北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第二〇回):方面情報隊の無人偵察機と沿岸監視部隊

2015-07-12 20:24:14 | 防衛・安全保障
■方面情報隊はどうあるべきか
 方面情報隊はどうあるべきか、現在配置されている部隊をどのように展開させるかについてです。

航空機や機甲部隊を如何に駆使したとしても情報が正確かつ迅速でなければ何等意味がありません、着上陸の迅速な情報収集が筆頭任務として上がるところですが、重要港湾、原子力発電所、重要橋梁、主要高速道路、主要空港、有事の際には特殊部隊等による攻撃の対象となる脆弱な施設が多い。

しかし、これら施設は第一線部隊の行動を支え、併せて航空優勢や制海権維持の作戦部隊の行動を支える上で非常に重要です、もちろん法執行機関による警戒も行われましょうが、警察や海上保安庁の警備能力では限界がある、このように、こうした施設への警戒を行ううえでも特殊部隊浸透への警戒監視は、第一撃を受け防衛出動命令が発令された後においても重要となります。

方面情報隊は、現在の陸上自衛隊でも各方面隊に編成されており、移動監視隊と無人偵察機隊を以て編成されていますが、無人偵察機隊に配備されていますFFOS遠隔操縦観測システムについては一点から一点を観測する装備であることから、方面隊の装備として必ずしも有用かについて一考の余地があります。

提案としては方面特科部隊より旅団に全般支援火力を移管すべきという視点、MLRSを旅団に配備するという提案を行っており、FFOSについてもMLRSとともに装甲機動旅団特科連隊情報中隊に移管する事が望ましいでしょう。構成機材が多く使いにくい装備とのFFOSですが、衛星などの通信支援を受けず、独立した通信中継と管制機材を統合した装備ですので、大袈裟ではありますが、電子妨害等への脆弱性を抑えた装備では、ないこともない。

一方これは師団直轄部隊の項目で提示しますが、導入が開始されていますスキャンイーグル無人機についてはその能力と性能から広域師団無人偵察機隊に移管するべきと考えます、しかし方面隊には無人機は不要であるかと問われた場合そうではなく、陸上防衛全般を考えますと方面隊にはより進出速度の大きなものが必要です。

方面隊には高速度の、若しくは汎用性が高い無人航空機が必要であると考えますので、無人偵察機隊を移管するという表現はあえて避けました。方面隊には防衛基盤として侵攻着上陸地域への迅速な航空情報収集を行い第一線師団へ情報を提供する任務がありますし、統合任務部隊を編成し複数師団を集中させ状況に臨む場合には、移動した師団による防衛上の空隙へ二次上陸が為されないよう、警戒に当たらなければなりません。

主任務は沿岸部における浸透対処任務ですので海上自衛隊が導入するMQ-8無人機のように軽武装が可能で長時間の沿岸監視及び警戒と必要ならば軽攻撃を担う事が可能な航空機か、 MQ-1Cのように長時間にわたり沿岸部を監視可能な航空機を配備し対応する事が望ましい一方、費用面ではスキャンイーグルを当面師団無人偵察機隊とは別に運用し、戦域情報管理と沿岸警戒と師団と方面隊の任務を区分する選択肢も有用やもしれません。

移動監視隊については、二次上陸対処と特に後方の重要施設警戒に必要な部隊であるので、むしろ自動化した監視機材を多数導入し、即応予備自衛官部隊等による湯時の際の後方警備充実という選択肢を考慮する必要はあるところで、光学監視装置と沿岸監視レーダーの装備が師団後方策源地と方面隊拠点への接近経路に対する攪乱攻撃阻止という任務に用いられるため、その任務の特性から師団直轄とするよりは方面隊直轄任務とするのが妥当です。

北大路機関:はるな くらま
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