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【京都幕間旅情】建仁寺,双龍図-法堂に描かれた壮大な龍の絵図をカメラにも開放する禅寺の精神真価

2023-05-31 20:22:10 | 写真
■禅寺のこころを考える
 拝観と観光の違いはどうあるのかと考える事はあるのですが逆に拝観の森厳な気持ちで探訪したのを物見遊山と例えば北区の御寺で寺院側にみられるのは少々不満に思う事がある。

 双龍図、京都には天井に龍を描いた堂宇が数多ありますが、格段に親しみを感じるのは何を置いても、相国寺や天龍寺の龍たちも確かに心を突き動かすものはあるのですが、建仁寺の双龍図ほどには感動というものを生まないとおもう。それは禅宗の真価を示すため。

 法堂に描かれた壮大な龍の絵図、そもそもこの法堂は明和2年こと西暦1765年の再建となっていまして、平成時代に日本画家小泉淳作により双龍図が描かれている、いわば絵図としては新しいものなのですけれども、それ故に撮影させてくれるというのはありがたい。

 勧進、という動きが末法思想の時代に起こった源平合戦による南都焼討と東大寺焼失、この頃には文治元年大地震や養和元年大飢饉など、遂にこの世界もこれまでか、という災厄災禍が続く中で、東大寺の再建を進める過程で重源などにより大きくわき起こしました。

 法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、一遍の時宗、日蓮の日蓮宗、栄西の臨済宗、道元の曹洞宗、末法思想とともに災厄の時代には阿弥陀仏の縋る他力本願の浄土宗と浄土真宗と時宗、天台宗から発展した日蓮宗、教義と修行による不立文字を掲げた禅宗が日本で定着する。

 禅宗の真価、というのは元々禅宗は仏教が民衆という大海に分け入って初めて成立しました背景があります、故に寺院は開かれているというものなのですが、なるほど仏教美術は昨今、禅寺もそうでない寺院も撮影禁止というところが実に多いという悲しい現実がある。

 建仁寺はこうした点で開かれている寺院であり、双龍図を見上げるだけではなく撮影できるという。好奇心もあるのかもしれませんが、何より双龍図というものを撮影出来たのですから、こうして禅宗と仏教の話題を広く分かち合う事が出来る、これは何とも、よい。

 末法思想、考えれば不思議なものでお釈迦様自身が末法思想をいつごろと示したものではなく、勝手に解釈して世界の終焉を悟り、その上で丁度うまい具合に災害と戦争が重なった事により、いよいよ世界は終わる、と自分で袋小路に迷い込んだ構図が平安朝末期です。

 ノストラダムスの大予言を、どうしても1999年7の月、という言葉と共に想いだしてしまう世代ではあるのですが、人類は進歩しているようで進歩したのが科学技術のみ、こころと哲学については、同じことを繰り返しているのだろうか、とも思ってしまうのだけれど。

 地球は終わらない、いわば末法思想そのものに反論したものが日本では禅宗というもので、このあたりから鎮護国家という、国家が主体であり、しかも国民国家という概念が存在しない時代のいわば“お上”の概念の信仰から大衆信仰へ舵を切った構図といえましょう。

 俵屋宗達の風神雷神図、この絵画こそは恐らく日本人ならば美術の教科書や風邪の感冒薬コマーシャルなどで一度は目にしたものと思うのですが、原本は京都国立博物館に寄託されていますので複製ではあるのですけれども、これをそのまま撮影する事が出来るのです。

 風神雷神図、原本は国宝であり建仁寺派寺院である妙光寺再興に際し描かれたものが建仁寺へ贈られたもの。妙光寺は右京区宇多野上ノ谷町という山奥の、そして特別拝観以外見る事の出来ない寺院とはなっているのですが、風神雷神図の複製をこう、みられるのだ。

 京都には数多寺院が有ります、もちろん善峰寺のように駅から遠い寺院もあれば鞍馬寺のように駅から近くとも駅そのものが中心部から離れている寺院、というところもあるのですが、交通が便利な中心部に、もう少し拝観者が集ってもいい寺院が、こう佇んでいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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