■救難飛行艇を最大限活用
潜水艦救難任務は文字通り時間との闘いです。潜水艦救難艦を高速化するには限度がありますが自衛隊には飛行艇が在り、この資産を活かすべきでしょう。
潜水艦救難艦、自衛隊へインドネシア政府からの救援要請が出されなかった背景には、日本を緊急出航した場合でも間に合わないという一点、もう一つはインドネシア潜水艦は魚雷発射の実弾訓練を行うために潜航し沈没、原因が魚雷の爆発でしたのでインドネシア政府は潜水艦の状況をおおむね理解し、救援できない状況であったのかもしれません。
しかし、自衛隊潜水艦の活動海域が大きく広がっていますので、明日遙か遠い海域で潜水艦救難の必要性を迫られる可能性は無視できません。すると航空機だけでも派遣し、できるだけのことを行う必要はある、例えば沈没潜水艦の位置を明確に把握しておくだけでも、潜水艦救難艦が進出した際に、即座に救難任務へ移行することができます。速度は重要だ。
US-2救難飛行艇にROVを搭載し、潜水艦救難艦に先行して展開し改訂の潜水艦の位置を把握し、可能であればDSRV潜航前までに海底地形や障害物除去などの作業を行う、という選択肢もあるかもしれません。US-2であれば、もちろんアメリカのC-5輸送機ほど重いものは積めませんが、C-5のように滑走路に降りる必要はなく、現場に直接降りられます。
ROVだけで出来る事も多い、過去にはイギリスのROVスコーピオがロシア深海潜水艇AS-28事故に際し支援へ投入されています。カムチャツカ半島沖での事故に在欧米軍のC-5輸送機により迅速に現場近くの空港に進出、ちょうどマジックハンドを搭載する機種であったため潜水艇に絡まる障害物をROVが除去したことで、DSRVが現場へ到着する前に浮上成功しました。
AS-28事故はその発生翌日にロシア海軍が外務省を通じ海上自衛隊へ救助を要請、海上自衛隊は潜水艦救難艦ちよだ、以下4隻の艦艇国際緊急援助隊としてを派遣しています。派遣の可能性を受け準備していた海上自衛隊は命令受領から数十分で出航していますが、その48時間後に遥か遠いイギリスから空路展開したROVが任務を完了させているのですね。
US-2救難飛行艇にROVを搭載、US-2のエンジン出力はC-130輸送機と同じです、そしてUS-2の原型となったPS-1対潜飛行艇は潜水艦を探し攻撃する任務の航空機でした、対潜哨戒と潜水艦救難は任務が真逆ですが、逃げる潜水艦を追う対潜飛行艇としての任務にPS-1能力は不充分でしたが、動けない潜水艦を救助に先駆けROVで探すならば話は違う。
US-2の原型は対潜飛行艇PS-1です、Mk44短魚雷を4発搭載しソナーを搭載する。当時のP-3B対潜哨戒機と違いソナーを直接展開できるために精密な対潜哨戒が可能だと考えられたのですがP-3Cの時代、ソノブイの性能向上と機上情報処理装置の高性能化の前に潜水艦探知でPS-1は陳腐化してしまいましたが構造上主翼はUS-2もPS-1の系譜にある。
ROV,海上自衛隊が潜水艦救難艦で運用しているものは全長3.0mと全高1.945m、重量は3.8tでマニピュレータを2基搭載し454kgまでの重量物を片方だけで持ち上げる事が可能、速力は4ノットで水深2000mまで作業できますが、更にケーブルは2500mまで確保されていますので潜水艦周辺での作業も可能です。しかし形状は箱型ですので、US-2へ搭載は非現実的だ。
US-2の応用は探す事、大まかな事故海域が絞り込まれているという前提で、着水しソナーを海中に展開させる、そして主翼にROVを搭載し展開させる、という方式が理想です。飛行艇は輸送機ではありませんので、胴体に搭載できるものは限られています、するとROVは魚雷型の形状のものが現実的でしょうか。思い浮かぶのは深海用うらしま、これがおもい浮かぶ。
うらしま、海洋研究開発機構が開発したAUV深海巡航自律型無人潜水機です。潜航深度3500mと航続距離300kmという。ただこちらは重量が7.5tとソ連製大型対艦ミサイルなみの重量があります、大きさも全長9.7mに直径1.5mと大きすぎますのでUS-2に搭載することは現実ではありません。搭載できれば現場海域で数日間、捜索継続できるのですが。
S-10水中航走式機雷掃討具。US-2に搭載できそうなものとなりますと総会艇に搭載しているS-10が考えられます、前型にあたるフランス製のPAP-104は深度300mまで運用できますが、水中での作業などが可能となっていますので、単なる魚雷型であり作業できない前述うらしま、より用途が広いかもしれません。もう一つはリーマス600など考えられる。
リーマス600は掃海艦あわじ型に搭載されている探査装置で、600mまで探査可能、70時間にわたる連続運用が可能ですし、直径324mmと文字通り短魚雷の大きさですので、そういうのもキングフィッシュ短魚雷を母体として開発されたためなのですが、これならばUS-2にも搭載はできるでしょう。もっともリーマス600は専ら探すことのみですが、ね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
