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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-NATO派遣エストニアカジャカラス首相発言とハリコフ国境周辺のロシア軍部隊動向

2024-05-28 07:01:51 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 NATOとロシアの距離が短縮する事はそのまま次の大戦に展開する懸念が生じますのでどうしても関心事となってしまいます。

 エストニアのカジャカラス首相はNATO加盟国を含む複数の国が訓練要員を既に派遣していると発言しました。ISWアメリカ戦争研究所5月20日付ウクライナ戦況報告ではアメリカのフィナンシャルタイムズ紙の報道を引用するかたちでカラス首相の発言を紹介していて、ウクライナ軍への訓練支援のために現地派遣が既に為されている、と。

 カラス首相発言では、派遣した国の詳細については避けながらも、危険な地域でのウクライナ軍訓練支援を行うことによるリスクは想定済みとしたうえで、ほかのNATO加盟国についても、こうしたウクライナ領内への派遣によりロシアとの関係が悪化し戦争が拡大するなどといったリスクをおそれるべきではないとしました。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 部隊の充足率については自衛隊もなかなかここでは書けないことを知っている故になんともいえないのですが。

 ハリコフ国境周辺のロシア軍部隊動向について、ISWアメリカ戦争研究所5月20日付ウクライナ戦況報告ではハリコフ州北部を防衛するウクライナ軍旅団副旅団長の発言を紹介しており、ロシア軍はさまざなか部隊から集成した部隊をスミ州国境付近に集結させているものの、目的は越境攻撃ではなくウクライナ軍誘引と分析しています。

 ウクライナ軍を国境警備に張り付けさせることでほかの戦線が手薄となることを目的とした誘引と副旅団長の分析を裏付けるように、ロシア軍はヴォフチャンスクではヴォフチャ川に沿って中心部へ浸透を開始、クリシチフカ南部やネタイロフ西方、そしてクラスノホリフカなどで一定程度の前進を続けているという概況があるとのこと。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 現時点では陽動であるのだけれども次の段階をロシアが想定していないとも思えないのですよね。

 アウディイフカ周辺での戦闘概況について、イギリス国防省は5月21日付戦況報告においてロシア軍が高速道路E50号線を起点にその両側に向けて浸透をつづけていると報告しました。ロシア軍のハリコフ州での新しい攻撃軸展開はやはり主攻撃ではなく、ロシア軍攻撃が活発であるのは東武地域であるとイギリス国防省は分析しています。

 高速道路E50号線はロシア軍が制圧しているドネツクとウクライナ軍防衛拠点のおかれたポクロイシクを結ぶ高速道路で、この72時間でロシア軍はかなりの損耗を容認しながら前進しており、この背景にはポクロイシクからドネツクに掛けてのウクライナ軍戦線に突出部を形成させ、そこから分断することが目的とイギリス国防省は分析する。

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