■八月八日は八八艦隊の日
DDHヘリコプター搭載護衛艦とDDGミサイル護衛艦は海上自衛隊の象徴的な装備です。
本日八月八日は八八艦隊の日、Weblog北大路機関では大海軍時代を懐古するとともに、戦後自衛隊は88艦隊、護衛艦8隻ヘリコプター8機の88艦隊による4個護衛隊群の編成共通化という防衛力整備事業を達成しました。ただ、21世紀の厳しい安全保障情勢を鑑みるに、日本にはもう一段進んだ“新しい88艦隊”という防衛力整備が必要と思うのです。
はるな型ヘリコプター搭載護衛艦とその拡大型で対応出来た安全保障環境はすでに過去のものとなりました、そのうえで提案とは、新しい88艦隊、その概要は全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦を現在の4隻から8隻に増勢し、現在4個護衛隊群隷下に在る8個護衛隊全てに8隻のイージス艦に加え、ヘリコプター搭載護衛艦を配備するという私案だ。
くらま、第一世代のヘリコプター搭載護衛艦最後の一隻と交代する形で護衛艦かが竣工となり、四個護衛隊群全てに全通飛行甲板型護衛艦が配備されることとなります。ひゅうが型護衛艦は満載排水量19000t、やや小型ということで、満載排水量27000tいずも型護衛艦のみに現在のところF-35Bを搭載する構想ですが、4隻体制の意義は大きいと考える。
ただ、これだけでは不十分だ、これが"新しい88艦隊"の骨子です。もちろん護衛艦そのものの能力は大幅に向上しました、しかし、どれだけ性能が向上したとしても当時とは比較にならない新しい防衛状の問題が顕在化していますし、なによりどんな強力な護衛艦でも同時に二つの方面には展開できず、定期整備やローテーションの問題もあるのですよね。
新しい88艦隊、さて、必要だと提唱するのは、護衛隊群を構成する各2個の護衛隊のうち、現在は片方にのみ全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦が配備されている状況です。これを全ての護衛隊に配備する、言い換えれば汎用護衛艦一隻を省いてヘリコプター搭載護衛艦へ置き換えてはどうか、との提案をしているものです。経済的には充分可能です。
いずも艦上へのF-35B発着試験成功、これは飛行甲板の耐熱化と甲板塗装のF-35対応への変更により実現しましたが、更に今年3月からは護衛艦かが改修が開始、これにより艦首側の形状が大きく変更され、本格的なF-35B短距離滑走対応に改められるとのことです。ただ、ここで忘れてはならないのは2隻体制の限界という過去の失敗です。その過去とは。
加賀のほうで護衛艦の方ではありませんが、旧海軍では一つの機動部隊、南雲艦隊を酷使しすぎ、結果的にミッドウェー海戦まで、真珠湾攻撃からインド洋作戦に豪州ポートダーウィン攻撃と休息を考えず人員を酷使し続けました、2隻のみのヘリコプター搭載護衛艦にF-35B対応改修を行う、これは増えるばかりの任務負担を考慮した結果なのか、と思う。
護衛艦隊の任務は増大している、この点もふまえれば現在のヘリコプター搭載護衛艦で十分という考えはどうしても生まれないのですよね。任務、シーレーン防衛とともに、シーレーンの真上で起こる懸念がある台湾有事に際しては、憲法上直接介入ができないにしても、護衛艦を派遣し、とにかく戦争以外の方法で収めるよう訴えられる。これが重要です。
台湾海峡や台湾周辺事態の他に、朝鮮半島有事に際してはF-35Bの搭載する大量のセンサーは弾道ミサイル発射の早期探知、もちろん妨害排除も含め有用であるとされミサイル防衛支援は当然含まれる。ロシアのウクライナ侵攻という今年二月以降は、北海道周辺でのロシア軍行動を冷戦時代のように押さえ込む有志連合の一員としても責任が求められる。
武力攻撃事態のほか、ヘリコプター搭載護衛艦にはプレゼンスオペレーションとしてインド洋地域での長期任務も求められるようになったほか、インド太平洋地域へのNATOプレゼンス増大という要望が2022年NATO首脳会議において実現した以上、逆に日本もイギリスに倣い欧州地域へヘリコプター搭載護衛艦親善訪問の定期化などが求められましょう。
ヘリコプター搭載護衛艦、そしてこの装備体系は戦後日本が独自に構築した装備体系です、ヘリコプターを搭載できる駆逐艦やフリゲイトは世界中やまほどありますし、パワープロジェクションの時代にあって航空母艦というものも全通飛行甲板型艦艇というだけならば、近年多くの国が保有するに至っています、が、基幹戦力ではない点が日本との違いです。
航空隊規模の航空機を収容できるヘリコプター搭載護衛艦は、言い換えれば護衛隊に装備されることで、護衛隊と航空隊により2個の隊を運用し任務群を構成し得ます、F-35Bを搭載して航空打撃能力、SH-60を主体として対潜能力、AH-64DとMCH-101にCH-47を搭載するならば水陸機動作戦、MCH-101を中心に対機雷戦、編成は自由自在ということ。