潜水艦救難任務は文字通り時間との闘いです。潜水艦救難艦を高速化するには限度がありますが自衛隊には飛行艇が在り、この資産を活かすべきでしょう。
潜水艦救難艦、自衛隊へインドネシア政府からの救援要請が出されなかった背景には、日本を緊急出航した場合でも間に合わないという一点、もう一つはインドネシア潜水艦は魚雷発射の実弾訓練を行うために潜航し沈没、原因が魚雷の爆発でしたのでインドネシア政府は潜水艦の状況をおおむね理解し、救援できない状況であったのかもしれません。
しかし、自衛隊潜水艦の活動海域が大きく広がっていますので、明日遙か遠い海域で潜水艦救難の必要性を迫られる可能性は無視できません。すると航空機だけでも派遣し、できるだけのことを行う必要はある、例えば沈没潜水艦の位置を明確に把握しておくだけでも、潜水艦救難艦が進出した際に、即座に救難任務へ移行することができます。速度は重要だ。
US-2救難飛行艇にROVを搭載し、潜水艦救難艦に先行して展開し改訂の潜水艦の位置を把握し、可能であればDSRV潜航前までに海底地形や障害物除去などの作業を行う、という選択肢もあるかもしれません。US-2であれば、もちろんアメリカのC-5輸送機ほど重いものは積めませんが、C-5のように滑走路に降りる必要はなく、現場に直接降りられます。
ROVだけで出来る事も多い、過去にはイギリスのROVスコーピオがロシア深海潜水艇AS-28事故に際し支援へ投入されています。カムチャツカ半島沖での事故に在欧米軍のC-5輸送機により迅速に現場近くの空港に進出、ちょうどマジックハンドを搭載する機種であったため潜水艇に絡まる障害物をROVが除去したことで、DSRVが現場へ到着する前に浮上成功しました。
AS-28事故はその発生翌日にロシア海軍が外務省を通じ海上自衛隊へ救助を要請、海上自衛隊は潜水艦救難艦ちよだ、以下4隻の艦艇国際緊急援助隊としてを派遣しています。派遣の可能性を受け準備していた海上自衛隊は命令受領から数十分で出航していますが、その48時間後に遥か遠いイギリスから空路展開したROVが任務を完了させているのですね。
US-2救難飛行艇にROVを搭載、US-2のエンジン出力はC-130輸送機と同じです、そしてUS-2の原型となったPS-1対潜飛行艇は潜水艦を探し攻撃する任務の航空機でした、対潜哨戒と潜水艦救難は任務が真逆ですが、逃げる潜水艦を追う対潜飛行艇としての任務にPS-1能力は不充分でしたが、動けない潜水艦を救助に先駆けROVで探すならば話は違う。
US-2の原型は対潜飛行艇PS-1です、Mk44短魚雷を4発搭載しソナーを搭載する。当時のP-3B対潜哨戒機と違いソナーを直接展開できるために精密な対潜哨戒が可能だと考えられたのですがP-3Cの時代、ソノブイの性能向上と機上情報処理装置の高性能化の前に潜水艦探知でPS-1は陳腐化してしまいましたが構造上主翼はUS-2もPS-1の系譜にある。
ROV,海上自衛隊が潜水艦救難艦で運用しているものは全長3.0mと全高1.945m、重量は3.8tでマニピュレータを2基搭載し454kgまでの重量物を片方だけで持ち上げる事が可能、速力は4ノットで水深2000mまで作業できますが、更にケーブルは2500mまで確保されていますので潜水艦周辺での作業も可能です。しかし形状は箱型ですので、US-2へ搭載は非現実的だ。
US-2の応用は探す事、大まかな事故海域が絞り込まれているという前提で、着水しソナーを海中に展開させる、そして主翼にROVを搭載し展開させる、という方式が理想です。飛行艇は輸送機ではありませんので、胴体に搭載できるものは限られています、するとROVは魚雷型の形状のものが現実的でしょうか。思い浮かぶのは深海用うらしま、これがおもい浮かぶ。
うらしま、海洋研究開発機構が開発したAUV深海巡航自律型無人潜水機です。潜航深度3500mと航続距離300kmという。ただこちらは重量が7.5tとソ連製大型対艦ミサイルなみの重量があります、大きさも全長9.7mに直径1.5mと大きすぎますのでUS-2に搭載することは現実ではありません。搭載できれば現場海域で数日間、捜索継続できるのですが。
S-10水中航走式機雷掃討具。US-2に搭載できそうなものとなりますと総会艇に搭載しているS-10が考えられます、前型にあたるフランス製のPAP-104は深度300mまで運用できますが、水中での作業などが可能となっていますので、単なる魚雷型であり作業できない前述うらしま、より用途が広いかもしれません。もう一つはリーマス600など考えられる。
リーマス600は掃海艦あわじ型に搭載されている探査装置で、600mまで探査可能、70時間にわたる連続運用が可能ですし、直径324mmと文字通り短魚雷の大きさですので、そういうのもキングフィッシュ短魚雷を母体として開発されたためなのですが、これならばUS-2にも搭載はできるでしょう。もっともリーマス600は専ら探すことのみですが、ね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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