北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京都 大文字五山送り火 夜空に浮かぶ精霊送りの伝統行事

2008-08-17 12:28:15 | 写真

■大文字、妙法、舟形 送り火

 ゆらりと暑い京の夜空に浮かぶ護摩木の焔。精霊送りの夏の伝統行事京都五山の送り火、いわゆる大文字が、今年も行われた。本日は、昨夜撮影した五山送り火、残念ながら左大文字と鳥居形は撮影できなかったのだが、大文字、妙法、舟形の送り火の様子を紹介したい。

Img_7577  五山送り火がおこなわれる16日は、物凄い通り雨があり、特に1630時頃の雨は、局地豪雨そのものであった。曇り空が広がり小雨がぱらついて、その一時間後の物凄い豪雨であったが、なるほど文字通り局地豪雨であったようで、雨が通り過ぎれば、まだまだ盆地の京都は暑いものの、それでも冷涼な空気が酷暑を押し返そうと少なからず風を起こしてくれる。

Img_2355  北京五輪と重なり、昨年の送り火のようにNHKが全国放送にて大文字山の点火から五山へと点火してゆく様子を中継したのと比べれば、今年は静かなものであったが、それでも望見出来る如意ヶ岳に灯る大文字の様子をみると、やはり何かこみ上げてくるものがある。これが本来の姿なのでは、と逆に考えたりもする。

Img_2358  2004時、上の写真と僅か十数秒の違いではあるが、点々と灯る火床の護摩木が、めらめらとその力強さを増してゆく。五山送り火は、文字通り送り火である。そのため、保存会の人たちが山に登り護摩木を火床に添える。そして点火して、五山送り火が行われるのだ。この行事のかたちは、時代を経ても変わることなく、なるほど京都市は時代と共に変わったものの、見下ろす峰々は殆どかわっていないのだなあ、と当たり前のことに気付かされる。

Img_7579 護摩木の煙が夜空にあがってゆく。なんでも、その昔の江戸時代は送り火の火、五山以外にもさまざまな山の頂において送り火が行われていたが、今日ではこの五山が送り火を行っている。そもそも、五山送り火という名前は、五山のみ火をつけるという戦後に付けられたことであり、五山ということで伝統文化という枠に押し込めてしまったのでは、と思ったりも。

Img_7581  妙法に点火。いろいろと考えているうちに妙法が灯っていたのだが、点火から七分が経過していた。妙法は、送り火の大きさでは、大文字よりも小さいのだが、画数が多いということで、火床の数は群を抜いている。よくみてみると、比叡にもほんのりと灯りが点っている。ちなみに、大文字焼き、というのは京都では禁忌である。比叡焼き討ちを連想させるというのが理由だ。

Img_7582  2020時、舟形に点火されている情景。ざんねんながら撮影位置からは、やや下の部分が隠れてしまったが、そもそも大文字を特等席(?)でみられるのだ、贅沢はいえない。舟形は2015時に点火されるのだが、点火をはじめてから舟のかたちが浮かび上がるまでは、やはり時間がかかるのだ。

Img_2423  舟形の完成。手前の八木アンテナがすこし視界を遮るが、街の景色のその向こうに、送り火が点火されているという情景だ。ちなみにどうでもいいが、この舟形は、200×130㍍という大きさなので、現在、公試中の新型ヘリコプター護衛艦「ひゅうが」よりも大きかったりする(本当にどうでもいい情報だ)。

Img_2410  そろそろ最初に点火されて如意ヶ岳の大文字は、火が小さくなってきている。時計を見れば2022時。五山送り火の写真などの印象で、一晩中、点火しているような印象を持っている人が、意外に少なくないようだが、実際は20分もすると火の勢いは送り火ということで、お精霊さんとともに消えてゆくようだ。

Img_7587  舟形を望遠で撮影。よくみてみると、保存会の人たちの姿がみえる。また、火床のまわりには、山道が設けられている。ちなみに、五山送り火では、如意ヶ岳には一般の人が登ることができるようだが、他の山には登ることはできない。昨年は、大文字のあたりにフラッシュ(ただし大文字が別の文字にみえるようなところには人が行けないようになっているような気もする)が焚かれていた。今年は長時間露光で撮っても、そういうものは映っていなかった。

Img_7588  来年は鳥居形や左大文字を撮れる位置を一年掛けて探したい、と考えた次第。なお、京都府警の発表では、主な観覧場所において五山送り火を眺めた人は11万人とのことで、京阪電鉄などは臨時列車を運行した。ちなみに、祇園祭に天神祭と6300系ヘッドマークを掲げて運行した阪急電鉄であるが、五山送り火のヘッドマークは無かったようだ。

HARUNA

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