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令和二年-新年防衛論集:日本の防衛世界の平和【5】装甲機動打撃力再編の胎動と新師団論

2020-01-06 20:10:35 | 北大路機関特別企画
■多次元防衛力時代の師団論
 イギリス型陸軍という事ではないが機械化と装甲化を強靭に進め陸海空統合運用の海に出るには陸上防衛力は8万から9万への再編が必要に思います。

 陸上防衛力は再編により強靭さと機動力を両立しつつ最適化する必要があるように思う。逆に表現するならば一個師団の戦域は現代、際限なく拡大しており安易に二方面の脅威が及ぶ時代ではない、しかし師団正面に曝される圧力は増大する為、現在の装備体系や部隊体系では対応できない打撃力に曝され得る。また経済力でも同様の制限が生じている。

 旭川の第2師団を司令部と兵站部隊のみ残し第2機甲師団とし、隷下に帯広の第5旅団と東千歳の第7師団を改編した第7旅団と真駒内の第11旅団を置く。練馬の第1師団を司令部と兵站部隊のみ残し第1広域師団とし、隷下に青森の第9師団と神町の第6師団を旅団化するとともに第1空挺団と中央即応連隊に水陸機動連隊などをそのまま隷下に置く。

 千僧の第3師団を広域師団として隷下に守山第10師団と相馬原第12旅団に海田市の第13旅団を置く。福岡の第4師団を広域師団として隷下に第8師団と第14旅団と第15旅団を、など。第1師団、第2師団、第3師団、第4師団、一見は少なくも見えますが、例えばフランスとドイツとイタリアなど欧州NATO諸国は現在、大型師団2個体制となっています。

 師団は三個旅団を隷下に置き装甲機動旅団と遠征機動旅団を各一個置き、即応機動旅団か水陸機動旅団を置く三個旅団編成。一個師団は16000名規模、四個師団で64000名規模と。9万陸上防衛体制、平成初期の陸上自衛隊は18万名を定数としていましたが、機械化と各種航空装備を充実させることで9万名規模が現実的な数値となるのではないでしょうか。

 問題点はこれまで削減させるための方便として部隊の名を変えていた印象がります、そして全普通科連隊に配備されるふれこみの96式装輪装甲車や北海道の師団にい個連隊は置かれるはずの89式装甲戦闘車は配備されませんでした、この悪弊は断ち切る必要があります。削減への方便としての機械化ではなく、機械化させることで人員規模が収斂するという。

 しかし単純な縮小ではありません、すべての師団を機動運用部隊とするのですから、防衛正面は現在の着上陸地域を守る地域配備師団の五千前後に二個乃至三個の即応機動連隊と空挺団という、正面一万前後という規模から、機動運用部隊にすべての師団を充てるのですから七万へ、五倍程度防衛正面は増強される、正面緊迫がこれだけ確保できれば、凄い。

 四個師団であっても、現状の9個師団6個旅団態勢の現状では着上陸した敵一個旅団を相当する事が現状の師団では厳しいですが、新しい師団案ならば違う。ほぼ日本本土を主戦場とする脅威を抑止できるでしょう。特に各種誘導弾の射程延伸を踏まえる必要もあります。方面特科部隊の装備する装備は、将来的にかなり射程が伸びるのではないでしょうか。

 着上陸の際に地域配備の師団管内はもちろん隣接方面隊まで延びるのですから、座布団師団とも揶揄された冷戦時代の編成を応用するには少々無理があります。自衛隊師団はおおむね司令部から100km以内に隷下部隊をおくのですが地対空ミサイル脅威からして既に250kmまで延伸、もっと広い防衛正面を担うには師団を大型させる必要があるということ。

 イージス艦とF-35、本題回帰という構図だ、この二つの装備ですが結局戦域がここまで拡大するのだから日本海と太平洋の間に本州島、というような領域と空間は超える必要がありまして、極端な話で10式戦車とF-35をデータリンクで結ぶ必要や護衛艦とSSMはもちろん特科部隊全般を連接させる必要が将来的に出てきます、が、進歩の部分は多岐に上る。

 F-35Aがミサイルと使い果たした場合にイージスアショアと連接したスタンダードSM-6がF-35の誘導で航空脅威を無力化する、このように陸上の装備が空へも海へも大きく到達する時代が到来するのですから。ヘリコプターの高性能化が陸上自衛隊に必要だ、この視点は前述したコマンドー空母としてのヘリコプター搭載護衛艦の統合運用に重なります。

