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【京都幕間旅情】金地院-鶴亀の庭を眺めつつ顧みる以心崇伝さんと天海さんの幕府巡る権力闘争と家康の遺産

2023-10-18 20:00:42 | 写真
■徳川家康と以心崇伝
 この情景を撮影したのは最初の紹介から見ればつい先日となるのですが夏空が僅か数日で秋空となった不思議な情景は思い返しても面はゆい。

 金地院は、拝観の際に巡ってみますと変化に富んでいまして面白い。小堀遠州作の作庭であります鶴亀の庭が国の特別名勝に指定されていまして、方丈の縁側、桁行十一間に梁間七間という本堂の縁側から、それほど混雑もなくゆったりと眺めて時を愉しめるのだ。

 富貴の間、というような方丈には幾つかの障壁画を並べました部屋が続くのですが、時間別の特別公開ということ。自由気ままに生田いところを散策し拝観し物思いにふける、わたしが予定の敷かれた日程に任せるのはお仕事の時と自衛隊行事のときくらい、かな。

 東照宮、浄土庭園風の池泉回遊庭園を少し起伏に気遣いながらそう歩み進めていますと、忽然と、もちろん日光や久能山ほどではないけれども浜松東照宮や広島東照宮よりは存在感のある神域に急に巡り合いまして、家康の遺髪と念持仏を奉じているという。

 明智門、さてこの金地院さんの入り口には明智光秀がご母堂を弔うべく天正10年こと1582年に大徳寺に寄進したものです。それを明治維新のいろいろあった時代に買い入れて移築したという。それまではここに伏見城の城門がありましたが、それはいま豊国神社に。

 天海さんが、実は明智光秀ではないのか、という俗説があるようで大河ドラマ“麒麟が来る”でもそのような描写がありましたが、天海さんが出自を語らなかったことが背景にあるとも。ただ明智光秀の存命中に興福寺や武田信玄との対話の記録もあり、整合性が。

 以心崇伝さんと天海さん、家康没後の権力争いでは天海さんが優位となりましたが、以心崇伝さんは武家の出で室町幕府名門の家柄ということもありまして、東照宮を京都に託すあたりをみていますと、家康に大切にされていたのだなあ、ということを感じます。

 神仏合集とはこういうことか、と思いつつも当地への東照宮造営は家康の遺言といいまして。金地院は江戸城内にも造営されたものの金地院さんの没後は海岸沿いに遷され、この背景には天海さんとの権力争いの結果ともいわれています、けれども東照宮がここに。

 僧録職。室町時代から僧侶の任免統括は相国寺塔頭鹿苑院院主が担っていましたが、幕府は元和5年こと西暦1619年に金地院住持を僧録職としまして、10万石の格式を与えられることとなりました。実際、東照宮のあります金地院を幕府は蔑ろにできません。

 徳川家光は京都上洛の際、金地院さんには狩野探幽の障壁画といった調度品に加えてが伏見城の一部を与えた、といい、それがこの方丈、と。ただ移築の痕跡が残っていない事が昭和時代の調査で判明しているゆえに逸話ともいわれるのですが、大切にされていた。

 廃仏毀釈。さてさて、江戸時代にはこう大切にされていましたが時代は明治を迎えますと日本近代史では第二次世界大戦と並ぶ文化財破壊となりました廃仏毀釈により多くの寺院が破壊されました、いや神道を奉護しつつ、しかし整理統合による破壊もすすんだ。

 寺大名とも呼ばれた金地院さん、僧録職を担っていましたのでそれはもう薩長を中心とした維新政府には目の敵にされるような条件がそろっていたのですが、先ず、東照宮があることを立てにここは寺院ではなく神社の要素があるのだ、と強調しました、そして。

 院の名を奉じる金地院は仏教寺院ではなく同情的な要素を持つものでもあると頑張りまして、廃寺を免れた、という歴史があります。なるほど、東照宮を当地にという家康の以心崇伝さんへの遺言は、遥かな時を隔て金地院を護ることとなった、不思議な歴史です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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