■第二東海豪雨
2000年の東海豪雨に並ぶ規模での豪雨被害が昨夜から今朝にかけて愛知県を中心とした東海地方を襲った。本日は武田良太防衛政務官が出席したXP-1防衛省引渡し式の記事を掲載予定であったが。第二北大路機関記事“XP-1次期固定翼哨戒機 川崎重工が防衛省に納入”をご覧戴きたい。なお、写真は過去記録より編集している。
活発な前線の影響で局地的な豪雨が散発的に続き、愛知県の岡崎市などで一人が死亡、一人が行方不明、愛知県一宮市でも一人が意識不明などの被害が出ている。岡崎市では今朝0200時から0300時までの一時間に147㍉の豪雨を記録しており、気象台によれば、今夜にも再び豪雨の恐れがあるとしている。岡崎市では、全世帯に避難勧告が出され、床上浸水が620棟、床下浸水が705棟という被害が出た。愛知県の発表では、床上浸水は1430時の時点で名古屋市で43棟、豊橋市で17棟、一宮市で25棟、春日井市で6世帯、安城市で10棟、碧南市で1棟、知立市で1棟、岩倉市で4棟、北名古屋市で4棟、扶桑町で1棟となっている。
愛知県災害対策本部による発表では、愛知県内では328箇所の国道や県道が浸水し、214箇所で通行が不可能となっている。岐阜県では107棟が床下浸水、三重県では桑名市などで13棟が床下浸水の被害があり、尾鷲では土砂崩れによる自主的避難などが行われた。
今回の第二東海豪雨というべき災害は、2000年の東海豪雨と似た気象配置であったということで、太平洋高気圧の位置が例年よりも東側に位置しているため、大陸高気圧に抑えられた西日本上空の低気圧との間で北陸地方に前線が停滞、結果、断続的に愛知県の岡崎市を中心に積乱雲が発生、局地豪雨が連続して同一地域を通過したことで、今回のような大きな被害をもたらしたようだ。
また、上空の風が弱く、気象配置があまり変わらないことから、愛知県を中心とした東海地方では、明日にかけて非常に強い雨が続くということで警戒が必要である。また、豪雨の区域は、今後、東日本や北海道へも広がる予報が出されており、今後の動向に注意が必要だ。
岡崎市の全域は、災害救助法が適用された。岡崎市では、九つの地域で河川の堤防が決壊したという。ちなみに現在では九つの河川の内、カノリ川を除き水は引き始めているとの事。なお、記録的な大雨の被害を考慮し、岡崎市では市内の全世帯に避難勧告を出す異例の措置をとるとともに0315時頃、陸上自衛隊に災害派遣要請を出し、現在、第10師団の災害派遣部隊が出動した。岡崎市への災害派遣には主に豊川駐屯地の部隊が災害派遣任務にあたった。
第10師団の災害派遣部隊は、主として岡崎市内の市民避難を支援するとともに行方不明者が出た地域の捜索活動を実施した、更に堤防などの決壊の危険性がある地域で土嚢などによる水防作業を展開し、被害の拡大阻止に努めた。行方不明者の捜索は、消防、警察、自治体とともに協同して実施した。岡崎市からは1351時に災害派遣撤収要請が出された。1600時には岡崎市へ林幹雄内閣府防災担当大臣を中心とした12名の政府調査団が岡崎市や幸田町の被災地を現地調査している。
豪雨により、名古屋本線では東岡崎駅周辺で軌道下の土砂が流れ出し、不通となっていたが、昼前には復旧したとのこと。また、一時豪雨により、名古屋本線の神宮前~豊橋間、豊川線全線、三河線全線、中部国際空港に向かう空港線や知多半島内の全線という旧愛知電鉄域内のほぼ全域が運転を見合わせていたが、現在では平常運行に戻っている。JRは、飯田線が一時信号機故障などの運転中止があったが復旧している。
東海道新幹線は、規定雨量を超えたことで、お昼過ぎ頃に名古屋駅と岐阜羽島駅の間が運転を見合わせたが、45分後に運転を再開している。ただ、この運転見合わせにより一部の新幹線に運休などが出た。さらに、東京や上野を始発とする一部の寝台特急が運休するようだ。この豪雨被害により、東海道本線、関西本線、中央本線は大きな遅れが生じた。
首都圏でも被害が出ており、中央線は高尾駅周辺で軌道が増水した川に浸かったことから高尾駅周辺が一時運行を見合わせ、中央線特別快速や新宿と長野を結ぶ特急電車などが運転を見合わせたとのことだ。また、京王帝都電鉄は高尾駅と高尾山口の間で発生した土砂崩れにともなう脱線事故で、復旧作業を行っているが現在も運転を休止しているとのことだ。
HARUNA
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