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臨時情報-中東情勢:在ヨルダン米軍基地へ無人機攻撃で米兵死傷者多数,イラン系武装勢力犯行声明

2024-01-31 07:00:20 | 国際・政治
■臨時情報-中東情勢
 中東の火種がもう一つ増えつつあり大規模戦争への危険なパズルにくわわるピースの一つとなるもよう。

 中東ヨルダンに所在しますアメリカ軍施設“タワー22”へ無人攻撃が行われ、アメリカ兵3名が戦死し少なくとも34名の負傷者が出たとのこと、負傷者の内8名はヨルダン国外に搬送されるほどの重傷とのこと。タワー22はヘリコプター発着スポット十カ所程度を有する補助施設であり、無人機攻撃は休息区画として準備されていた天幕に命中したもよう。

 イラクのイスラム抵抗勢力、今回攻撃を行ったのはイランが支援する武装組織“イラクのイスラム抵抗勢力”、ヨルダン国内には2000年代初めにはヨルダンとアメリカの防衛協力のための施設が複数建築されており、アメリカ軍とヨルダン軍も恒常的に訓練協力を行っています。イラク戦争では孤立した米軍特殊部隊をヨルダン軍が救出した事例もありました。

 ヨルダン政府は28日、ヨルダン国営テレビと通じて無人機攻撃について非難しました。無人機はヨルダン国境を領空侵犯しています。そしてその一方、アメリカ軍施設についてはヨルダンとシリアとの国境などでのテロ勢力浸透や麻薬と武器密輸対策に当たる施設であるとし、国家の安全を脅かす脅威に対しては徹底的に対応すると発言しています。

 イランが支援する武装組織“イラクのイスラム抵抗勢力”の行動について、イラン外務省のキャンアニ報道官は、イラン政府が指示した攻撃ではない、として関与を否定しています。一方、アメリカのバイデン大統領は28日、南部サウスカロライナ州での会合の場において、攻撃へ報復措置を執ることを明言しました。戦死者3名はアフリカ系でした。

 アメリカ軍の報復措置について、その概要は示されていません。ただ、これに関連してバイデン大統領やブリンケン国務長官からはイランとの直接戦争はのぞんでいない、としており、また報復措置について、段階的で長期的なものになると発言しました。少なくとも、新月の日にテヘランへトマホークが撃ち込まれるような状況は回避できるのでしょう。

 アメリカの報復措置、具体的にはイラン関連団体への経済制裁強化やイラン全体への経済制裁、また実行した武装勢力に対する限定攻撃等が予想されます。ただ、議会共和党の一部などから既にバイデン政権の対応について不十分、との批判が示されており、昨年から数十回を超える無人機攻撃へ後手後手の対応への批判が強まることも予想されるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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