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【土曜詳報】アメリカ空軍嘉手納基地(8)極東地域安定の礎石を沖縄にみた(2011.12.12)

2019-07-20 20:05:57 | 在日米軍
■難しい基地問題とともに
 曇天時折雨天の中に嘉手納基地の日常風景を撮影して参りましたが、今回が最終回です。

 嘉手納基地を撮影していますと、日本にはない種類の基地として戦略拠点という概念がある事を気付かされます。空中給油機と輸送機の基地ならば小牧基地がありますし、早期警戒管制機の基地ならば浜松基地があります、戦闘機部隊の基地は数多あるのですが、ね。

 巨大な兵站拠点であり戦闘機部隊の全般支援を行う基地、この発想は自衛隊には在りません。しかし、これをどう考えるのか、航空自衛隊は戦闘行動半径の大きなF-15J戦闘機を主軸として、分散しているといいますか、クラウド化している様な、そんな印象を受ける。

 実のところ、千歳や三沢に百里と小松というような戦闘機部隊基地と輸送機部隊の基地を維持せずとも、嘉手納基地規模の基地が日本に二カ所程度あり、あとは前線航空基地となり得る四カ所程度の基地があれば、航空自衛隊の作戦基地は集約できるようにも思えます。

 ただ、その面積で考えますと、嘉手納基地規模の基地を航空自衛隊が独自に保有しようとしますと、その一カ所だけでも本州の航空基地を集約して尚、という規模になってしまうようにも思えて来る訳です。これは別に自衛隊に大きな基地を、という訳ではありません。

 基地問題という視点から嘉手納基地を考えた場合、という視点で、航空自衛隊よりも遥かに広大な基地を如何に理解してゆくか、という視点です。何故、嘉手納基地だけ此処まで巨大なのか、という部分を理解しませんと、沖縄の基地問題は見えてこないよう思います。

 環太平洋地域に三沢基地や烏山基地と横田基地等数多くの空軍基地はありますが、横田基地は横須賀基地と横浜ノースドックに戦略備蓄を行う相模原総合補給処という一体のもの、三沢や烏山という此処を支える戦略拠点が嘉手納基地なのですね。故にこの規模となった。

 F-15C戦闘機は全般航空優勢確保に当ります。強力なレーダーを搭載し広範囲の航空優勢に資する兵装を搭載し、長大な航続距離を確保しつつ、入手し得る最高度のエンジンと限界まで構造重量を軽量化し格闘戦にも強い、制空権を奪還する制空戦闘機、それがF-15だ。

 AV-8B攻撃機、海兵隊が訓練支援へ前方展開させている航空機で、最大の特色は垂直離着陸能力を有する点で、前線飛行場や強襲揚陸艦艦上から運用し近接航空支援や航空阻止任務に当ると共にAMRAAM空対空ミサイルによる強力な空対空戦闘能力を有しています。

 KC-135空中給油機、四発大型機に空中給油装置を搭載した冷戦時代初期の機体で、B-52戦略爆撃機上空警戒任務を支援するべく大量取得された。此処から派生型としてボーイング707旅客機が開発され、大衆大量輸送という新時代の旅客機体系の始祖ともなりました。

 KC-10空中給油輸送機、DC-10旅客機を原型とし、新たに空中給油任務と共に人員輸送や貨物輸送機として戦略輸送任務の一端を担わせる。KC-135空中給油輸送機もKC-10空中給油輸送機もボーイング767派生KC-46空中給油輸送機により置き換えられる予定だ。

 MH-60特殊戦ヘリコプター、MC-130特殊作戦機、KC-130空中給油輸送機、大規模な航空作戦を行う場合、これが実戦ならば必然的に航空機の損耗は避けられず、その搭乗員救出へ戦闘救出任務を担う特殊作戦航空機とその支援航空機です。この日これだけ上がった。

 在日米軍基地、中でも在沖米軍基地、色々と云われるのですが、専守防衛として本土決戦寸前まで何もしないという建前のもとで抑制的な防衛政策を取る我が国だけでは地域安定は難しく、地域安定に強力なポテンシャルを発揮する意志を嘉手納基地から感じましたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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