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【G3X撮影速報】令和元年富士総合火力演習,教導団予行-火力戦闘車登場(2019-08-18)

2019-08-24 20:02:50 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■19式装輪自走榴弾砲登場!
 教導団予行にお誘いいただきまして日曜に富士総合火力演習を撮影して参りました。明日本番に行かれる方はネタバレになりますので閲覧は明日正午までお待ち頂ければ幸い。

 AAV-7水陸両用車、陸上自衛隊ではAAV-7を水陸両用車と記載していますがAAVとは両用強襲車の略称、強そうですし両用強襲車の訳語を定着させてほしいと思う。佐世保相浦の水陸機動団隷下、戦闘上陸大隊の装備です。新しい陸上自衛隊看板装備の一つとなった。

 19式装輪自走榴弾砲、本年の新装備です。開発実験団装備実験隊の装備で評価試験中の新型です。まさか出て来るとは、いや早朝に総火演広報紙が落ちていて火力戦闘車参加が書かれていた。拾ったのは友人、信じられずに、それコミケ同人誌でないの、と冷やかした。

 前段演習と後段演習、富士総合火力演習は二段構成で実施されていまして前段演習は陸上自衛隊の各種装備、遠距離火力である特科火力と普通科の迫撃砲や対戦車火力、そしてヘリコプター火力を展示し最後に戦車火力、近年は機動戦闘車を含め戦車等火力を展示する。

 99式自走榴弾砲、52口径の長砲身が際立つ。自衛隊は75式自走榴弾砲で30口径、FH-70で39口径、そして52口径へ世界の趨勢を追てきましたが、世界は52口径よりも長砲身には進まず開発から20年を経た99式自走榴弾砲も発射速度と射程でまだ世界一の水準に。

 FH-70榴弾砲、39口径砲です、BB特殊装薬を用いると最大射程は39kmに達する、ただ砲身が痛み連続射撃にも適さず実質的な射程は30kmである。砲兵は射程よりも標定技術と即応及び命中精度へ技術は進む。参考までに52口径砲ならば京都駅から大阪駅まで届く。

 L-16迫撃砲、イギリスロイヤルオーディナンス社製、現在のBAEランドディフェンスシステムズ社製であり射程は5.6km、自衛隊は勿論アメリカ陸軍も含め世界中で採用されている迫撃砲、大胆に軽金属を多用し38kg、三分割する事で山間部でも人力携行可能です。

 120mm重迫撃砲はフランストムソン社製の重迫撃砲を豊和工業がライセンス生産したもので従来の105mm榴弾砲並という最大射程13kmを誇る、前型のM2重迫撃砲射程は4.5kmで大きな進化で、普通科連隊重迫撃砲中隊や火力支援中隊等に500門が配備される。

 火力戦闘車として開発された19式装輪自走榴弾砲は、道路運送車両法車両限界の車幅2.5m全長12mの枠内に収まり一般車両と同じ条件で走行可能です。実は車体部分を三菱重工製とする計画でしたが、そうすると12m以上となる為、ドイツMAN社製車体が採用された。

 CH-47輸送ヘリコプター、バートル社が開発しボーイング社で改良型の生産が続く1950年代からの傑作機、我が国は川崎重工が30年以上ライセンス生産を継続する大型輸送ヘリコプター、55名を輸送しますが詰め込めば国内では100名以上、イギリスは200名乗せた。

 120mmRT重迫撃砲を空輸展開する。吊下げ空輸は富士総合火力演習の定番ですが吊下げですと長距離飛行する事が出来ません、しかし今回はCH-47の機内に収容しての空中機動展開となりました。島嶼部防衛等ではこうして射程13kmの迫撃砲が展開するのでしょう。

 普通科部隊の各種装備。89式装甲戦闘車、68両が量産された装甲戦闘車で頑強な装甲と共に35mm機関砲の支援下で普通科隊員を第一線へ展開させます。基本的に乗車戦闘を行い、最後の制圧のみ下車戦闘を行う。本来北海道に4個連隊分程度、350両が量産される予定でしたが冷戦が終わり。

 装甲戦闘車の配備再開は急務と思う、戦闘ヘリコプターと装甲戦闘車、この二装備の不足が陸上自衛隊の第一線機動力を大きく制約している。89式装甲戦闘車は生産終了から15年を経て製造再開が難しいならば、MLRSやAAV-7と駆動系が同じM-2装甲戦闘車が良い。

 AAV-7砲塔、教導団予行での撮影です、雨天予報もあり、自慢の300mmF2.8ISは御留守番、あの一本は素晴らしい描写力を誇りますが兎に角大柄ですので雨天時には防滴が大変ですし、撮影位置によっては全長長く振り回しにくい。その分G3Xの最大望遠が際立つ。

 AAV-7については、基本設計が1972年であり、今更そんな古い装備を、と訝しむ声もありますが、現行機種はM-2装甲戦闘車と同じエンジンを採用し防御力も強化され別物といってよく、これはUH-1YやAH-1ZにF/A-18Eを今更そんな旧式を、というに等しい的外れ。

 軽装甲機動車、陸上自衛隊が全国的に配備を実現できた装甲車両です。一個小銃班を二両に分けて火点を分散させ正面を広く採る観点から開発されました。01式軽対戦車誘導弾始め重量が増大する普通科第一線火力の機動運用装備、また斥候用の装甲車として重宝する。

