■日本の再発防止要請を韓国拒否
日韓の錯誤に終わると思われた昨年末の事案が事件へと拡大しています、両国関係へ防衛上無視できない大きな歪が生じるかもしれません。
海上自衛隊のP-1哨戒機に対し韓国駆逐艦クァンゲト-デワンが2018年12月20日能登半島沖の我が国排他的経済水域において火器管制レーダーを使用しました。第二北大路機関へ掲載していましたが、韓国側の謝罪で早期収束するとの見通しは無くなり、改めて1月5日に今回の事案をまとめました。この行為はミサイル照準を行う行動、通常は行いません。
能登半島沖、12月20日1500時頃、韓国海軍艦艇と公船が海上に遊弋している状況を厚木基地第4航空群所属のP-1哨戒機が発見しました。P-1は当該艦船周辺を飛行していたところ、突如クァンゲト-デワンより指向性の高いレーダー照射を受け、火器管制レーダーによる脅威電波と判断したP-1哨戒機は回避行動を採ると共に衛星回線で本省へ報告しました。
韓国海軍駆逐艦クァンゲト-デワンと海洋警察庁所属警備船サンボンギョの遊弋している様子と、その付近に浮かぶ国籍不明漁船の様子はP-1哨戒機が写真を撮影すると共に動画を撮影していまして、この動画は二転三転する韓国側の反論として防衛省が公開しています。そして動画からは遺憾な程に韓国側の主張が事実と反している様子が映されていましたね。
シースパローミサイルでいきなり攻撃される可能性がありました、防衛省動画には乗員が衛星回線で報告する旨を話していますが、撃墜された場合への備えです。火器管制レーダーは2013年1月30日に発生した中国海軍レーダー照射事件として中国海軍フリゲイト連雲港が護衛艦ゆうだち、に対し使用し日中関係にて大問題になった事をご記憶でしょう。
P-1哨戒機は回避行動を採った後、121.5MHz VHF緊急周波数、156.8MHz国際VHF、243.0MHz UHF緊急周波数にて各二回の合計六回、韓国艦に対し火器管制レーダー使用の意図を問うたものの、韓国艦からの一切の応答はありませんでした。ただ、返答の代わりに数分間に渡り複数回の火器管制レーダー照射が行われており、偶発事故ではありません。
日韓防衛当局は衛星会議システムにより本件事案についての討議が行われましたが、日本側が航空法施行規則と国際民間航空条約第2付属書に基づく範囲内での飛行を行い威嚇行為は行っていない、との主張に対し、韓国側が日本側が虚偽発表を行っているとして反発したと報道されています。日本側としては再発防止を求めており、平行線のまま推移する。
再発防止を求める防衛省に対し、韓国側の反論が二転三転し、実はこの事件は政治点で第二北大路機関において速報し、その状況を紹介しているのですが、当初当方は韓国側が遺憾の意を表明し、形式的な謝罪を経て2018年内に鎮静化すると思っていました。しかし、韓国側が意味不明の反論を行うと共に正当化を図り、予想外に長期化してしまいました。
二転三転とは、韓国海軍が北朝鮮船舶を救助作業中であり悪天候により火器管制レーダーを用いて捜索を行っていた、そもそもP-1哨戒機に対する火器管制レーダーの使用は行っていない、P-1哨戒機が駆逐艦上空を低空飛行した為に危険を感じて火器管制レーダーを作動させた、上空は飛行していないが威嚇飛行を用いた事は間違いない、と二転三転です。
二転三転しては議論が成り立ちませんが、火器管制レーダーを使用しても海上の遭難船舶捜索は不可能である点、そもそも悪天候ではなくP-1哨戒機から目視で韓国艦船と北朝鮮遭難船舶が近距離に見えている状況であったとしましたが、韓国側は日本発表を捏造であると非難、12月28日に政府はP-1哨戒機が撮影した事件当時の動画をWeb公開しました。
事態は収束しませんでした、韓国側は日韓衛星テレビ会議において当時の映像を公開しない事を要請したとして、韓国側の主張と異なる事実を公開した事に対し激しく抗議しました。また、映像は客観的ではないとして、韓国側にも映像公開の用意がある事を発表、P-1哨戒機による威嚇があったとして改めて抗議し、火器管制レーダー使用を事実上認めます。
クァンゲト-デワンはKDX-1計画として韓国海軍が初めて建造した外洋型水上戦闘艦での一番艦で1998年に竣工、同型艦が3隻あります。韓国海軍艦艇としては当時最大のもので、海上自衛隊はつゆき型護衛艦に準じる大きさであり、同年に挙行された韓国建国記念国際観艦式にて金大中大統領が乗艦した駆逐艦です。艦対空ミサイルも初めて搭載しました。
火器管制レーダーは対空レーダーにより発見した目標に対しミサイル等を誘導する正確な照準を行うためのレーダーであり、戦闘機でいうところの“ロックオン”を行う装置です。これを使用した場合、国際法上の武力攻撃には当たりませんが武力行使の定義に含まれ、照準された側はミサイル欺瞞用チャフやフレアーを用いた回避行動を採る事もあります。
