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日米首脳会談-バイデン大統領"台湾有事に際し米軍介入"示唆,アメリカ戦略的曖昧政策放棄と中国外交部反発

2022-05-24 07:00:45 | 国際・政治
■臨時情報-日米首脳会談
 台湾海峡有事は日本の東南アジア地域からのシーレーンに直接影響が及ぶ重大関心事ですが、この命題に昨日驚きの発言がありました。

 岸田総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談、首脳会談後の記者内見においてバイデン大統領は、台湾有事についての記者からの質問に対し“台湾についての政策は全く変わっていない-台湾海峡をめぐる平和と安定を支持し-現状が一方的に変更されることがないよう取り組み続ける”として関与を強化する姿勢をあらためてしめしました。

 アメリカは台湾有事に際し軍事的に関与する用意はあるのか、とのさらに踏み込んだ質問に対してもバイデン大統領は“ある-それが決意である”と明確に発言、“一つの中国政策に同意しているが力によって奪取できると考えるならばまったく適切ではない”“地域全体を不安定とし-ウクライナで起きている事と同じ状況となる”と強い表現で強調しています。

 アメリカ大統領が台湾有事に対してアメリカ軍の直接関与を明示したのは、大陳島撤退による国共内戦終結後では史上初のものとなります。こういいますのも、戦略的曖昧性、従来のアメリカ外交政策では台湾問題について、軍事介入するかどうかを曖昧として手の内を見せない事としており、中国側はこれを一種の台湾への中立政策とも考えていた為です。

 バイデン大統領発言に対して、台湾と中国は即座に反応があり、当然といえますが中国外務省は“強烈な不満と断固とした反対”という報道官声明を出しており、“アメリカは台湾問題における言行を慎み-台湾独立勢力に誤ったシグナルを送らないよう求める”と発言アメリカの台湾政策は変っていないとホワイトハウスは火消しのような声明を示しました。

 台湾外交部は、アメリカ大統領とホワイトハウスに感謝と歓迎の意を示したい、としてバイデン大統領発言を歓迎しました。ただ、この発言は過去の発言と比べても非常に踏み込んだ発言であり、大統領随行記者からはこの記者会見後のIPEFインド太平洋経済枠組関連会合後の記者会見に際し記者から真意を問う声がありましたが、回答はありませんでした。

 台湾有事へのアメリカ軍関与明確化、バイデン大統領は過去にもCNNインタヴューなどで台湾有事へのアメリカの責任などを示唆し、また恰も日米同盟や米韓同盟と同じ様な同盟条約が在る事を誤解させるような発言もありましたが、今回は日米首脳会談の際に記者会見において正式に発言したということであり、日本周辺地域、重みが根本で違うのです。

 現時点で、アメリカ軍には台湾での基地施設は存在しません、そしてこれは見落とされているのですが台湾と米軍では部隊同士の演習なども実施していません、戦闘機要員養成の要員受入や台湾へ有償供与された装備品教育支援などは行われていますが、部隊同士の訓練も摺合せも行われておらず、これを省いて共同作戦というような運用は非現実的という。

 大統領発言、しかし制度にどのような変革が行われるかは未知数で、これを元に例えばリムパック環太平洋合同演習やレッドフラッグ演習への台湾正式参加や、部隊規模のアメリカ本土での訓練、米軍部隊の台湾への訓練展開など、台湾とアメリカの防衛協力強化が具体的に進められるのかは具体的な話はありません、水面下の交渉も憶測してしまう程です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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