8個の任務群があれば、遠隔地での任務を日本周辺の任務と両立して実施することができますし、強大な脅威に対して任務遂行を求められれば、複数の任務群を集めて集団運用する、データリンクの時代です、対艦弾道弾などの脅威を前にするならば多少離隔をとる選択肢もある、数を集めれば数隻に分ける事でニミッツ級空母なみの数の艦載機も積めるわけだ。
はるな、ひえい、しらね、くらま。第一世代のヘリコプター搭載護衛艦整備は、この装備が基本となる体制を構築したもので、当時は専守防衛、はるな竣工は1973年ですが、1965年のマリアナ沖漁船大量そう難事件までは自国民が数百名行方不明となっても、自衛隊を捜索へ派遣することさえ制度上難しいものがあった為、行動範囲は狭かった事情があった。
冷戦時代は核戦争一歩手前の緊張とともに防衛を突きつけられた時代でしたが、専守防衛に徹していれば日本列島だけを、1972年の沖縄返還までは沖縄防衛さえ米軍の任務でした、1000海里シーレーン防衛構想でさえ、1981年の鈴木内閣時代に提示されたものなのですから、日本列島を不沈空母とすれば、艦隊を前に出す必要も限定的でした。しかし今は違う。
003型航空母艦として中国海軍は大型のカタパルトを搭載した航空母艦の量産を開始し、当面は既存空母とあわせ空母6隻体制を目指すという。もちろん日米同盟はありますし、韓国海軍との防衛協力という要素もあるのですが、やはり日本としても今の4隻でのローテーションで成り立つようには思えません、前述の通り海上自衛隊の任務は多いのですから。
ひゅうが、いせ、いずも、かが。ここに更なるヘリコプター搭載護衛艦を加え、いまある護衛隊群の護衛隊が8個なのですから8個護衛隊が全て均一の能力を構築する。戦前の八八艦隊ほど無理な計画ではありません、あの計画は今風にいえばクイーンエリザベス級とアメリカ級を毎年各1隻の2隻を増強するような無理な計画なのですから、これとは違う。
ヘリコプター搭載護衛艦の運用寿命は40年前後、つまり更新を考えれば中期防衛力整備計画一期あたり1隻のヘリコプター搭載護衛艦を、汎用護衛艦1隻に代えて建造してはどうか、日本の経済力を考えればそれほど難しいことではありませんし、確実な正規雇用につなげることもできる。今の厳しい時代だからこそ、増強を検討すべき命題と考えるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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DDHヘリコプター搭載護衛艦とDDGミサイル護衛艦は海上自衛隊の象徴的な装備です。
本日八月八日は八八艦隊の日、Weblog北大路機関では大海軍時代を懐古するとともに、戦後自衛隊は88艦隊、護衛艦8隻ヘリコプター8機の88艦隊による4個護衛隊群の編成共通化という防衛力整備事業を達成しました。ただ、21世紀の厳しい安全保障情勢を鑑みるに、日本にはもう一段進んだ“新しい88艦隊”という防衛力整備が必要と思うのです。
はるな型ヘリコプター搭載護衛艦とその拡大型で対応出来た安全保障環境はすでに過去のものとなりました、そのうえで提案とは、新しい88艦隊、その概要は全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦を現在の4隻から8隻に増勢し、現在4個護衛隊群隷下に在る8個護衛隊全てに8隻のイージス艦に加え、ヘリコプター搭載護衛艦を配備するという私案だ。
くらま、第一世代のヘリコプター搭載護衛艦最後の一隻と交代する形で護衛艦かが竣工となり、四個護衛隊群全てに全通飛行甲板型護衛艦が配備されることとなります。ひゅうが型護衛艦は満載排水量19000t、やや小型ということで、満載排水量27000tいずも型護衛艦のみに現在のところF-35Bを搭載する構想ですが、4隻体制の意義は大きいと考える。
ただ、これだけでは不十分だ、これが"新しい88艦隊"の骨子です。もちろん護衛艦そのものの能力は大幅に向上しました、しかし、どれだけ性能が向上したとしても当時とは比較にならない新しい防衛状の問題が顕在化していますし、なによりどんな強力な護衛艦でも同時に二つの方面には展開できず、定期整備やローテーションの問題もあるのですよね。
新しい88艦隊、さて、必要だと提唱するのは、護衛隊群を構成する各2個の護衛隊のうち、現在は片方にのみ全通飛行甲板型のヘリコプター搭載護衛艦が配備されている状況です。これを全ての護衛隊に配備する、言い換えれば汎用護衛艦一隻を省いてヘリコプター搭載護衛艦へ置き換えてはどうか、との提案をしているものです。経済的には充分可能です。
いずも艦上へのF-35B発着試験成功、これは飛行甲板の耐熱化と甲板塗装のF-35対応への変更により実現しましたが、更に今年3月からは護衛艦かが改修が開始、これにより艦首側の形状が大きく変更され、本格的なF-35B短距離滑走対応に改められるとのことです。ただ、ここで忘れてはならないのは2隻体制の限界という過去の失敗です。その過去とは。
