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【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(09)87式自走高射機関砲装備する第7高射特科連隊(2011-10-09)

2022-05-15 20:11:08 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■87式自走高射機関砲
 自衛隊は2000年代に入りますと巨額のミサイル防衛事業費を捻出する為に余りに装備を妥協し逆に危機を招く事にはならないか、防衛費をGDP比2%に増額させる機運とともにこの歪を直視して欲しい。

 87式自走高射機関砲、第7師団はこの87AWSPともよばれる32両の高射特科装備と、81式短距離地対空誘導弾システム10セットにより厳重に防空されています。各防空装備はいずれも師団対空戦闘情報システムに連接しており、対空レーダ装置P-14の支援下にある。

 35mmエリコン機関砲は、射程が3500m云々と聞いていましたので自衛隊もAH-1S対戦車ヘリコプターに搭載しているTOWミサイルが射程は3750m、射程4000mのミサイルには太刀打ちできないのではないか、こういうのは昔、書籍の情報を鵜呑みにしていたもの。

 機関砲、しかし、毛髪に触れるだけでも作動する焼夷徹甲弾を毎秒17発射撃でき、しかもこの35mm砲弾は安全考慮し6500mで自爆するという設計を聞きますと、3500mという射程は、有効射程が実際にはもう少し長いのではないか、とも考えてしまうのですよね。

 機関砲の利点として、熱源や欺瞞紙などで妨害されず発射したならば真っ直ぐ飛翔するところ、ミサイルと違う利点です。もっとも難点として機関砲の整備はミサイルと違い遥かに面倒ですので、即ち整備性と信頼性の高い機関砲というものも課題なのかもしれません。

 高射特科部隊は、しかも中隊で6両が猛烈な弾幕を構成し、しかもレーダー管制されており機動力も高いものですし、電波を発信しなくとも87式自走高射機関砲は照準用カメラによる光学照準が可能ですので、電波を発していなくとも相手は存在を留意せざるをえない。

 48両しか製造されませんでしたが、当初は150両が全国の高射特科部隊へ配備される計画でしたので、今更でも遅くはありませんのでこの種の装備を揃えるべきなのでは、と。取得費用は高い装備ですが、無人機対処等も含めこの種の高射機関砲の近代化は必要と思う。

 野戦防空は、しかしこれも一概に一種類の装備品だけで自己完結できるほど甘いものではありません、また防空制圧という高射特科部隊そのものが標的となるものでもありますし、延々とレーダーを作動させ警戒していますと、そのレーダーが防空制圧の目標になります。

 ハーピー徘徊式弾薬などは、レーダー電波を探知して突っ込む防空制圧用の徘徊式弾薬でイスラエル製ですが既に1990年代に中国へ輸出され、リバースエンジニアリングされています、かなり小型なのですがその分多数による飽和攻撃が可能で、看過できない脅威だ。

 CIWSの20mm機関砲が威力が大きすぎて付随被害、周辺の民家などに流れ弾がという認識ならば、例えばM-134ミニガン、20mmではなく7.62mmですが、これと併用してもよい。おそらくHARMのような超音速機が相手では無理ですが、小型無人機には十分に効く。

 ミニガンのCIWS,奇しくも1990年代初頭にBAEシステムズの前身であるヴィッカース社が戦車を対戦車ミサイルから防衛する戦車版CIWSとして兵器展に出展しているのですね。高射特科の広域防空ミサイルも、自衛するための装備は今後考えてゆかねばなりません。

 装備品、これこそ決定打、という装備はありません、すると様々な装備品は近代化されるか更新してゆく必要があるようにも思う。例えば、昨今、89式装甲戦闘車の車体を更新する共通装軌式車両が開発されていますが、無いよりましにしても、要求仕様は古いのでは。

 共通装軌式車両は、89式装甲戦闘車の後継車両となるものですが基本的にこの砲塔は89式装甲戦闘車のものを流用するとの事で、同時に共通装軌式車両の車体は87式自走高射機関砲の砲塔も継承するという。フィンランドもマークスマンAWSPでやった方式ですが個人的に火器管制装置の性能を相当に強化せねばならない。

