■清水みなと祭り2008
清水みなと祭りは、今年で61回目を迎える行事で、みなと祭りを成功させる為に地元では五つの団体が中心となって、この祭事を成功させるべく頑張っていた。その祭事を盛り上げる為に、陸海空自衛隊と海上保安庁が展開した。
清水みなと祭りを海から盛り上げたのが護衛艦の体験航海。清水港へ入港する護衛艦「むらさめ」。その向こうには薄っすらと護衛艦「はるさめ」の艦影がみえる。体験航海を終えた二隻で、0830時に出港して、港に戻ってきた。当日早朝にはキャンセル待ちの場所があり、埠頭に一番乗りを果たした方で乗艦券を持たない人でも体験航海に参加することが出来たとのこと。港に戻ってきた様子を撮影している小生は、もちろん体験航海には参加していない。
今回、清水みなと祭りに足を運んだ背景には、駒門駐屯地からの展示車両がある、というのも一つ挙げられる。その駒門駐屯地から、国際教の車両が参加していた、これが撮りたかった!。国際教とは、簡単に言うと富士に総本部があって、小銃や装甲車で武装していて、訓練した人たちを海外の紛争地に派遣する組織だ。
説明を端折り過ぎた、これではウルトラ警備隊の解説になってしまう。国際教とは国際活動教育隊の略称で、80名の隊員から構成されている。国際任務を行う隊員に言語教育や関連法規、PKO任務を行う上で必要な知識を習得させることが目的の部隊である。写真の96式装輪装甲車もその教育支援小隊の装備である。他に共通教育科、評価支援科、研究科などが置かれている。
軽装甲機動車。銃座の周囲には防護板が配置されており、ワイヤーカッターや後部にはスペアタイヤが装着されていた、つまりイラクに派遣された車両と同等の防御力向上措置が採られている。展示されていた96式装輪装甲車はイラク派遣仕様のような銃塔は無く通常型とされていたのと対照的だ。
清水港に到着すると、既に護衛艦は出港していたので、停泊していた巡視船「やしま」を見学する。「みずほ」型巡視船の「やしま」は1988年に就役した大型巡視船で、常備排水量は5317㌧、ベル212型ヘリコプター2機を搭載している。甲板強度はシュペルピューマの搭載にも対応でき、北方海域での活動を想定して甲板には融雪装置も取り付けられている。
「やしま」の印象は、護衛艦とは異なる。まったく別の種類の船、という印象だ。航続距離8500浬という非常に長い行動力を有しているが、他方で、ミサイルなどの装備を有さず、交戦も想定していないので、マストには電子戦機器の類は無く、ブリッジに期間制御機能があり、水密扉などのダメージコントロールも普通、木材も用いられており、なんというか、非常に美しい船、という印象だった。
ブリッジ上から、護衛艦「むらさめ」の入港を撮影する。101という艦番号が示すように艦はステルス性を意識した設計であり、更に対空ミサイルや対潜ロケットなどを垂直式発射装置(VLS)より発射する方式を採用した、新世代の護衛艦である。入港作業を支援するために、既に民間のタグボートが並行して航行している。
ゆっくりと祭りの会場である日の出埠頭に向かう。満載排水量6200㌧と、汎用護衛艦のなかではかなり大型といえる「むらさめ」を、「やしま」船上から広角レンズにて捉えた一枚。望遠レンズを用いた圧縮効果とはことなり、艦そのものの美しいラインが際立って見える。
艦上では、こちらに向かって手を振る模様もみられた。自然とこちらも手を振って応える。今回は、「むらさめ」型二隻により行われた体験航海。実際経験してみると分かるが、単艦で行うよりも、もう一隻と寄り添って行われる体験航海の方が、もっともっと新鮮だ。しかし、参加できなかった小生一行も、いつもよりも高い視点から撮影できた、というのは新鮮だったやも。
艦番号102、とあるので、護衛艦「パスカルメイジ」・・・、と護衛艦が海賊を掃討するアニメーション「タクティカルロア」の制作にあたって参考とした海上自衛隊の護衛艦「はるさめ」。「むらさめ」型護衛艦の2番艦だ。本型9隻と拡大改良型の「たかなみ」型5隻の就役により、その作戦能力は大きく向上した。
日の出埠頭に接岸する「はるさめ」。既に「むらさめ」は接岸作業を終了しており、見学者も艦を降りている。両艦を比較すると、マストのレーダーが、入港し停止している「むらさめ」と、まだ回転させている「はるさめ」の対比ができる。やはりレーダーが動いていると、生きている護衛艦、という活気が伝わってくる。
18㍉広角にて「やしま」の上甲板と二隻の護衛艦とを併せて見る。埠頭には、祭事ということで多くの出店が並んでいる。地元静岡名物の“うなさん”の蒲焼はもちろん、佐世保バーガーやモスバーガー、ドネルケバブなどの店も並んでいた。個人的に暑い日にはドンドルーマ(トルコアイスクリーム)が食べたい(無かったけど)!
