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令和二年-新年防衛論集:日本の防衛世界の平和【6】グローバル時代のグローバル専守防衛

2020-01-07 20:20:58 | 北大路機関特別企画
■新しい時代の専守防衛を模索
 グローバリゼーションの時代と云われたのは1990年代ですが2020年代には専守防衛さえもグローバル時代を迎える必要があるように思います。

 陸上防衛力を大幅に再編し機動運用体制を強化しつつ、陸海空自衛隊の統合運用基盤を大きく強化する、この指針を示しました本特集は一見ラジカルではありますが機動運用部隊を基本としその人員規模を平成中盤の半数程度、八万名規模にまで縮小してでも装甲戦闘車や空中機動力、として必要ならば戦域を越えた機動力を付与させる必要を示しました。

 装甲機動連隊、こうした編成であれば例えば戦車2個小隊と指揮官車からなる戦車支隊三個に区分し、併せて装甲普通科中隊と合わせる装甲支隊という作戦単位が構成できますが、この規模であれば輸送艦おおすみ型にそのまま乗艦させることが可能です。即ち本質的な意味で機甲部隊も三自衛隊の統合機動防衛力へ参画することが実現する、という構図だ。

 装甲機動旅団構想、というものを“広域師団”特集として試案を示していますが、具体的にはこの装甲機動連隊三個を基幹とし、偵察戦闘大隊と無人偵察機隊を加えた偵察戦闘連隊、というべき部隊を加え編成するのが理想でしょう。一個連隊の戦車は20両を想定しますが、必要ならば旅団全体で任務に当れば、装甲車と併せた部隊総合力は底上げできます。

 装甲戦闘車、問題は将来装甲車が機関砲塔を搭載する装甲戦闘車であるかは確証がない点でしょうか。装甲戦闘車の場合、火器管制装置を搭載するだけで取得費用が高騰します。これはプーマ重装甲戦闘車やVBCI装輪装甲戦闘車等、戦車と同等の火器管制装置を採用し高価格化した事例を鑑みてのものです。ただ、機動線には装甲戦闘車は不可欠でしょう。

 89式装甲戦闘車を含めた世界の装甲戦闘車は大口径機関砲により、通常の装甲輸送車であればかなり脅威正面より離隔を以て下車戦闘に以降します、防御力と打撃力の限界ゆえ。しかし装甲戦闘車は大口径機関砲を以て歩兵近接戦闘の間合いまで接近し、最後の段階で機関砲の届かない隙間へ下車戦闘を展開する。この為に下車から合流までは非常に速い。

 40mmCTA機関砲であれば3P弾、つまり調整信管を用いた破片を散布する機関砲弾を投射可能で、これは防御側の歩兵が掩体から暴露する行動を徹底的に抑止します、40mmAP弾の貫徹力は第一次世代戦車の76mm砲に匹敵し、対装甲戦闘にも非常に有用です。将来的にこうした装甲戦闘車の配備再開はどうしても避けられない問題といえるのではないか。

 AAV-7,実のところこの装備と既に配備されているMLRSとを併せて、これらのパワーパックや後者については車体部分全般を含め、アメリカ陸軍のM-2A3ブラッドレー装甲戦闘車と共通部分があります。自衛隊は89式装甲戦闘車の量産計画が当初計画よりもかなり小規模で生産終了となり、装甲戦闘車という装備体系は宙に浮いています。そこで、M-2,と。

 M-2装甲戦闘車は自衛隊に採用されていませんが、パワーパックや車体部分の共通車輌だけで140両を採用している訳です、仮に自衛隊が遅まきながらM-2を導入したとしても兵站面での負担は思うほど大きくは無いように思えます。89式装甲戦闘車、厳密には99式自走榴弾砲が准共通車体を採用した派生型にあたるのですが、合計で170両弱という規模だ。

 将来的に自衛隊が装甲戦闘車を再整備するのであれば、89式装甲戦闘車改良型の再生産と併せてM-2A7装甲戦闘車のライセンス生産や国産砲塔搭載型を検討してもよいかもしれません。ただ現実的には、96式装輪装甲車に続く装甲車として配備される将来装甲車を暫定的に重装備の連隊が管理した上で将来的に即応機動連隊へ移管、という選択肢が望ましい。