防衛省報道発表画像にはクァンゲト-デワンの後部火器管制装置が撮影側、つまりP-1哨戒機へ指向されている明確な写真があります。韓国側の反論の一つに、火器管制装置が指向していても主砲は指向していないというものがありました。しかし、クァンゲト-デワンにはMk41VLSに搭載されたシースパロー艦対空ミサイルがあり、指向の必要がありません。
韓国側は日本側が事実の歪曲を行っている根拠として、火器管制レーダーにより照準されたのならば再度接近する事は有り得ない、としています。しかし、動画に示されている通り、衛星通信により本省へ通知している点は、この後に仮に撃墜されたとしても航空救難を受けられるよう、事実がどうであったかを知らせる為、非情な程の胆力で実施でしょう。
1月4日、韓国側が動画を発表しました。仕事始めは日韓一緒なのか、と妙に感心しましたが、発表動画は残念ながら日本側が撮影した画像を再編集した四分以上の動画に韓国海洋警察撮影の十秒程度の動画を加えたものでした。また、信じがたい事に証拠動画の音声部分が全般に渡り演出用音楽により塗潰されており、あれでは単なるプロパガンダ動画です。
ミル/シュトリヒ計算法により韓国海洋警察が発表した十秒間の動画ではクァンゲト-デワンとP-1哨戒機が写り込んでいるのですが、当該画像が撮影された際の海洋警察サンボンギョとクァンゲト-デワンの距離はP-1哨戒機から撮影されており、全長38mのP-1とクァンゲト-デワン135mから算定しますと、やはり高度200m程度、離隔は3000m以上ある。
ミル/シュトリヒ計算法は幅の分っている基準目標から距離を概算するのですが、戦車砲照準器等で目標までの距離を測る手法で、テレビアニメ“ガールズ&パンツァー”等でも有名になりました。ただ、サンボンギョとクァンゲト-デワン離隔距離が概算である事から、高度200m程度、離隔は3000m以上は最低値であり、もう少し距離があるかもしれません。
日本側は再発防止を求めているのですが、これを韓国側は日本へ謝罪する事への劣等感と勘違いしている印象が否めません。しかし、再発防止の意図は火器管制装置の照射が恒常化したならば、偶発的ミサイル発射に繋がりかねない。韓国海軍は簡単に武力行使を行う様な統制のとれない無法者ではないと信じたく、原因究明と再発防止措置を望みたいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
日韓の錯誤に終わると思われた昨年末の事案が事件へと拡大しています、両国関係へ防衛上無視できない大きな歪が生じるかもしれません。
海上自衛隊のP-1哨戒機に対し韓国駆逐艦クァンゲト-デワンが2018年12月20日能登半島沖の我が国排他的経済水域において火器管制レーダーを使用しました。第二北大路機関へ掲載していましたが、韓国側の謝罪で早期収束するとの見通しは無くなり、改めて1月5日に今回の事案をまとめました。この行為はミサイル照準を行う行動、通常は行いません。
能登半島沖、12月20日1500時頃、韓国海軍艦艇と公船が海上に遊弋している状況を厚木基地第4航空群所属のP-1哨戒機が発見しました。P-1は当該艦船周辺を飛行していたところ、突如クァンゲト-デワンより指向性の高いレーダー照射を受け、火器管制レーダーによる脅威電波と判断したP-1哨戒機は回避行動を採ると共に衛星回線で本省へ報告しました。
韓国海軍駆逐艦クァンゲト-デワンと海洋警察庁所属警備船サンボンギョの遊弋している様子と、その付近に浮かぶ国籍不明漁船の様子はP-1哨戒機が写真を撮影すると共に動画を撮影していまして、この動画は二転三転する韓国側の反論として防衛省が公開しています。そして動画からは遺憾な程に韓国側の主張が事実と反している様子が映されていましたね。
シースパローミサイルでいきなり攻撃される可能性がありました、防衛省動画には乗員が衛星回線で報告する旨を話していますが、撃墜された場合への備えです。火器管制レーダーは2013年1月30日に発生した中国海軍レーダー照射事件として中国海軍フリゲイト連雲港が護衛艦ゆうだち、に対し使用し日中関係にて大問題になった事をご記憶でしょう。
P-1哨戒機は回避行動を採った後、121.5MHz VHF緊急周波数、156.8MHz国際VHF、243.0MHz UHF緊急周波数にて各二回の合計六回、韓国艦に対し火器管制レーダー使用の意図を問うたものの、韓国艦からの一切の応答はありませんでした。ただ、返答の代わりに数分間に渡り複数回の火器管制レーダー照射が行われており、偶発事故ではありません。
日韓防衛当局は衛星会議システムにより本件事案についての討議が行われましたが、日本側が航空法施行規則と国際民間航空条約第2付属書に基づく範囲内での飛行を行い威嚇行為は行っていない、との主張に対し、韓国側が日本側が虚偽発表を行っているとして反発したと報道されています。日本側としては再発防止を求めており、平行線のまま推移する。
