■新しい88艦隊
八月は新しい88艦隊として目一杯かきましたので九月に質疑的な備忘録を。
観艦式の際の写真とともに、先月末まで六回にわたり掲載しました新しい88艦隊という毎年恒例の話題へのちょっと幾つかありました反響のようなものを紹介しまして、これは特集ではないのですけれども、2012年の平和な時代の観艦式とくらべてみましょう。
反撃能力という観点から、仮にどのような国であっても日本への大規模なミサイル攻撃、特に東京や大阪などの主要都市への無差別攻撃が行われ、且つ継続的に攻撃の懸念がある場合には反撃能力を行使する覚悟か、すべて撃ち落とす防空能力抜本強化が必要だ。
専守防衛の観点から考えるならば、防空能力抜本強化、というところになるのかもしれませんが、ロシアウクライナ戦争においてウクライナへ撃ち込まれた巡航ミサイルや自爆用無人機と弾道ミサイルの数は最初の一年間で8000発、いまや一万の大台となった。
防空能力抜本強化、これはいうだけならば文字数漢字八文字で簡単なのですが、迎撃ミサイルを数万発単位で準備し発射器も一千基近く準備するという必要性を考えますと、とてもではありませんが、自衛隊とは別のミサイル防衛隊という数兆円の予算が必要です。
反撃能力はこうした観点から、ほかに選択肢がないという、つまり専守防衛のためだけに無尽蔵に迎撃用の地対空ミサイルを購入し続けることに国民の理解が得られない現実から出た代替案、という視座なのでしょうが、権威主義国家を相手とする視点が抜けていた。
ロシアウクライナ戦争を見る限り、指揮中枢への打撃を考えればモスクワとサンクトペテルブルクを叩かなければ意味がない、この現実に対応するようにウクライナ軍はモスクワと周辺部への無人機攻撃を開戦一年後から本格化させています。さて日本の場合は。
大西洋まで護衛艦隊を派遣させ、スタンドオフミサイルやトマホークミサイルにより反復攻撃を行う必要性、こうしたものを提示した訳です。これは同時にグローバルな規模での海上打撃力を誇示することで、相手に日本への無差別攻撃を思い止まらせる狙いも。
反撃能力を考える必要性はわかるが憲法改正の方が先ではないか、憲法を改正に反対するのではなく現行憲法のままここまでの反撃を行うには無理がある、こうした意見はありましたし、確かに解釈改憲には限界があるのではないか、と考えさせられる点でもある。
能力公使をどの時点で行うのか。もう一つの視点は、自衛隊は多くを反撃能力の整備へ既存のリソースを集約しており、所謂伝統的な専守防衛の能力を抑えている。もちろん侵略されれば即座に反撃能力を行使すべきだ、という無茶な視点は友人知人ではいない。
グレーゾーン事態でいきなり上海に巡航ミサイルを撃ち込めば全面戦争になるし、特殊部隊が原発周辺で遊撃戦を展開したからといってラジンを空爆するわけにもいかない。では沖縄以南で食い止めるか九州上陸まで待つか、本土決戦か、と明確な分水嶺がないのだ。
反撃能力公使の要件を法整備する必要までは相手に手の内を見せる事にもなるので反対だけれども、どこまで政治主導で行うのか、政治の決断はどのように立法府が追認するのか、逆に考えればそのための非常事態法制を無しに装備だけ整備しても、とも危惧する。
当然これは考えておくべき視点なのだけれども、これまで、なにしろ有事法制というものが認識され整備され始めたのが小泉内閣時代なのですから、後手に回りすぎている、という認識を持たねばなりません、そして棚上げしたままの防衛力整備にも違和感があるのだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
八月は新しい88艦隊として目一杯かきましたので九月に質疑的な備忘録を。
観艦式の際の写真とともに、先月末まで六回にわたり掲載しました新しい88艦隊という毎年恒例の話題へのちょっと幾つかありました反響のようなものを紹介しまして、これは特集ではないのですけれども、2012年の平和な時代の観艦式とくらべてみましょう。
反撃能力という観点から、仮にどのような国であっても日本への大規模なミサイル攻撃、特に東京や大阪などの主要都市への無差別攻撃が行われ、且つ継続的に攻撃の懸念がある場合には反撃能力を行使する覚悟か、すべて撃ち落とす防空能力抜本強化が必要だ。
専守防衛の観点から考えるならば、防空能力抜本強化、というところになるのかもしれませんが、ロシアウクライナ戦争においてウクライナへ撃ち込まれた巡航ミサイルや自爆用無人機と弾道ミサイルの数は最初の一年間で8000発、いまや一万の大台となった。
防空能力抜本強化、これはいうだけならば文字数漢字八文字で簡単なのですが、迎撃ミサイルを数万発単位で準備し発射器も一千基近く準備するという必要性を考えますと、とてもではありませんが、自衛隊とは別のミサイル防衛隊という数兆円の予算が必要です。
反撃能力はこうした観点から、ほかに選択肢がないという、つまり専守防衛のためだけに無尽蔵に迎撃用の地対空ミサイルを購入し続けることに国民の理解が得られない現実から出た代替案、という視座なのでしょうが、権威主義国家を相手とする視点が抜けていた。
ロシアウクライナ戦争を見る限り、指揮中枢への打撃を考えればモスクワとサンクトペテルブルクを叩かなければ意味がない、この現実に対応するようにウクライナ軍はモスクワと周辺部への無人機攻撃を開戦一年後から本格化させています。さて日本の場合は。
大西洋まで護衛艦隊を派遣させ、スタンドオフミサイルやトマホークミサイルにより反復攻撃を行う必要性、こうしたものを提示した訳です。これは同時にグローバルな規模での海上打撃力を誇示することで、相手に日本への無差別攻撃を思い止まらせる狙いも。
反撃能力を考える必要性はわかるが憲法改正の方が先ではないか、憲法を改正に反対するのではなく現行憲法のままここまでの反撃を行うには無理がある、こうした意見はありましたし、確かに解釈改憲には限界があるのではないか、と考えさせられる点でもある。
能力公使をどの時点で行うのか。もう一つの視点は、自衛隊は多くを反撃能力の整備へ既存のリソースを集約しており、所謂伝統的な専守防衛の能力を抑えている。もちろん侵略されれば即座に反撃能力を行使すべきだ、という無茶な視点は友人知人ではいない。
グレーゾーン事態でいきなり上海に巡航ミサイルを撃ち込めば全面戦争になるし、特殊部隊が原発周辺で遊撃戦を展開したからといってラジンを空爆するわけにもいかない。では沖縄以南で食い止めるか九州上陸まで待つか、本土決戦か、と明確な分水嶺がないのだ。
反撃能力公使の要件を法整備する必要までは相手に手の内を見せる事にもなるので反対だけれども、どこまで政治主導で行うのか、政治の決断はどのように立法府が追認するのか、逆に考えればそのための非常事態法制を無しに装備だけ整備しても、とも危惧する。
当然これは考えておくべき視点なのだけれども、これまで、なにしろ有事法制というものが認識され整備され始めたのが小泉内閣時代なのですから、後手に回りすぎている、という認識を持たねばなりません、そして棚上げしたままの防衛力整備にも違和感があるのだ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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