■護衛艦ひゅうが公試情報
横浜磯子から太平洋へ公試に向かう護衛艦ひゅうが。このほど、横須賀基地の湾口にて、護衛艦はるな、と航過する様子を撮影することができた。最古参のヘリコプター護衛艦と就役すれば最新鋭のヘリコプター護衛艦が、一枚に収まるこの写真は、非常に貴重といえる。
8月19日、撮影時刻は0920時頃。全通飛行甲板を有する実質的に軽空母といえるヘリコプター護衛艦「ひゅうが」と、ヘリコプター3機を搭載し、対潜掃討を行う対潜作戦中枢艦として建造されたヘリコプター護衛艦「はるな」。設計や運用計画に30年の期間を置くと、海上自衛隊の任務拡大や政治の戦略的転換という背景が垣間見える2隻である。「はるな」の飛行甲板には、SH-60ヘリコプター1機が出ていることが望見出来る。「はるな」型と「しらね」型は、距離が遠いと、一瞬艦影を見間違えることもあるかもしれないが、これだけ違うと、その心配も無い。
護衛艦「ひゅうが」は満載排水量18000㌧。近年、「はるな」の満載排水量は6800㌧である。4月に掲載したフランス海軍の「ミストラル」のように、各国では国際貢献任務などへの能力充実を期して商船構造を採用するなど極力船価を抑え大型化を行う、いわゆる戦力投射艦が建造されているが、護衛艦「ひゅうが」は、速力や電子機器の配置などから、戦力投射艦というよりは、従来型の水上戦た対潜戦に重点を置いた伝統的な軽空母としての構造を採用している。
ミサイル護衛艦「きりしま」と「ひゅうが」。「こんごう」型イージス艦として、「あたご」型の就役まで日本最大の護衛艦の一隻であった「きりしま」の満載排水量は9500㌧とかなり大型なのだが、比べても「ひゅうが」は大きい。「ひゅうが」は全通飛行甲板を採用しているが、試験艦「あすか」にて研究を重ねたFCS-3改と、OQQ-21ソーナーを搭載し、新アスロックやESSM(発展型シースパロー)など対空対潜装備を有している護衛艦でもあるのだ。
「ひゅうが」と沖留の「むらさめ」型護衛艦。この日は、シンガポール海軍のフリゲイトが寄港するなか、リムパックより帰港する「はるな」、「きりしま」を迎え入れるべく吉倉桟橋では四隻並列係留、「はたかぜ」を隣の船越地区に係留し、それでも横須賀に入りきらない護衛艦は沖留とするなど頻繁に入出港やバースチェンジが行われていた。「ひゅうが」の海上自衛隊の引渡しは来年行われるとされる。
HARUNA
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