 96式装輪装甲車、40mm自動擲弾銃を装填中の様子だ。火力と装甲防御力が低く基本は下車戦闘を念頭とした装備ですが小松製作所の努力で一億円以下に安価に収められている。外国兵器の方が安いと逸話があるが2010年代、この手の車両は新車で200万ドルが相場だ。

 対人狙撃銃M-24の狙撃、辛うじて銃身が分ります。このPowershotG3Xはデジタルズームで35mm換算2400mmという超望遠が可能でし。それで1型センサーを採用していますので辛うじて判別できる写真に仕上がるのですが。しかし一眼レフと二台持ちは疲れるぞ。

 01式軽対戦車誘導弾の射撃を96式装輪装甲車から行う。赤外線画像誘導方式のミサイルはコールドランチ方式を採用しており射撃位置を選ばない、ただ、相手が陣地等赤外線を発しない目標の場合は照準さえ出来ない為、画像認識方式かレーザー照準誘導併用も必要だ。

 AH-1S対戦車ヘリコプターが20mm機関砲の射撃を行う、AH-64D戦闘ヘリコプターは昨年の九州での墜落事故後飛行再開が行われていない。AH-1Sは耐用年数限界でどんどん数が減り半数程度しか残っていない。AH-64E等の後継機を30機程度一括取得が必要と思う。

 AH-1S対戦車ヘリコプターを置き換えるAH-64E戦闘ヘリコプターの取得は急務と思う。AH-64Dの自衛隊仕様を含めロングボウレーダーは今後脅威が増大する無人機への空中警戒手段としても応用され、エンジン出力に余裕はあり対無人機用レーザー砲の研究も進む。

 87式自走高射機関砲の水平射撃、想定として低空から接近する航空機に対する射撃で毎秒17発の焼夷榴弾を射撃し敵機を弾幕で包み叩き落とす。高度な火器管制装置と併用しデジタル画像照準も可能でステルス機でも対処可能だが車内はコンピュータの排熱で凄く熱い。

 戦車火力の展示、近年は機動戦闘車の配備により戦車等火力の展示、とし全国に8個中隊が残る74式戦車は2017年度を最後に富士総合火力演習への参加は終了し、数の上で陸上自衛隊の主力となっている90式戦車や新鋭10式戦車、16式機動戦闘車が射撃を行う。

 富士総合火力演習2019、最初に感心したのは戦車教導隊中隊マークが限定的ではありましたが復活しているところです、流星輝く90戦車。ただこの写真は連写速度を誇るEOS-7Dではなく並列連結したコンデジG3Xの撮影、適当に撮ったらば発砲焔が写るのは不思議だ。

 16式機動戦闘車が射撃位置へ展開する。元々は87式偵察警戒車の後継と成っていましたが、本土戦車大隊の全廃により74式戦車の後継として偵察戦闘大隊の戦闘中隊へ配備されるという。攻撃力は高い、ただ、大口径機関砲にも耐えられない装甲防御は機動力で誤魔化す。

 射撃後発煙弾を展開し撤収する、本年の富士総合火力演習は発煙弾が多い印象でした。そして16失機動戦闘車の射撃輌力を展示する為に三段山への2.5km長距離射撃が初めて展示され、命中まで二秒以下、105mm砲は低圧砲ではなく音速五倍程度の高初速砲と分かった。

 10式戦車、機甲教導連隊の共通マークと共に展開です。行進間射撃はEOS-7D任せ、兎に角射撃するまで10秒でも20秒でも撮り続ける。故にRAW撮影では難しい、JPEGと違い一枚が重く百枚単位の連写の連続に画像処理が追い付かないのだ。RAWも綺麗だけどね。

 90式戦車は中隊マークを掲げての登場、偽装網で背景に溶け込む撮影台が見事だ。最前列付近で撮影支障きたす安全索の虎ロープ、必要性は分かるのですが、この偽装網のように状況と云いますか野戦部隊の勇壮な雰囲気と状況を壊さない偽装網としてくれると嬉しい。

 地域配備師団などに新編される偵察戦闘大隊ですが、機動戦闘車の戦闘中隊と偵察中隊から編成されるという。しかし機動力と共に防御力を有する戦車の優位性は大きく、個人的に偵察戦闘大隊は機動戦闘車小隊を含む偵察中隊と戦車中隊という編成が望ましい様にも。

 ネットワーク電子戦システム、電波収集及び妨害を担う電子戦装置と情報の処理分析及び電子戦装置に対する指揮統制装置、各種システムとの連接機能を有する電子戦統制装置からなる陸上自衛隊の新装備です。島嶼部等分散運用を念頭に性能の統合と小型化を行った。

 ネットワーク電子戦システムは昨年、通信が高似て評価試験中の装備が展示されていましたが、ネットワーク電子戦システム電子戦装置収集用空中線には第1電子隊第2中隊と記載、既に東千歳の第1電子隊へ配備されている事を意味します。実に一年で実戦配備へ。

 後段演習がいよいよ開始されました、射撃位置に展開する16式機動戦闘車、機動戦闘車の防御力は74式戦車等前世代戦車と比して低く、しかし射撃陣地を利用する事で防御力を高めるとともに優れた火器管制装置により遠距離での撃破という攻撃力を重視した設計です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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Unknown (ねこまんま)
2019-08-26 22:32:20
19式装輪自走榴弾砲は、個人的にはカッコ悪く思います。
試作品だからかな?
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いろいろ (はるな)
2019-08-31 11:33:58
開発期間の問題や道路運送車両法の車両限界、いろいろな問題はあるようですが、仕様変更はあり得るのかもしらませんね
返信する

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