■ヨコスカサマーフェスタ2007
横須賀サマーフェスタ2007は、横須賀市制100周年ということもあり、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦も一般公開された。ミサイル駆逐艦であるが、イージスシステムを搭載しているいわゆるイージス艦である。
DDG56 John S. McCainは、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の六番艦として1994年に就役した。満載排水量8315㌧で、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」型ミサイル護衛艦より一回り小さく、汎用護衛艦の「むらさめ」型や「たかなみ」型よりも一回り大きい。搭載するイージスシステムはベースライン4で、汎用駆逐艦にイージスシステムを搭載することに重点を置いており、ヘリコプター格納庫など航空機搭載設備を有していない点が特筆される。
艦橋左右には12.7㍉重機関銃が連装で搭載されている。これは2000年にイエメンのアデン港において同じアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のコールが停泊中に自爆ボートによる攻撃を受け、大破した戦訓に基づくものである。目視照準のローテク装備であるが、その分、手動により即座に射撃に移ることができる即応性が挙げられる。
艦尾の飛行甲板において展示販売を行う水兵。アーレイバーク級は、初期型のフライトⅠが21隻、システムを一部改良し価格低減を同時に図ったフライトⅡが7隻、更に後部甲板にやや無理ではある者の900㌧の満載排水量増加で2機分のヘリコプター格納庫を配置したフライトⅡAが最終的に34隻が建造される計画で、アメリカ海軍の標準駆逐艦としての地位を担う水上戦闘艦となるであろう。
25㍉単装機関砲。ブッシュマスターと愛称されるこの機関砲は、米軍では装甲車車載機関砲として多く用いられている。電動式で、これも対自爆ボート用の装備であろう。英海軍などは30㍉単装機関砲を個艦防空用に搭載しているが、本艦ではレーダー管制の20㍉CIWSがこの任務にあたっている。
先日、海上自衛隊の現役幹部の方にお話を聞いた際、海上自衛隊の護衛艦は艦橋周辺に12.7㍉機銃を単装で左右二門を搭載しているだけであるが、水上艦としては、ローテクであってもこのように機銃などを出来る限り装備しておく方が、本来用途に適っているのではないか、というお話だった。小生も、例えば事故防止の見張り面の向上も含め、こうした措置は広くとられるべきでは、とおもったりもした。
更に12.7㍉機銃が並ぶ。艦橋付近にはM-16A2を装備した水兵が警戒にあたっていた。弾倉は取り付けられていたが、防弾ベストなどは着用していなかったので、日本国内の港湾はまだ安全という事だろうか。この駆逐艦、CIWSにはカバーが被せられていた。護衛艦は銃身むき出しであったが、12.7㍉機銃は取り外されていたのが印象的であった。
弾薬ケース。すぐに取り出して撃てるような配置となっている。ジョンSマッケーンは、上甲板のみが一般公開されており、艦内は一般公開されていなかった。個人的には、艦内の売店や食堂がどういった設計になっているか、護衛艦と比較したかったのだが、これはまあ、もう少し日本の近海が平和になるまで実現は難しいのだろうか。
海上自衛隊の護衛艦と、この米海軍のミサイル駆逐艦、細かいところを見ると日本の艦船の方が小奇麗なのだが、それ以外にもなにか本質的に違う雰囲気。あと、驚いたのは、写真のスポーツ飲料を含め、さまざまな物資の在庫が中々尽きないということ。在庫もイージス艦の建造数も、アメリカの物量、というものを強く感じた印象である。
HARUNA
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