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ベル360インヴィクタスという選択肢【1】陸上自衛隊にアメリカ陸軍インド太平洋地域用航空機採用を考える

2023-06-22 20:23:53 | 先端軍事テクノロジー
■戦闘偵察ヘリコプター
 戦車大隊と偵察隊が本州では統合され偵察戦闘大隊が創設されているのだから航空機についてもこうした選択肢を考えるべきではないのか。

 ベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプター。陸上自衛隊のAH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプターとAH-1Sコブラ対戦車ヘリコプター、それにOH-1観測ヘリコプターは、後継機を調達することなく、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに観測ヘリコプターという区分ごと廃止されるという。それでは新しい装備体系で置き換える事は可能か。

 偵察ヘリコプターという、従来にない装備体系であれば、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに観測ヘリコプターという従来の装備体系が陳腐化したという政府が示した定義には含まれませんし、しかも開発されているベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプターというものは、技術的リスクが低い割には完成度が非常に高い装備となっています。

 自衛隊は、本州と九州の戦車大隊を廃止する際に、偵察部隊を同時に廃止し偵察部隊の機能と戦車部隊の打撃能力の一部を併せ持つ、偵察戦闘大隊、という新しい部隊体系を構築しています。そしてベル360インヴィクタスを見ますと、観測ヘリコプターの一歩先を行く偵察能力と、戦闘ヘリコプターの能力を併せ持つ、なにか日本型の発想と重なるものが。

 FARA陸軍将来攻撃偵察機、もともとベル360インヴィクタスはアメリカ陸軍が進めるFARA陸軍将来攻撃偵察機計画に基づいて開発されたものです。そして開発中の機体の外見は、タンデム複座式でAH-1コブラを洗練させたような、しかし主翼を胴体に備えた、いわゆる複合ヘリコプター、巡航速度を高く意識した形状を採用しているのが特徴です。

 ヘルファイア対戦車ミサイル系統の対戦車ミサイルを最大16発程度搭載可能、しかし胴体内部にF-35やF-22戦闘機のような兵装庫を有し、ステルス性と、なにより空気抵抗を最小限とする設計を採用、また主翼は兵装搭載に限定するものではなく巡航速度を高める空気力学を期待しており、巡航速度は330km/hを超え最高速度は400km/hに迫るもの。

 RAH-66コマンチ偵察ヘリコプター、1990年代にステルス性を高度に意識したヘリコプターとして開発がすすめられ、幾つかの機種を一手に後継機として共通化し大量生産することで製造単価を抑える計画がありました、期待されていた機種なのですが、それでも一機当たり1億ドルの量産日が必要とされ、2000年代初めに開発計画が中止された航空機だ。

 ベル360インヴィクタスは、部分的にRAH-66コマンチ偵察ヘリコプターの形状を踏襲していまして、これは過去に実施された、テロ組織アルカイダ指導者オサマビンラディン急襲作戦に投入されたという、UH-60多用途ヘリコプター派生型のステルスブラックホークヘリコプターのように、RAH-66の技術が応用されているのではと憶測させるものです。

 ベル525リレントレス。これはベル社が2015年に初飛行させました中型ヘリコプターですが、ベル360インヴィクタスは基本的にベル525リレントレスの機体構造を採用しているという。リレントレスは19名の乗客を空輸するヘリコプターですが、巡航速度287km/hで航続距離1037km、この種の多用途ヘリコプターとしては高い性能を持つ機体という。

 機体形状は全く異なるものではありますが、しかし基本部分を流用できるのであれば、UH-1多用途ヘリコプターからAH-1対戦車ヘリコプターを開発したベル社ですし、アメリカンペネトレイターという、UH-1の機体構造を操縦席からタンデム複座式として武装ヘリコプター化する試作機開発が行われるなど、基礎部分が確立しているならば応用は容易だ。

 複合ヘリコプターといいますか、主翼を持つヘリコプターは実は富士重工スバルがかつて、ベル206多用途ヘリコプターをライセンス生産していた時代に主翼追加型を試作しています、実用化には至らず機体は群馬県科学館に航空シミュレーター機として転用し展示されたようですが、こうした航空機そのものは日本にとっても未知のものではありません。

 ベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプターのような、いわばヘリコプター版の偵察戦闘大隊のような航空機が陸上自衛隊へ、既存航空機の任務を受け継ぐ機種として採用されたならば、AH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプターとAH-1Sコブラ対戦車ヘリコプター、それにOH-1観測ヘリコプターの退役を安心して見送ることができるのですが。

 政府は観測ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに戦闘ヘリコプターの任務を無人航空機で置き換えるという。しかし現段階で自衛隊の無人機運用実績は乏しく、ミサイル運用能力と匍匐飛行能力のある無人ヘリコプターは存在しません、すると、官僚は間違いを犯さず、の体裁と両立できるような偵察戦闘ヘリコプターは検討されるべきと思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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