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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊呉地方隊 大阪湾展示訓練2007 神戸港出港

2008-08-02 17:25:14 | 海上自衛隊 催事

■呉地方隊展示訓練

 海上自衛隊呉地方隊展示訓練は、第一日目が台風の直撃を受けることとなり残念ながら中止となったが、小生一行が見学予定の第二日目は航空部隊の参加を縮小するかたちで実施へと至った。今回は、その神戸港出港編である。

Img_7490  なぜ神戸港か。まずここから説明したい。第一日目の土曜日は、予行を実施しており、大阪港に入港する輸送艦「くにさき」やヘリコプター搭載護衛艦「ひえい」の様子を撮影した。

 さて、沿岸警備任務にあたる呉地方隊の展示訓練といっても、護衛艦隊や潜水艦隊隷下の艦艇が多数参加し、満載排水量6800㌧の「ひえい」を初めとして、その展示艦艇の規模は中小国の海軍を上回るほどのものである。

Img_7319  これだけの規模の部隊は、到底大阪港一港に入港できるものではない。やれないかといわれれば不可能ではないのだが、平時の港湾機能を維持しつつ埠頭や航路の大半を海上自衛隊が訓練に使うということは難しく、大阪港、神戸港、淡路島に分散して停泊していた。

Img_7324  阪急特急にて展開した小生一行は、駅から神戸港摩耶埠頭へシャトルバスにて展開し、現地にて京都以外からの参加の方と合流、簡単な手荷物検査を受けた後、護衛艦「やまゆき」に乗艦した。音楽隊の演奏に見送られ、護衛艦「やまゆき」は出港準備を完了、ゆっくりと神戸港の摩耶埠頭を離岸してゆく。

Img_7372  神戸港を出港、摩耶埠頭が朝靄の彼方に見えなくなった頃、海上に航空機のエンジンがあげる活気が届いてきた。海上空港として開港し、一年と少しを経た神戸空港横を「やまゆき」が通過したのである。もともと関西国際空港は、ここ神戸港沖に建設される予定で用地まで取得したのだが騒音問題で頓挫、現在の泉佐野市沖に建設されたのだが、やはり神戸にも空港の活気が欲しいと急遽建設計画が復活した空港だ。

Img_7368  この日は日曜日、しかしながら国際港湾都市神戸の海上は、貨客船、貨物船、などなど多くの船が行きかっている。

 大阪湾展示訓練は淡路島盗難海域で実施されるのだが、大阪港へ、神戸港へ向かうという海上交通量の多いこの航路を陣形を保ちつつ自衛艦が向かうという、この移動も大阪湾展示訓練の一こまなのだなあ、という印象だ。

Img_7379  20㍉CIWSと貨物船。そんな写真も撮ってみる。前衛的な写真を撮りたいのではなく、朝靄は海にも立ち込めており視界は数km、前を行くはずの艦艇もよくみえないのでやることがないのだ。他方で、流石に民間船舶は小生の知識では船名と船影が一致するものは少なく、とりあえず零細時間の有効活用ということでカメラを向けて撮ってみよう、というかたち。

Img_7409  そういった中で、この艦影を捉えたのは全くの偶然だった。この日の展示訓練には潜水艦が参加予定なのは知っていたが、艦番号が記された潜水艦ということで気になった。300㍉望遠では番号を艦上にて識別するには至らなかったのだが、後で確認すると600、つまり当時、公試中の最新鋭潜水艦「もちしお」が展示訓練参加部隊の列に並んで進んでいたのだ。これにはかなり驚かされた次第。

Img_7383_1  輸送艦「くにさき」とコンテナ貨物船の反航の様子。あたかも1998年のトルコ大地震に際して海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が救難物資が収められたコンテナを満載してトルコに急行した様子を思い出させたので、タイミングを見計らって何枚か撮影してみた次第。空母型船体を採用した「おおすみ」型は多くの装備を甲板に搭載して輸送することが可能だ。

Img_7431  大阪湾と太平洋を結ぶ紀伊海峡にさしかかると、海も晴れて、はるか遠くの淡路島の様子もみえてきた。輸送艦「くにさき」が14000㌧の巨体を一糸乱れず護衛艦「やまゆき」後方に並んで航行している。呉地方総監座乗の旗艦「ひえい」の姿こそ見えないが、既に展示訓練の参加部隊は観閲部隊と受閲部隊に分かれ、展示訓練最初の観閲行動に向けて航行しているのだ。

Img_7462  「くにさき」から発進したエアクッション揚陸艇(LCAC)が水飛沫を上げつつ通過してゆく。満載状態でも40ノットを発揮する16000馬力のガスタービンエンジンが轟音を上げている。「くにさき」が寄港した大阪港は、神戸港よりも展示訓練実施海域に近い。機動航行の展示を行うLCACは、恐らく早めに大阪港を出港した後に海上で発進させたのだろう。

Img_7496  輸送艦「ゆら」。満載排水量710㌧と、自衛艦の中では最小のものである。最高速力12ノット、装輪装甲車や人員70名を輸送可能な本艦は呉地方隊直轄艦として離島への物資輸送や災害派遣にあたっている。「ゆら」は展示訓練への直接の参加部隊ではなく、展示海域に接近する船舶が部隊と事故を起こさないよう、警戒艦任務についていたようだ。こうして艦艇が続々と展示訓練に向かい集結して来ていた。次回はいよいよ展示訓練本編を掲載したい。

HARUNA

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コメント (3)
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