再発防止を求める防衛省に対し、韓国側の反論が二転三転し、実はこの事件は政治点で第二北大路機関において速報し、その状況を紹介しているのですが、当初当方は韓国側が遺憾の意を表明し、形式的な謝罪を経て2018年内に鎮静化すると思っていました。しかし、韓国側が意味不明の反論を行うと共に正当化を図り、予想外に長期化してしまいました。
二転三転とは、韓国海軍が北朝鮮船舶を救助作業中であり悪天候により火器管制レーダーを用いて捜索を行っていた、そもそもP-1哨戒機に対する火器管制レーダーの使用は行っていない、P-1哨戒機が駆逐艦上空を低空飛行した為に危険を感じて火器管制レーダーを作動させた、上空は飛行していないが威嚇飛行を用いた事は間違いない、と二転三転です。
二転三転しては議論が成り立ちませんが、火器管制レーダーを使用しても海上の遭難船舶捜索は不可能である点、そもそも悪天候ではなくP-1哨戒機から目視で韓国艦船と北朝鮮遭難船舶が近距離に見えている状況であったとしましたが、韓国側は日本発表を捏造であると非難、12月28日に政府はP-1哨戒機が撮影した事件当時の動画をWeb公開しました。
事態は収束しませんでした、韓国側は日韓衛星テレビ会議において当時の映像を公開しない事を要請したとして、韓国側の主張と異なる事実を公開した事に対し激しく抗議しました。また、映像は客観的ではないとして、韓国側にも映像公開の用意がある事を発表、P-1哨戒機による威嚇があったとして改めて抗議し、火器管制レーダー使用を事実上認めます。
クァンゲト-デワンはKDX-1計画として韓国海軍が初めて建造した外洋型水上戦闘艦での一番艦で1998年に竣工、同型艦が3隻あります。韓国海軍艦艇としては当時最大のもので、海上自衛隊はつゆき型護衛艦に準じる大きさであり、同年に挙行された韓国建国記念国際観艦式にて金大中大統領が乗艦した駆逐艦です。艦対空ミサイルも初めて搭載しました。
火器管制レーダーは対空レーダーにより発見した目標に対しミサイル等を誘導する正確な照準を行うためのレーダーであり、戦闘機でいうところの“ロックオン”を行う装置です。これを使用した場合、国際法上の武力攻撃には当たりませんが武力行使の定義に含まれ、照準された側はミサイル欺瞞用チャフやフレアーを用いた回避行動を採る事もあります。
防衛省報道発表画像にはクァンゲト-デワンの後部火器管制装置が撮影側、つまりP-1哨戒機へ指向されている明確な写真があります。韓国側の反論の一つに、火器管制装置が指向していても主砲は指向していないというものがありました。しかし、クァンゲト-デワンにはMk41VLSに搭載されたシースパロー艦対空ミサイルがあり、指向の必要がありません。
韓国側は日本側が事実の歪曲を行っている根拠として、火器管制レーダーにより照準されたのならば再度接近する事は有り得ない、としています。しかし、動画に示されている通り、衛星通信により本省へ通知している点は、この後に仮に撃墜されたとしても航空救難を受けられるよう、事実がどうであったかを知らせる為、非情な程の胆力で実施でしょう。
1月4日、韓国側が動画を発表しました。仕事始めは日韓一緒なのか、と妙に感心しましたが、発表動画は残念ながら日本側が撮影した画像を再編集した四分以上の動画に韓国海洋警察撮影の十秒程度の動画を加えたものでした。また、信じがたい事に証拠動画の音声部分が全般に渡り演出用音楽により塗潰されており、あれでは単なるプロパガンダ動画です。
ミル/シュトリヒ計算法により韓国海洋警察が発表した十秒間の動画ではクァンゲト-デワンとP-1哨戒機が写り込んでいるのですが、当該画像が撮影された際の海洋警察サンボンギョとクァンゲト-デワンの距離はP-1哨戒機から撮影されており、全長38mのP-1とクァンゲト-デワン135mから算定しますと、やはり高度200m程度、離隔は3000m以上ある。
ミル/シュトリヒ計算法は幅の分っている基準目標から距離を概算するのですが、戦車砲照準器等で目標までの距離を測る手法で、テレビアニメ“ガールズ&パンツァー”等でも有名になりました。ただ、サンボンギョとクァンゲト-デワン離隔距離が概算である事から、高度200m程度、離隔は3000m以上は最低値であり、もう少し距離があるかもしれません。
日本側は再発防止を求めているのですが、これを韓国側は日本へ謝罪する事への劣等感と勘違いしている印象が否めません。しかし、再発防止の意図は火器管制装置の照射が恒常化したならば、偶発的ミサイル発射に繋がりかねない。韓国海軍は簡単に武力行使を行う様な統制のとれない無法者ではないと信じたく、原因究明と再発防止措置を望みたいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)