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【京都幕間旅情】城南宮,梅の香りの季節は桜の賑やかな季節へ-桜前線が梅花に追いついた不思議な春の訪れ

2022-04-02 14:41:19 | 写真
■梅花と桜花-京に春きたる
 梅の季節と共に桜の季節も到来しましていよいよ京都に春が訪れたという風情を感じるところ。

 平安の頃には花見と言えば梅を指したという、そこで今年は梅花の季節に少々散歩してみることとしました。すると梅の花見は今までどうしていたのか、と問われますと秘密の花見の拠点が、ありました。メジロが舞いましてそして希にウグイスさえやってきました。

 花を愉しむためには先ず手入れをしなければなりません、一年に一度見るだけならば結構なのですが手入れをして育てる側に立ちますと、これはなかなかに大変な道程です。業者に任せているという見方をしましても、相応の費用が掛かるという事をなっとくする程に。

 梅の手入れは簡単そうで難しい、なにしろ虫が涌いてしまいますので、お食事中の方には申し訳ないのですが、アブラムシとアリとカイガラムシが涌いてしまうのを、健康に影響のない程度の農薬といいますか園芸薬品で追い払わねばなりません、やはり健康が大事だ。

 香りが素晴らしい梅なのですが、実が実る季節が害虫の季節ですので、あまり強い農薬を散布しますと梅の実に影響してしまいます、しかし安全な園芸用のものは持続期間が短く、場合によっては直接散布しても効果がないものがあります、このあたりがさじ加減難しい。

 園芸用といいましても殺生は避けたいものですし、なにより害虫によって効果がないものがある。その発生を見極めるのが忙しい。例えばアリが涌いてしまった際には、こればかりは殺虫剤を使うほかありません、アリだけに。しかしアブラムシにはこれは強すぎる。

 春の花見の楽しみがありますが、アブラムシが涌いてしまったならば、予防的に散布する園芸用農薬で対応できない場合は、江戸の街火消しのように破壊消防、つまり枝を切るしかありません。これが梯子を準備してちょっとした冒険になるのですけれども。しかし。

 最大の強敵は、イラガの幼虫です。刺されると痛い、そして毒が持続する。葉の裏側などにいて迷彩色で、殺虫剤は最強度のものしか効果が無く、専ら鉗子で除去して踏みつぶすしかありません、これが涌いてしまいますと悪夢でした。これには予防法があるのでして。

 美しい梅花を楽しむには相応の準備が必要です、そしてその大敵であるイラガは卵段階で駆除しなければならないのですが、イラガの卵は幹に沿って粒状のものが並んでいます、これを孵化する前にあらかじめ切除してしまえば、最悪の事態は避けられる、ということ。

 花見をしていますと、実は花見は下準備の方が遙かながい時間が必要となるのですが、梅花は、多少桜よりは花の季節が長いとはいえ、一瞬である。しかし梅にはもう一つの楽しみもあるのですね、こう聞きまして梅酒を思い浮かべた方は少々風情の感覚が足りない。

 香りです。古今和歌集にも歌われたとおり香りなのですが、これ実際梅木とともに季節を過ごしますと香りの季節は二月下旬から六月の梅雨時までと長く、こうした風情も梅花だけを眺めていますと気付かないのですが実は若葉の頃の方が梅の香は頂点に向かってゆく。

 果実が少し少しと着実にその実りを大きくしてゆく中にありまして香りは大きくなるのですが、花の香りと果実の香りが重なるところも成る程この梅の風情というものでして、特に五月の新緑の季に吹く風にはいつもの紅茶もひときわ美味しく感じるようになるという。

 青空と新緑、なるほどこうした梅花苑は花の季節がおわりますと見向きもされなくなりますが、次の季節に向けて手入れがはじまります、こればかりは育てる側にたちませんとわからないものなのですが、この開花の時期、実はその梅の香の長い季節の始まりなのです。

 梅花、探訪しました際には梅の絨毯と云う驚きの情景が広がっていまして。さてこちらは三月中旬以降に撮影したのですが、実はこの四月初旬、この京都は興味深い情景が広がっています、なんと今年は梅花の季節が冬の寒さから長かった背景もあるのですが、なんと。

 桜前線が梅花に追いついたという情景が広がっていたりします。桜花については四月初旬に寒波の強さからでしょうか近江は琵琶湖の湖北、長浜城など未だ梅花咲き誇り、南の彦根城もまだまだ開花はこれからという四月を迎えていたりするのです、散策の機運高まる。

 京都一円を眺めましても実は梅花と桜花の重なる立地はそれほど多くありません、それでも梅は香りで桜は音、桜を見上げながら梅の香を愉しむ事が出来るというのも、実は貴重な機会なのかもしれません。こうした出来事も異常気象というものの愉しみ方なのやも。

 花の季節迎えた京都は、賑わいの季節となります。まだまだ花々を見上げて乾杯という酒宴には少し厳しいCOVID-19の時代は続いていますが、歩み進めて花々を巡る春の過ごし方というものも、また良いのかもしれません。そうです、もう春が訪れたのですから、ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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Unknown (鉄火お嬢)
2022-04-03 20:46:29
去年からリモート業務とホテル激安をいいことに、インバウンドいぬ間と京都に入り浸って、人の少ない京都を撮り倒してきましたが、蔓防解除から一気に観光客が増え、桜シーズンが終わったら、ぼちぼち手仕舞いかもしれません。城南宮も満開と散り梅と2回行きました。2回目は3月17日だったのですが、ひょっとしてニアミスしていたかも(笑)明日からも京都で、平安神宮とか修学院離宮を狙ってますが……
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おはようございます (はるな)
2022-04-04 08:20:07
鉄火お嬢 さま おはようございます

あ、たぶんニアミスしてますね^_^

2020年からの日常は、歴史に残る出来事ですが、日本は無茶苦茶な犠牲者だけは避けられましたので、奇妙な日常、という印象ではありましたね

さて。実はテレワーク、安倍政権と菅政権の目指した地方創生の極めて重要な具現化事例と思っていたのですが、一過性で終わりそうな印象があり
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