北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】航空自衛隊T-4練習機後継機RFI情報提案書,アメリカ空軍オールビン参謀長軽戦闘機コンセプト構想発表

2024-12-24 20:20:27 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連の話題です。

 アメリカ空軍のオールビン参謀長は軽戦闘機コンセプトという画期的な構想を発表しました、しかし過去に幾度も同様の失敗を重ねている構想でもあります。ベビットオールビン空軍参謀長はイギリスで行われたRAeSイギリス航空協会の講演会において登壇、変化の大きな航空戦闘に対応するには長期的視野は最早見通せない、と発言しました。

 軽戦闘機コンセプトとは、長期間の運用を前提とした戦闘機に様々な装備を搭載するのではなく、現在の脅威に対応する能力が将来の戦闘に対応する確証はない不確かな時代には耐久性や機体強度を犠牲にしてでも順応性を重視すべきとして、機体寿命の短い安価な機体を短期間で設計しその時々の戦闘に対応して設計すべきだ、と発言しました。■

 航空自衛隊のF-2戦闘機がシンガポールを訪問しました。これは8月27日、インドにおいて実施されるタランシャクティ演習へ参加する途中にシンガポールを経由したもので、F-2戦闘機2機がシンガポール空軍のパヤレバー空軍基地を短期間ですが訪問する事となりました。シンガポールにF-2戦闘機が短時間とはいえ着陸するのは初となる。

 インドにおいて実施されるタランシャクティ演習はタミルナドゥ州のスルール空軍基地において8月29日から9月14日まで実施され、これにはインド空軍と航空自衛隊のほか、フランス空軍、スペイン空軍、ドイツ空軍、イギリス空軍、オーストラリア空軍、ギリシャ空軍、アメリカ空軍、アラブ首長国連邦空軍などが参加しています。■

 イギリスのBAEシステムズ社はキャプチャーE-ECRS-Mk2レーダー搭載機の初飛行に成功しました。これはイタリアのレオナルド社が設計したユーロファイター戦闘機用に開発されていたAESA方式の次世代レーダーで、レオナルドUK社が製造したものをBAEシステムズ社がユーロファイター戦闘機用にシステム統合したものです。

 ユーロファイターが従来搭載しているキャプチャーレーダーは、遅れていたAESA方式のレーダーとして一定の完成度を有するところとはなりましたが、改良型のキャプチャーE-ECRS-Mk2レーダーは高度な電子戦能力も付与されることとなり、敵対勢力の脅威圏外においての任務遂行能力向上を意味します。今後は試験を経て実戦配備へ進む。■

 航空自衛隊T-4練習機後継機に関するRFI情報提案書を防衛装備庁が募集開始しました。募集開始は10月4日、T-4練習機は航空自衛隊の基本操縦課程全てを担う航空機と位置付けられており、また今回の募集にはT-4練習機後継機と共に座学や模擬飛行訓練と飛行計画作成の訓練に用いる地上訓練装置なども含めた募集となっています。

 防衛装備庁が募集するのは国産開発計画の募集であり、また国産開発を主としながら同時に代替機となり得る輸入企業についても募集する方針です。T-4練習機は練習機としての本来用途とともに航空団司令部や航空方面隊司令部と航空幕僚監部に在籍する要員でウイングマークを有する要員の年間技量維持飛行や連絡飛行などにも用いられます。■

 ルーマニア空軍はF-35A戦闘機に関する72億ドル規模の有償供与承認をアメリカ国務省より受けました。72億ドルの契約はF-35A戦闘機32機とその関連機材に関するもので、アメリカ国務省はルーマニアがNATO加盟国であるとともに黒海地域に面しており、地域安定化への空軍力近代化の必要性の大きさから有償供与を許可したとしています。

 F-35戦闘機32機とともに72億ドルの内訳は、プラットアンドホイットニーF135-PW-100エンジン33基を含み弾薬なども調達される見通し。ルーマニア空軍は最終的に48機のF-35A戦闘機を導入する計画で、第二段階の16機については後年調達する。ルーマニア空軍は冷戦時代にMiG-23,冷戦後MiG-29を取得しましたが2004年までに退役している。

 MiG-21戦闘機近代化改修型をルーマニア空軍は運用していますが、NATO加盟国としては古すぎ性能も不足することから、ノルウェー空軍が運用していた中古のF-16AM戦闘機26機の導入計画を進めているもののF-16AMでは性能も老朽化の度合いも問題であることから、ルーマニア空軍は長期間にわたり運用が可能である第五世代機F-35Aを選定しました。

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ウクライナ情勢-ロシア軍はクラホフ周辺の要衝を制圧,冬季インフラ攻撃へ開戦以来最大規模のミサイル攻撃

2024-12-24 07:00:57 | 防衛・安全保障
■防衛情報ーウクライナ戦争
 今回も暗いニュースが多く日本の場合はこうした将来を見据えた戊エ有為計画の必要性をという毎回の出だしと共に。

 ロシア軍はクラホフ周辺の要衝を制圧したものとみられる、ISWアメリカ戦争研究所が12月13日に発表したウクライナ戦況報告によれば、クラホペ周辺のウスペニフカとハニフカ周辺においてウクライナ軍部隊を駆逐し、突出部を確保した可能性が高い、と分析しています。またこの際にウフレダール周辺においても進出した可能性が高いとのこと。

 クラホペ周辺のウスペニフカとハニフカ周辺はクラホフからロシア軍が前進する場合において地形障害の無い地域に進出した事を意味していて、ロシア軍がウクライナ軍防衛の要所を制圧した事で大きく前進する可能性がでてきましたことを示しています。この方面においてロシア軍は弾薬を潤沢に使用している、という情報も紹介しました。


 ロシア軍は12月12日から13日にかけ開戦以来最大規模のミサイル攻撃を実施したと、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告12月13日付発表で分析しました。ウクライナ空軍によれば、この攻撃には弾道ミサイル7発、巡航ミサイル87発、無人機193発が発射され、ウクライナ空軍は大規模な迎撃戦を実施したという。

 ウクライナ空軍によれば弾道弾1発と巡航ミサイル80発及び無人機105機を撃墜したとしていますが、ウクライナのエネルギー企業DTEKによればこの攻撃により広範囲の電力供給網と火力発電所が破壊されたとしています。ロシア軍は開戦以来、冬季にエネルギー施設を攻撃し暖房施設などを破壊するインフラ攻撃を続けています。


 ロシア軍はライマン地区において大規模な歩兵攻撃の準備を行っている、これは12月13日付ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告によるもので、この地域を防衛するウクライナ軍報道官の発言を紹介、これによればライマン方面での攻撃は今後数週間以内に本格化する可能性が高いとのこと。チャシブヤール近郊でも歩兵部隊浸透がみられるという。

 歩兵部隊による攻撃は、タヴリスク群報道官ヴォロシン大佐の発言でも小規模な歩兵部隊による絶え間ない攻撃により浸透を続けているとしています、こうした攻撃によりロシア軍歩兵部隊はかなりの損害を受けていると分析していますが、損害が大きくともヴェリカノヴォシルカを制圧する為の決意は変わっていない、と分析しています。

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