 共通装軌式車両、ただ、87式偵察警戒車の砲塔も共通装軌式車両に搭載するならば対戦車ミサイルは搭載しないものの装甲戦闘車として転用できそうなものでも、と考えたことはあります、装甲戦闘車が足りなさすぎる為に、偵察警戒車の分が増えればせめても幸い。

 日本が戦車開発を進めている間、10式戦車という高性能戦車が開発されたのですが、61式戦車と組んだ60式装甲車、74式戦車の相方73式装甲車、90式戦車の相棒志望の89式装甲戦闘車に当る10式戦車の同僚は開発されることはありませんでした。問題といえます。

 35mm機関砲を誇った89式装甲戦闘車の優位も、CV-90が40mm機関砲を搭載しロシアが30mmに加えて100mm低圧砲を搭載したBMP-3を開発しますとあっさり格差が開きます、そして89式装甲戦闘車の戦闘重量26tも徐々に重量級とは言えないようなってゆく。

 紛争地域ではRPG対戦車擲弾やIED簡易爆発物が日常的に装甲戦闘車に降り注ぎ、結局はCV-90も、スペインオーストリア共同開発のASCODも、装甲が徐々に強化されてゆき、これも89式装甲戦闘車の戦闘重量26tは当初頑丈の部類に入っていましたが、時代は進む。

 1990年代後半に装甲戦闘車の標準重量は30t台後半、そして40t台に入って行きました、10式戦車が44tですので凄いといえば凄い。ドイツがマルダー装甲戦闘車の後継にプーマ装甲戦闘車を開発した際には増加装甲を最大限装着した場合で戦闘重量41tに達しました。

 プーマ装甲戦闘車の41tを勝手に重装甲戦闘車と表現していましたが、同じメーカーであるクラウスマッファイ社がドイツ連邦軍向けではない輸出用のリンクス装甲戦闘車を開発しますと45tと10式戦車よりも重く、イギリスのエイジャックス装甲偵察車も40t級です。

 40t級の装甲戦闘車が2010年代の趨勢となりつつある、10式戦車並の重さ。もちろん車格が大きいために防御力の優位を示すものではないが、26tの89式装甲戦闘車は下手をすれば装輪装甲車の、下手をせずとも実際そうなのですが、装甲は平凡なものとなっています。

 航空自衛隊のC-2輸送機が36tまで搭載できるのですから35tの61式戦車程度の装甲戦闘車、増加装甲の装着により40t程度まで、40mm機関砲程度には耐えられる装甲戦闘車を、戦車部隊が300両なのですから450両から600両程度、量産しても良いよう思うのですね。

 列国に伍する高性能、そんな安直な発想ではありません、戦車に随伴するということは戦車と同じ攻撃を受ける事を示すわけで、耐えられねば意味はありません。日本の場合は、専守防衛ですので結局は国土戦となります、そして国土戦ということは重要な点がひとつ。

 国土戦では、我が同胞の居住地域が戦闘地域となるのですね。国土戦となれば、どうしてもサイパン攻防戦と沖縄戦の歴史を思い出さないわけには参りません。そして同時に、戦車が撃破された場合には戦車の乗員は3名、その人命が大きな危機にさらされるのですが。

 装甲戦闘車の場合は10名、乗員に加えて普通科隊員が乗車中ですので危険にさらされる人命はどうしても多いのです、すると装甲戦闘車の防御力重要性を考えないわけには参りません。装甲戦闘車、開発当時には戦車を支援するとか乗車した歩兵の地位を変えたもの。

 通常のAPC装甲人員輸送車では戦場までのタクシーであり乗車したならばそのまま戦闘に関与できないというもので、そこに機関砲を搭載することで戦闘に参加できるという点と、銃眼、装甲戦闘車の第一世代では銃眼は必須だった、ここから小銃をつきだして撃つ。

 銃眼により戦闘に参加できるというものが。乗車戦闘能力こそが装甲戦闘車の考えでした、これは間違いとはいいません、装甲戦闘車の重要性が認識された一つに対戦車兵の第四次中東戦争における能力の拡大であり、撃退できる能力を戦車が十分もたなかったのですね。

 装甲戦闘車はこうした必要性から生まれたものなのですが、他方で留意しなければならないのはこの戦争が1973年、49年も昔の戦争だ、ということなのですね。すると装甲戦闘車というものにも世代が在る、この視点を忘れないようにしなければ、なりませんよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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