 UH-2を搭載した場合に護衛艦は水陸機動作戦を展開する場合に航続距離の面で限界が来しますが、CH-101やUH-60JAではその制約が薄くなる、これは令和元年台風災害におけるヘリコプター搭載護衛艦の航空機支援でも象徴的に示されていまして、機数が少なくとも高性能機であれば必然的に全国から即座に集合させうる、ということにほか成りません。

 全国で何百航空機があっても必要な現場で不足していては意味がないのですね。そしてこの航空機の能力強化は、邦人救出や我が国へ重要影響を及ぼす第三国での緊張に対しても寄与する事は違いありません。ただ現状では自然減というかたちで小規模部隊へ収斂してしまいます。思い切って定数と部隊数の整理、という視点が必要となるのではないか、と。

 戦車300両体制、これは基盤的防衛力整備から統合機動防衛力整備に際して戦車定数を大きく転換した最終段階となりましたが、実は戦車定数が新防衛大綱画定に際して300両から200両に縮小されることを懸念していました、戦車二〇〇両時代の覚悟、という特集を準備したほどです。ただ、思い切った機動運用への転換へ、好機となるやもしれません。

 戦車300両体制が画定した当時は、陸上自衛隊の方向性が読み取れず中々に理解まで苦労し、多くの識者や現場の方の視点や見解等を聞いて回ったものです。この部分について、しかし陸上自衛隊は機甲部隊をその本質的な意味である装甲機動部隊という意味で、その能力構築を放棄していない点が将来装甲車選定として示されていて、高性能ばかりです。

 スイス製ピラニアLAV6.0,フィンランド製パトリアAMV,三菱重工機動戦闘車派生型機動装甲車、この三種が将来装甲車線艇の候補として挙げられていまして、戦闘重量が15tに満たない現行の96式装輪装甲車よりも大幅に防御力と不整地突破能力が改善した装輪装甲車が候補の俎上に挙げられていたのです。96式装輪装甲車は曲がりなりにも多数が揃った。

 96式装輪装甲車は、北海道の各普通科連隊に中隊規模で、また新編されている即応機動連隊に大量配備が実現しました装備で、89式装甲戦闘車のような少数装備を目指したものではありません、もっとも96式装輪装甲車はもともと全国の普通科連隊完全配備を目指した現在の高機動車のような普及を期していましたが。ともあれ、その後継車両ということだ。

 将来装甲車、機動装甲車であってもパトリアAMVであってもLAV6.0であっても、その車体は40mmCTA機関砲を搭載した砲塔が載る設計です、これは本格的な機械化部隊を創設するには十分な能力を有しているでしょう。装甲機動連隊、機動装甲車やパトリアAMVとピラニアLAV6.0を配備できるのであれば、10式戦車を戦車隊として配備し協同すべきだ。

 これは恰も即応機動連隊の16式機動戦闘車を有する機動戦闘車隊の戦車版にあたる、そうした連隊を編成し、現在ある戦車大隊や戦車連隊をすべて廃止し装甲機動連隊に置き換えてもよいのではないでしょうか、即応機動連隊と同じ定数ならば15個戦車隊へ改編できる規模を意味します。戦車隊と三個装甲普通科中隊に特科中隊と本部管理中隊、概略ですが。

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2 コメント

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Unknown (軍事オタク)
2020-01-07 10:02:43
陸自は少なくとも4分の1は海兵隊化すべきだと思います。
その装備は艦載を前提のヘリ、装甲車等がいいと思います。

ヘリを艦載するには塩害対策、ローターを簡単に畳めるかがポイントです。
4分の1の機数はUH-2なら塩害対策+ローター折り畳み可能にすべきだし、
UH-60ならSH-60またはKの陸自版(陸自の大きな補助タンクを搭載するかは要検討)を配備すべきだと思います。
チヌークも塩害対策とローター折り畳み可能にできないかなあ~

装甲車は最低シーステート2で海上運航可能な装甲車にすべきです。
大津波災害支援にも大きく役立ちます。
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Unknown (市民のミカタ)
2020-01-07 19:29:05
アベ政治を許さない!れいわ新選組支持!
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