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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第二回):航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について

2015-07-28 22:08:04 | 防衛・安全保障
■航空自衛隊の改編案の視座
航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について。

南西有事を想定し、現在の大陸側からの南西諸島を戦闘行動半径圏内に含める第四世代戦闘機数の劇的増大と、南西諸島沖縄本島を射程内に含める弾道ミサイル脅威の数的増大を背景に有事の際には全国からの航空部隊を急速に集中させる改編が必要との視座に基づき、必要な改編案を提示する、というもの。

現在の航空自衛隊戦闘機定数は280機と冷戦最盛期の350機を大きく割り込む状況下にあるものの、冷戦期には装備しない早期警戒管制機の配備や早期警戒機の強化、基地防空部隊の整備と航空掩体の整備、空中給油輸送機配備による滞空時間延伸や輸送機による輸送能力強化を踏まえ、戦闘機定数を現在の水準とし、稼働率を強化する視点が重要、との視点を加えつつ論述します。

一方で想定戦闘空域が南西諸島における防空戦闘であり、航空自衛隊の起点となる基地が平時には那覇基地のみ、南西諸島北部の防空には南九州新田原基地、更に発着可能で有事の際に即座に展開可能な基地には南九州鹿屋基地が含まれる程度、基地機能維持へ必要な資材運搬に陸路や鉄道が使いにくい現状を特性としなければならないところ。

こうしたなかで、航空自衛隊の現在の航空機と、特に戦闘機は当面近代化に限られ、その数的増勢を見込める要素はありませんが、現在進められる施策としまして、早期警戒機の増勢、空中給油機の増勢、輸送機の大型化など、幾つかの要素が加わり、数的劣勢を質的な部分で対応できる余地は多少多いといえるやもしれません。

しかしながら、例えばF-4EJ後継機に航空自衛隊はF-35を導入し、F-15初期型のPre-MSIP機についてもF-35を導入する方向で進められると目されるのですが、数的に不足する部分を増勢で補う模索は現実的ではありません、例えばF/A-18E/F戦闘機を60機程度緊急調達する予算的余裕、補助戦闘機として用い得るJAS-39戦闘機の高等練習機としての96機程度の調達、などは予算面で、不可能でしょう。

ただ、楽観要素として、冷戦期の北海道防空は航空自衛隊の主幹であり、三沢基地へアメリカ第35戦闘航空団駐留が開始される1980年代末までは航空自衛隊のみの防空作戦が必要であったが、沖縄本島にはアメリカ第18航空団の戦闘機部隊や早期警戒管制機が前方展開し、海兵隊普天間飛行場の起点としての要素を含めれば、日米共同が可能であり、楽観要素といえようものの一つ。

この中で、並行して国家財政の悪化からの脱却も国家的課題である我が国の現状に鑑み、航空自衛隊は戦闘機定数を大きく増強することなく、現在の装備水準と次期戦闘機や早期警戒機増強に新輸送機など配備計画が進む航空機整備計画の枠内での本土防空任務が可能であるのか不可能であるのかとの視点が併せて必要と考えるしだい。

北大路機関:はるな くらま
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コメント (3)
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