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太平島は大丈夫か?台湾有事限定侵攻,フィリピンパラワン島西方にシーレーン迂回路-日米安全保障論争の盲点

2022-08-12 07:00:16 | 国際・政治
■臨時情報-台湾情勢
 台湾情勢がBS報道番組を中心に日々激論や関心の対象となっていますが、中華民国台湾の領域は実は広くその離島は防衛の盲点となっている点が見過ごされている様に懸念します。

 太平島、台湾海峡の緊張では台湾島への中国軍侵攻の懸念よりも中国大陸から2kmの距離にある金門県金門島への侵攻の懸念というものを先日提示しました、しかし金門県は14万の人口、非戦闘員が居住しており、非戦闘員を巻き込む戦闘はアメリカの関心を招くとして中国側が留意する可能性は、国際法を遵守するならば抑制効果はあるのかもしれません。

 金門島は中国大陸から近く、人民解放軍には130kmの台湾海峡を超えるには課題はありますが2km先であれば侵攻は可能であるとしました、しかしもう一つ、人民解放軍の両用作戦能力で占領可能といえる中華民国台湾の戦略目標として、太平島という台湾の離島があるのです。ここは中国にとっての戦略拠点にもなり得、台湾にも一つの要衝となっている。

 南沙諸島、太平島は南シナ海において東南アジア諸国との間で中国が係争問題や武力衝突を繰り広げる南沙諸島の北部に位置していまして、そして太平島には滑走路が整備されていて、飛行場機能も有しています。南シナ海に中華民国台湾の拠点がある状況は、国共内戦の停戦という現状が続く限り南沙諸島における中国の南沙諸島全面制圧を回避できます。

 フィリピンのパラワン島西方に位置する太平島は、戦略要衝であり、ここが占領された場合、既に中国がヴェトナムやフィリピンから武力奪取し造成した人工島による南シナ海の実効支配を強化するとともに、特にパラワン島とパラワン水道など東南アジアと日本を結ぶ海上交通の台湾海峡有事における迂回路を塞ぐ事となり、憂慮する事態となるでしょう。

 台湾では海軍陸戦隊等が防衛陣地を構築しています、一方で非戦闘員は居留していません。他方で空軍には太平島に戦闘機部隊を展開させる余裕はなく、人民解放軍が総力を挙げるならば占領は可能です。また、太平島と隣接する環礁を失陥する事と成れば台湾は南シナ海の領域全てを失う事ともなり、戦略的な打撃と共に政治的威信失墜も避けられないもの。

 太平島の有事、勿論これは台湾有事における限定侵攻想定の一想定事態に過ぎない留意事項の一つですが、台湾有事には介入姿勢を示す、とするアメリカや周辺事態に台湾海峡を含める日本にも、台湾本島から遥か南方のパラワン島西方までを台湾有事と見做して介入するかは明示されていません。考え得る事態の段階として留意すべき地域とかんがえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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