きな変革が加わる可能性を示唆しています。
ロッキードマーティン社はメリーランド州ベセスダに本社を置く総合軍需産業で、ロッキード社は1912年に創立した航空産業の老舗でしたが1995年にマーティンマリエッタ社と合併、各種防衛装備品を製造する防衛産業の再編を経て、従業員11万2000名、営業利益は2014年で55億9200万ドルという巨大企業です。ただし、シコルスキー社の買収には80億ドルから90億ドルを要するもので、ロッキード社は1994年のミサイル大手マーティンマリエッタ社買収と並ぶ巨大企業買収となるもよう。
シコルスキー社はコネチカット州ストラトフォードに本社を置く航空企業で従業員15900名、親会社は世界第八位の防衛産業大手ユナイテッドテクノロジーズ社で、主要な製造機としてUH-60多用途ヘリコプターやSH-60哨戒ヘリコプター、CH-53重輸送ヘリコプター、SH-3/HSS-2対潜ヘリコプター、S-92/CH-148多用途ヘリコプター等を生産しています。S-92はV-22可動翼機の開発が難航した際に、暫定中型ヘリコプターとして有力視された機種で製造には三菱重工も参加しています。
技術面で二重反転ローター技術を軸とした複合ヘリコプターを開発しており、2008年にはシコルスキーX2として技術実証機を飛行させています。次期回転翼機選定にはS-97を提案しており、これは可動翼機ではなく複合ヘリコプター型として設計、初飛行を成功させています、オートローテーション時の安定性と匍匐飛行等の超低空運用では回転翼機の方が可動翼機よりも柔軟度が高く、陸上運用では大きな利点です。
S-97の複合ヘリコプター型としての能力特性は、可動翼機では難しい対戦車ヘリコプター用途への将来発展性の余地を残しています。複合ヘリコプター型は機体空気抵抗が可動翼機よりも特性上として多く、急減速能力を有しており、これが匍匐飛行とホバーリングから急加速等の面で優れています、対して可動翼機はMV-22に代表されるように超低空飛行能力は持つものの、回転翼を可動させなければこの動作が対応できません。
一方、現段階でS-97はあくまで偵察ヘリコプターを主眼として開発されている為、兵員輸送能力がS-70/UH-60系統と比較し大きなものが求められていません。ただ、一見して先進的な印象を与えるS-97は1960年代からの複合ヘリコプター型航空機技術研究に依拠し開発され、実証機も数機種既に飛行実績を持ちますので、外縁とは裏腹に手堅い航空機といえるでしょう。
ロッキード社はF-35戦闘機,F-16戦闘機,C-130輸送機等が有名ですが、子会社を含め弾道ミサイル、精密誘導兵器、ミサイル防衛システム、指向性エネルギー兵器、戦闘システム、沿海域戦闘艦、陸上軍用車両、戦闘機、支援航空機、無人航空機システム、レーダー技術、電子戦システム、多機能センサシステム、衛星、アトラスVロケット等を生産しています。
防衛産業大手、2013年の時点で世界最大の防衛産業はロッキードマーティンで、続いてアメリカのボーイング社、三位にイギリスのBAEシステムズ社、四位にアメリカのレイセオン社、五位のアメリカのノースロップグラマン社、六位にアメリカのジェネラルダイナミクス社、七位で欧州EADS社、八位にアメリカのユナイテッドテクノロジーズ社、九位にイタリアのフィンメカニカ社、十位がフランスのタレスグループです。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
ロイター通信によれば防衛産業最大手ロッキードマーティン社が航空大手シコルスキー社の企業買収による子会社化の指針を表明しました。
ロッキードマーティン社のシコルスキー社子会社化、実現の方向で推進しているもようです、早ければ今月中に合意の調印に至るとの見方があり、規制当局の承認次第とし今年末から来年初めまでに手続き完了をめざし、F-35戦闘機により航空防衛産業最大の規模に達するロッキードがUH-60後継の次期米陸軍回転翼機選定にS-97複合ヘリコプターを提示するシコルスキー社を傘下に置くことで防衛需要受注の安定化を図るものとみられるもの。