加賀のほうで護衛艦の方ではありませんが、旧海軍では一つの機動部隊、南雲艦隊を酷使しすぎ、結果的にミッドウェー海戦まで、真珠湾攻撃からインド洋作戦に豪州ポートダーウィン攻撃と休息を考えず人員を酷使し続けました、2隻のみのヘリコプター搭載護衛艦にF-35B対応改修を行う、これは増えるばかりの任務負担を考慮した結果なのか、と思う。
護衛艦隊の任務は増大している、この点もふまえれば現在のヘリコプター搭載護衛艦で十分という考えはどうしても生まれないのですよね。任務、シーレーン防衛とともに、シーレーンの真上で起こる懸念がある台湾有事に際しては、憲法上直接介入ができないにしても、護衛艦を派遣し、とにかく戦争以外の方法で収めるよう訴えられる。これが重要です。
台湾海峡や台湾周辺事態の他に、朝鮮半島有事に際してはF-35Bの搭載する大量のセンサーは弾道ミサイル発射の早期探知、もちろん妨害排除も含め有用であるとされミサイル防衛支援は当然含まれる。ロシアのウクライナ侵攻という今年二月以降は、北海道周辺でのロシア軍行動を冷戦時代のように押さえ込む有志連合の一員としても責任が求められる。
武力攻撃事態のほか、ヘリコプター搭載護衛艦にはプレゼンスオペレーションとしてインド洋地域での長期任務も求められるようになったほか、インド太平洋地域へのNATOプレゼンス増大という要望が2022年NATO首脳会議において実現した以上、逆に日本もイギリスに倣い欧州地域へヘリコプター搭載護衛艦親善訪問の定期化などが求められましょう。
ヘリコプター搭載護衛艦、そしてこの装備体系は戦後日本が独自に構築した装備体系です、ヘリコプターを搭載できる駆逐艦やフリゲイトは世界中やまほどありますし、パワープロジェクションの時代にあって航空母艦というものも全通飛行甲板型艦艇というだけならば、近年多くの国が保有するに至っています、が、基幹戦力ではない点が日本との違いです。
航空隊規模の航空機を収容できるヘリコプター搭載護衛艦は、言い換えれば護衛隊に装備されることで、護衛隊と航空隊により2個の隊を運用し任務群を構成し得ます、F-35Bを搭載して航空打撃能力、SH-60を主体として対潜能力、AH-64DとMCH-101にCH-47を搭載するならば水陸機動作戦、MCH-101を中心に対機雷戦、編成は自由自在ということ。
8個の任務群があれば、遠隔地での任務を日本周辺の任務と両立して実施することができますし、強大な脅威に対して任務遂行を求められれば、複数の任務群を集めて集団運用する、データリンクの時代です、対艦弾道弾などの脅威を前にするならば多少離隔をとる選択肢もある、数を集めれば数隻に分ける事でニミッツ級空母なみの数の艦載機も積めるわけだ。
はるな、ひえい、しらね、くらま。第一世代のヘリコプター搭載護衛艦整備は、この装備が基本となる体制を構築したもので、当時は専守防衛、はるな竣工は1973年ですが、1965年のマリアナ沖漁船大量そう難事件までは自国民が数百名行方不明となっても、自衛隊を捜索へ派遣することさえ制度上難しいものがあった為、行動範囲は狭かった事情があった。
冷戦時代は核戦争一歩手前の緊張とともに防衛を突きつけられた時代でしたが、専守防衛に徹していれば日本列島だけを、1972年の沖縄返還までは沖縄防衛さえ米軍の任務でした、1000海里シーレーン防衛構想でさえ、1981年の鈴木内閣時代に提示されたものなのですから、日本列島を不沈空母とすれば、艦隊を前に出す必要も限定的でした。しかし今は違う。
003型航空母艦として中国海軍は大型のカタパルトを搭載した航空母艦の量産を開始し、当面は既存空母とあわせ空母6隻体制を目指すという。もちろん日米同盟はありますし、韓国海軍との防衛協力という要素もあるのですが、やはり日本としても今の4隻でのローテーションで成り立つようには思えません、前述の通り海上自衛隊の任務は多いのですから。
ひゅうが、いせ、いずも、かが。ここに更なるヘリコプター搭載護衛艦を加え、いまある護衛隊群の護衛隊が8個なのですから8個護衛隊が全て均一の能力を構築する。戦前の八八艦隊ほど無理な計画ではありません、あの計画は今風にいえばクイーンエリザベス級とアメリカ級を毎年各1隻の2隻を増強するような無理な計画なのですから、これとは違う。
ヘリコプター搭載護衛艦の運用寿命は40年前後、つまり更新を考えれば中期防衛力整備計画一期あたり1隻のヘリコプター搭載護衛艦を、汎用護衛艦1隻に代えて建造してはどうか、日本の経済力を考えればそれほど難しいことではありませんし、確実な正規雇用につなげることもできる。今の厳しい時代だからこそ、増強を検討すべき命題と考えるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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