 自衛隊が多次元機動防衛力を整備するならば、戦域優位に資する装甲戦闘車という装備体系を再構築する、その必要性も忘れては成りません。現状では戦車という有用な資産が在りながら活用する術を欠いている、恰も有力な戦艦群、12隻もの戦艦を有しながら活用しなかった為に時機を逸した帝国海軍と同じ轍を踏んでいるように思えてならないのです。

 自衛隊の装備体系はしかし異常を踏む敢えても北東アジア地域ではかなり有力な水準を有します。僅かに不足する装備を充実さえ出来るならば、更なるコンパクト化の余地もあります。核恫喝へは核抑止力、という冷戦型の常識をイージスミサイル防衛システムにより核に頼らない抑止基準を形成できたという意味では異次元問題に取り組んだともいえます。

 一方、その予算優先度により幾つか後継装備取得遅延はおきています、が。上記の装備充実とはここです。戦闘ヘリコプターの取得再開、実のところ喫緊課題はこの程度でしかありません。長年の懸案であった装甲戦闘車の問題は再度着手されつつあり、30FFM新護衛艦は幾つかの海上防衛の問題を包括して解決する道筋を形成、F-35戦闘機大量配備も然り。

 次の課題は陸海空統合運用の更なる深化です。折角世界にも例をみない防衛大学校、三軍統合士官候補生前期課程制度を構築しているのです、出来ない問題では無い。視点を転じれば、繰り返す命題である戦域の拡大という視点から、たとえ専守防衛の枠内であっても戦域が国内に収斂する時代は終わりつつあり、既にサイバースペースの戦いでは終わった。

 サイバースペースでの戦い、国内で戦域が収斂しない状況が現出していますが、これが実体の防衛力についても顕著となってゆく、そのための備えが必要でしょう。この通り、専守防衛は国内の枠に留まらない可能性があり、忘れては成らないのは国土が蹂躙されない状況でも、本土着上陸前に敗戦となった太平洋戦争の事例があります。これを忘れては。

 専守防衛を詳細まで検討しますと、我々は本当に太平洋戦争を直視できているのか、という懸念が払しょくできません。故にその一例として機動力の強化と陸海空の統合運用深化を示しました。戦車大隊や戦車連隊を置き換える装甲機動連隊を装甲中隊戦闘群単位で輸送艦一隻に乗艦できる体制を構築する。戦車部隊等についてはこう見方を変える必要が。

 遠征機動、軽装備の地域配備普通科連隊は遠征機動連隊として輸送機や鉄道網とヘリコプター搭載護衛艦を駆使した運用に最適化する、この主眼は隣接する大陸から広がる不寛容と閉塞の渦への対応です。大陸からの軍事圧力は自衛隊により南西諸島へ及ぶ状況を武力衝突に至る前の段階で抑止できていますが、北東アジア以外に大陸外縁部を俯瞰しますと。

 大陸外縁部。東南アジア諸国には我が国ほど軍事圧力に対応する抑止力を整備できている諸国は僅かです。リムランドとハートランド、時代錯誤的地政学を再形成するが如き状況が進展する中、結局機動運用の幅を大きく拡張、力による情勢変化や力による威嚇、国家単位で忖度を醸成させるが如き圧力が生じている。第三の道を提示できなければ、どうか。

 結局、不寛容と閉塞が地域公序となり、我が国も不寛容な社会を強要する圧力に曝される懸念があるわけです。これは憲法の精神にも反する。すると地域安定化に我が国としては、主導権と云いますか、平和主義を独善的な一国主義とするのではなく、思い切って多国間平和主義という様な航路へ、防衛力を再検討する必要があるようにも、考えるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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次世代装軌戦闘車 (ドナルド)
2020-01-10 22:32:00
はるなさま

ご無沙汰しております。ご存知と思いますが、クスロウさんのtwitterに、次世代装軌装甲車、装軌戦闘車の写真があります。

参考まで。

#リンクの都合で、冒頭の h を除いて書きました。

ttps://twitter.com/kusurou_/status/1207265388980887553

ttps://twitter.com/kusurou_?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
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