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ウクライナ戦争長期化と世界LNGエネルギー危機,欧州天然ガス危機が波及する世界規模の資源価格高騰

2022-10-17 07:00:26 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 経済産業省などのこの冬のエネルギー不足に対する対応策や政府の指針が見えない中、厳しい現実が突き付けられようとしています。

 2022年も10月となり、冬の季節が近づいていますが、この冬は恐らくLNG液化天然ガスと石油価格が上昇します、これは原子力発電の大半を停止している我が国にとり、1973年石油危機以来となるエネルギー危機となり、物価上昇や円安の加速という二重苦に陥る可能性があります、それはロシアの欧州天然ガス供給遮断が欧州のLNG需要を高めるゆえ。

 政府は1月からの電気料金一部世帯支援等を構想していますが、電力会社に原因があるのではなくLNGの国際取引価格が上昇し、併せて代替エネルギーとして石油取引価格が上昇する為であり、政府支援も元の値段が高い為という、焼け石に水、的な状況となる可能性があり、しかも欧州の冬季電力需要増大を背景、夏の電力不足と比較にならない可能性が。

 太陽光発電など再生可能エネルギーにより補填できないかと問われれば、夏以降ドイツなど欧州では冬の電力不足を見越し、国運を掛けたという表現が当てはまる程の、2011年直後における日本の様な勢いでの再生可能エネルギー発電基盤構築が進められていて、太陽光パネルや風力発電装置も、国際取引価格が上昇しており、生産さえ間に合わない状況だ。

 ロシア経済制裁解除の可能性は若干ですが残ります、それはロシア軍がウクライナにおいて決定的敗北を喫し、クリミア半島を含む東部地域と南部地域からの撤退の実現、若しくは撤退を前提とした停戦が実現し、これが次の攻撃準備に繋がらぬよう、過去のコソボ平和維持任務のように、当事者であるロシア軍以外のPKO部隊が停戦監視に当る、という。

 しかし、これを期待するのは構わないのですが、願望を現実としてリスクを受け入れ対策を怠る事があってはなりません。現実問題としてはロシア軍は動員体制を数週間以内に完了させ、これらの予備役兵をウクライナへ投入する為、装備が不十分であり相当の人的消耗を強いられる事となるのでしょうが、短期決戦をロシアが想定していない事は確かです。

 再生可能エネルギー、日本は2011年東日本大震災以降、太陽光発電に莫大な価格保証制度という支援策を講じており、逆にこの電気代高騰が日本製造業の海外流失を加速させたといえるのですが、再生可能エネルギーの発電量そのものは非常に高い水準まで成長させていますが、夜間発電できない太陽光発電が中心で、調整させる基盤発電機能がありません。

 国内の原子力発電所全てを再稼働させる事ができれば、ある程度の電力供給を成り立たせる事は可能ですが、原子力規制委員会が平時の手続きを守る、つまり今は有事という認識が無い状況では、その期待は出来ません。原子力規制委員会の所管は原発からの事故防止であり、電力安定供給は所掌外なのですから、当然といえば当然なのですが、現状厳しい。

 ガス制限令、政府は14日の閣議家艇で、企業などに需給ひっ迫時のLNGガス供給制限を行う法整備で不足を補おうとしています、いや、ドイツ政府なども夏の時点でガス配給制を示唆していましたが、日本では不足が予想される数十日前になり準備が始まった段階です。大規模水力発電など電源開発にも本腰を入れて欲しいところですが、この冬は覚悟が必要だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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