カキ氷が直ぐに溶けてしまうほどの暑さ、実際救急車も出動するほどであったが、小生一行は水分補給に重点を置いて見学を続行。飛行甲板のベル212を見学。航空自衛隊浜松基地のパイロット(LOとして参加?)も見学に来ており海上保安庁ならではの洋上飛行用の設備などを興味深く見入っていた。
正午を過ぎてしばらくすると、航空自衛隊の練習機による展示飛行が実施された。航空自衛隊の飛行展示は、静浜基地の第11教育飛行団からT-7練習機が三機編隊で参加、一航過で帰投していったが、浜松基地のT-4練習機は三機編隊で機動飛行などの飛行展示を実施した。
第1航空団からのT-4練習機は、三機ともロービジ塗装、通常塗装、レッドインパルス塗装という組み合わせで、笠取山第1警戒群創設記念行事の際の飛行展示を思い出させた。T-4はブルーインパルスも運用している傑作練習機であり、俊敏で軽快な飛行性能を展開、会場は航空機の迫力に、一瞬、熱波を吹き飛ばされたような清涼感に包まれた。
航空自衛隊は、浜松基地から高射教導隊のペトリオットミサイルPAC-2を展示のために参加させていた。通勤中継器材など3台が地上展示に参加していた。ペトリオットミサイルは、発射機の旋回動作展示なども実施しており、見学者の中には熱心に装備について質問をする一幕もみられた。
護衛艦の一般公開。101,102と「みらさめ」「はるさめ」が並んでいる。当初は、埠頭における防舷材の配置から一隻づつ埠頭に停泊するのかと見られたが、メザシ係留となった。夜には花火大会が行われるので、視界を確保する観点からは、もしかしたらこの係留方法の方がいいのかもしれない。また、二隻、同型艦が並ぶと迫力も増す。
この護衛艦の威容に、やはり体験航海でなくともその様子を一目見てみたいとおもうのは人の常。「むらさめ」型護衛艦の全長は151㍍なのだが、その長さをはるかに上回る人たちが並んでいた。この長さだとはるかに上回る、というのは大袈裟なのでは?と勘ぐられる方もいるのではないか。
大丈夫(?)、後ろもこんな感じ。ホラ、どうみても艦の全長よりも長いデショ♪。というか、これだけ並ぶとは思わなかった。ううむ、昨年十二月のキティーホーク一般公開ほどではないにしても、汎用護衛艦でこれくらい見学で並ぶのは初めてみるかもしれない。メザシ係留でなければ、行列は半減するのになあ、と思ったり。この時間帯、「やしま」の一般公開も終了しているので、その分、列が長くなったのだろうか。
護衛艦「はるさめ」の艦内。本型から広範に二段ベッドが採用されるようになったという。なるほど、ブルートレインのA寝台に匹敵する室内、という印象だ。実は体験航海などでは居住区画の一般公開はあまり行われず、艦橋などを廻って撮影したのだが、一番目新しいというか、新鮮だったのが、この居住区。
後部甲板にはSH-60K哨戒ヘリコプターが一般公開されていた。この「はるさめ」は、「むらさめ」とともに新型のSH-60Kが最初に部隊配備された護衛艦である。SH-60Jよりも非常に先進的な性能を有しているのだが、その分価格も高価となってしまい、SH-60Jの配備数よりもその総数は最終的にすくないものとなる見込みだ。
SH-60Kのコックピット。キャビン部分も一般公開されており、入ってみた。SH-60Jよりも床と天井を下げて上げる方式でキャビンを広くし、S-70シリーズの天井の低さを低減しようという設計。というそうだが、入ってみると、やはり高いとは言いがたい。S-90やEH-101が注目されるのが良くわかった。
1500時、護衛艦の一般公開が終了する頃に、巡視船「やしま」が小笠原諸島における哨戒任務のために清水港を出港して行った。埠頭からは手や帽子を振って航海の無事と任務の遂行を祈った。
以上が第61回清水みなと祭りの情景である。最後になりましたが、ご一緒いただきましたC.ジョニー様、T様、文明様、H様、ありがとうございました。MAD様、WAPC様、また自衛隊関連行事でお会いできれば幸いです。
HARUNA
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