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ベル360インヴィクタスという選択肢【3】アメリカでさえ有人機を用いる分野に無人機後進国日本が挑む無謀

2023-07-01 20:09:36 | 先端軍事テクノロジー
■広大な太平洋地域
 観測ヘリコプターと戦闘ヘリコプターを全廃して無人機に置換えるという提案は、どのあたりにそこまで無人機の運用に自信を持っているかという素朴な疑問麩に繋がります。

 ベル360インヴィクタスヘリコプターのような航空機が陸上自衛隊へ採用されるならば、戦闘ヘリコプターと観測ヘリコプターが廃止されても、情報収集から対戦車攻撃まで展開可能で、離島からの運用も離島への運用も、水陸機動団のV-22オスプレイ護衛さえも可能となり、なにより反撃能力で敵本土を叩く前に着上陸部隊に打撃を与えられるのだが。

 観測ヘリコプターは無人航空機により置き換えるという、これが日本の構想です。もっとも、観測ヘリコプターの任務は敵の気配や戦闘能力を推し量ることであり、無人航空機だけで対応できるのかは大いに疑問です、そして何より、センサーだけではわからないからこそ、アメリカ陸軍もFARA陸軍将来攻撃偵察機を開発している点を忘れるべきではない。

 自衛隊の無人機運用の歴史は確かに長い、けれどもその大半は無人標的機の任務である。政府は既存の戦闘ヘリコプター、対戦車ヘリコプター、観測ヘリコプターをすべて退役、無人航空機に置き換えるというが、そもそも自衛隊に無人機の作戦運用に実績はない、第101無人偵察機飛行隊は、北海道南西沖地震、阪神大震災、東日本大震災でも飛んでいない。

 大災害において内閣総理大臣は度々現場を上空から視察する、これは自分の目で見なければ全容を把握できないためという理由なのだけれども、結局のところセンサーで得られる情報は画像情報であり、人間の視覚とともに五感で得られる情報には及ばない、こうした前提であるからこそ、安易な無人機万能論に基づく政策転換には不安を覚えるのです。

 AH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプター、防衛省は2030年までに用途廃止を計画している、ただ問題はボーイング社が2025年にアパッチロングボウのアップデート改修を終了するため、2025年から2030年まで自衛隊が運用を継続する場合はアパッチガーディアンへ改修する必要があります。この点について明確な指針が示されていないのです。

 アパッチガーディアン、日本がこの方針を明確としない背景には、AH-1Sコブラ対戦車ヘリコプターの時代から継続されてきた陸上自衛隊の空中打撃能力について、従来想定された北海道ではなく中国を対象とした南西諸島などでの戦闘を想定する場合、この行動半径や打撃力が戦闘ヘリコプターという装備体系では追いつかないという認識があるのか。

 FARA陸軍将来攻撃偵察機という装備体系が実際に、無人機の運用では世界の戦闘を行くアメリカ軍において進んでいるために日本の施策に懸念するのですが、しかし、仮に陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターや戦闘ヘリコプターを置き換えうるものとなるならば、どうなのだろうか。既存装備体系ではなく新しい装備体系にまるごと転換するという意味で。

 インド太平洋軍が中心として将来の対中国戦闘を念頭に環太平洋地域での運用を想定する、この為に長大な行動半径と高い進出速度を有するFARA陸軍将来攻撃偵察機は、先ずメーカーが提示した航空機を選定し、その上で選定された機体を原型として開発するという悠長なものではある。しかし、陸軍は優先度を高め、予算配分を強化し加速するという。

 アメリカはこれまでに幾つかのメーカーが可動翼機や複合ヘリコプターを開発しており、おそらくこの分野では世界で最も技術実績を蓄積しています。これに、表現は悪いのですが相乗りすることができれば、自衛隊としては、なにしろ想定地域がアメリカ軍と重なる訳ですので、リスクが低く、完成度の高い航空機を装備できることともなる利点がある。

 UH-2多用途ヘリコプター。もう一つFARA陸軍将来攻撃偵察機の自衛隊導入への現実性を高めるのは、自衛隊が広範に配備させる多用途ヘリコプターとして、UH-2多用途ヘリコプターという、非常に取得費用を抑えた機種を選定したことです。これは島嶼部飛行能力が設計に要求されているが、飛行性能の面から島嶼部運用に最適な機種ではありません。

 FLRAA将来型長距離強襲機とFARA陸軍将来攻撃偵察機、アメリカを見ますと軍用ヘリコプターは間もなく巡航速度と行動半径という点で劇的な世代交代の時期を迎えようとしています。そして、賛否両論在りますが自衛隊はV-22オスプレイ可動翼機17機の導入により、一足早く数は限られるものの、世代交代の端緒に到達した、ともいえるのですね。

 V-22オスプレイ可動翼機を導入したのです、FARA陸軍将来攻撃偵察機は速度面で厳しいですが従来の戦闘ヘリコプターよりも随伴能力は高くなっている、すると、併せて普段使い的な任務をUH-2多用途ヘリコプターに委ね、強襲任務をFLRAA将来型長距離強襲機のような機体へ転換、費用は嵩みますが選択肢として考えられる様なっているのです。 

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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