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中国軍-台湾海峡中間線以東訓練常態化,海峡上空の緊張は北上-懸念される沖縄方面への中台緊張波及の再来

2022-08-13 07:01:59 | 国際・政治
■臨時情報-台湾情勢
 本州へ台風が接近する中ではありますが安全保障情勢ではむしろ沖縄南の台湾海峡波高し、というところです。

 中華民国台湾国防部によれば、中国軍機による台湾海峡中間線を越えての飛行が常態化しているとの懸念を示しました。これは中国人民解放軍が予定よりも延長させて実施していた台湾周辺海域での演習の終了宣言後に当る11日にも台湾海峡での航空訓練を継続しており、台湾海峡中間線を越えての飛行が11日だけで延べ11機に及んだと発表しています。

 台湾海峡中間線、台湾へは中国軍機が度を越した頻度での飛行情報区侵入を常態化させ、防空識別圏内への飛行は珍しくないように思われるかもしれません、しかし実態はそうではありません、中国機による防空識別圏侵入は、台湾南西方面の台湾飛行情報区が南方に大きく伸びている空域において行われていた為で、台湾海峡中間線からは離れていました。

 緊急発進は中国機の増大に対応しきれず特異な状況を除けば実施できない状態となった、とは既報の通りですが、これは上掲の南に大きく伸びた飛行情報区に対しての緊急発進が長距離の飛行を要する為、空軍戦闘機の負担が大き過ぎた為です。そして台湾南方空域となれば、第二の都市高雄はありますが、此処からも離れていて防衛上は多少、看過し得る。

 台湾海峡中間線は、しかしそうは参りません、台湾から見れば攻撃準備行動と判別できない。そして台湾海峡中間線を越えないという暗黙の中台との慣習は相互の緊張を高めない為の措置であり、ここが破られた構図となります。仮に現状のまま推移するならば、中国は段階的に台湾封鎖に近い状況に持ち込み、時機を見て侵攻に遷るのではないかと懸念が。

 日本としても留意しなければならない状況はある、これは中国軍の台湾周辺における軍事演習に際し、我が国EEZ排他的経済水域への弾道ミサイル五発を着弾させ、中国軍のミサイル命中精度を考慮すれば、敢えて我が国EEZ内を照準し狙ったとしか考えられない、すると台湾有事に際して、日本への軍事的示威行動、それ以上さえ発生する懸念はあります。

 中国戦闘機の戦闘行動半径は長大化しています、これは一時年間2000回以上の緊急発進という航空自衛隊史に残る緊張状態が過去に在りましたが、緊張が再来する可能性もあります。一方で、先日の中国軍演習では与那国島近海にミサイルが着弾しており、那覇基地以西に拠点を置く事への牽制も含まれています。深い憂慮と共に対策を建てねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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