米陸軍はUH-60後継機を全て従来の回転翼航空機よりも高速を特色とする可動翼機乃至複合ヘリコプターにより代替する構想で、空中機動強襲任務の高速化を期しています。米軍はF-35とMQ-9無人機等の戦域情報能力による戦闘展開の迅速化を志向しており、強襲ヘリコプターについてはUH-60よりも高速度の性能が後継機に求められている点で、従来の汎用ヘリコプターと輸送ヘリコプターや観測ヘリコプターという装備体系と重輸送ヘリコプターの位置づけなどに大きな変革が加わる可能性を示唆しています。
ロッキードマーティン社はメリーランド州ベセスダに本社を置く総合軍需産業で、ロッキード社は1912年に創立した航空産業の老舗でしたが1995年にマーティンマリエッタ社と合併、各種防衛装備品を製造する防衛産業の再編を経て、従業員11万2000名、営業利益は2014年で55億9200万ドルという巨大企業です。ただし、シコルスキー社の買収には80億ドルから90億ドルを要するもので、ロッキード社は1994年のミサイル大手マーティンマリエッタ社買収と並ぶ巨大企業買収となるもよう。
シコルスキー社はコネチカット州ストラトフォードに本社を置く航空企業で従業員15900名、親会社は世界第八位の防衛産業大手ユナイテッドテクノロジーズ社で、主要な製造機としてUH-60多用途ヘリコプターやSH-60哨戒ヘリコプター、CH-53重輸送ヘリコプター、SH-3/HSS-2対潜ヘリコプター、S-92/CH-148多用途ヘリコプター等を生産しています。S-92はV-22可動翼機の開発が難航した際に、暫定中型ヘリコプターとして有力視された機種で製造には三菱重工も参加しています。
技術面で二重反転ローター技術を軸とした複合ヘリコプターを開発しており、2008年にはシコルスキーX2として技術実証機を飛行させています。次期回転翼機選定にはS-97を提案しており、これは可動翼機ではなく複合ヘリコプター型として設計、初飛行を成功させています、オートローテーション時の安定性と匍匐飛行等の超低空運用では回転翼機の方が可動翼機よりも柔軟度が高く、陸上運用では大きな利点です。
S-97の複合ヘリコプター型としての能力特性は、可動翼機では難しい対戦車ヘリコプター用途への将来発展性の余地を残しています。複合ヘリコプター型は機体空気抵抗が可動翼機よりも特性上として多く、急減速能力を有しており、これが匍匐飛行とホバーリングから急加速等の面で優れています、対して可動翼機はMV-22に代表されるように超低空飛行能力は持つものの、回転翼を可動させなければこの動作が対応できません。
一方、現段階でS-97はあくまで偵察ヘリコプターを主眼として開発されている為、兵員輸送能力がS-70/UH-60系統と比較し大きなものが求められていません。ただ、一見して先進的な印象を与えるS-97は1960年代からの複合ヘリコプター型航空機技術研究に依拠し開発され、実証機も数機種既に飛行実績を持ちますので、外縁とは裏腹に手堅い航空機といえるでしょう。
ロッキード社はF-35戦闘機,F-16戦闘機,C-130輸送機等が有名ですが、子会社を含め弾道ミサイル、精密誘導兵器、ミサイル防衛システム、指向性エネルギー兵器、戦闘システム、沿海域戦闘艦、陸上軍用車両、戦闘機、支援航空機、無人航空機システム、レーダー技術、電子戦システム、多機能センサシステム、衛星、アトラスVロケット等を生産しています。
防衛産業大手、2013年の時点で世界最大の防衛産業はロッキードマーティンで、続いてアメリカのボーイング社、三位にイギリスのBAEシステムズ社、四位にアメリカのレイセオン社、五位のアメリカのノースロップグラマン社、六位にアメリカのジェネラルダイナミクス社、七位で欧州EADS社、八位にアメリカのユナイテッドテクノロジーズ社、九位にイタリアのフィンメカニカ社、十位がフランスのタレスグループです。
北大路機関:はるな くらま
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