■弾道弾迎撃可能
本日は、東京において強襲揚陸艦エセックスも参加する大規模な防災訓練が行われているとの事だが、今回掲載するのは名古屋に寄港していたアメリカ海軍のイージス艦についてである。
8月25日から28日まで、名古屋港にアメリカ海軍のミサイル巡洋艦シャイローが入港した。シャイローは27隻が建造されたタイコンデロガ級の21番艦として1992年に就役、満載排水量9957㌧、全長172.8㍍で86000馬力のガスタービンエンジンにより30ノットの速力を発揮する。本艦最大の特色は垂直発射器に収められた122発の各種ミサイルを縦横無尽に駆使するイージスシステムを搭載した、いわゆるイージス艦である点だ。
弥富埠頭、という場所がよく判らなかったので、C.ジョニー氏に近鉄弥富駅から徒歩でどのくらいですか?と聞いて見ると、だいたい三時間くらいです、と。片道で徒歩三時間ということは、往復で・・、って無理、徒歩は無理のようなので、C.ジョニー氏の車に便乗させていただくことに。
最良の撮影ポイントを探すが、危険な場所や立入が制限されている場所以外で見学できる場所というのは限られている。地図上は立ち入れそうな場所でもダメだったり、関係者以外は入れない場所などがあったりする。そこで確実に見ることが出来る対岸の鍋田埠頭から撮影することに(それが冒頭に掲載した写真)。
シャイローは、27隻建造されたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の中でも最終型にあたるグループにあたり、イージスシステムはベースライ4を搭載、レーダーなども耐ジャミング性に優れた電波ビームのサイドロープ低下や低空小型対艦ミサイル対処などの面で性能を向上させたSPY-1Bが搭載されており、管制コンピュータをUYE-43/44としている。その後、弾道弾迎撃能力付与のために、シャイローは内部の機器を一新した。
写真の中央に写っている球形のアンテナは弾道弾迎撃専用ミサイルであるスタンダードSM-3管制に用いるテレメトリー受信用アンテナ。この受信用アンテナにより、発射したSM-3からミサイルダウンリンクシステムによりデータを受信する。シャイローは、イージスシステムをベースライン5フェーズⅢにアップデート、イージスBMD3.6システムを搭載している。
この弾道弾対応型イージス艦最初の一隻で、6月に弾道弾迎撃試験に成功し、その直後に横須賀に配備されたということで、アメリカと日本の密接な安全保障体系の一つの象徴ともいえるのが本艦だ。その後、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」型を含め、弾道弾迎撃能力を有する艦船の在日米軍、海上自衛隊における装備化は順調に進んでいる。
シャイローは、2006年8月29日に横須賀基地に前方配備された。シャイローの入港歓迎式典には、海上自衛隊から斉藤統幕長、吉川海幕長が。アメリカ海軍からはウィンター海軍長官が出席した。SM-3の搭載数は非公表であるが、VLSのSM-3対応セルの総数は、第七艦隊の会見でも「かなりの範囲に及ぶ」というコメントが出されている。
巡洋艦の近接防護装備。5インチ砲の向こうにみえるのが25㍉単装機関砲。砲上には球形状の光学照準装置がみえている。また5インチ砲の手前には12.7㍉機銃の銃架が設置されているのがわかる。これは自爆ボートなどによる近接攻撃への対処の為に装備されている装備で、他にも艦の各所に搭載されている。
そろそろ撮影を終了して撤収しようかというときに、格納庫の扉が開かれSH-60哨戒ヘリコプターが出されてきた。本艦は、対潜駆逐艦であるスプルーアンス級を拡大し設計された経緯があり、その関係から2機のヘリコプターを搭載することが可能である。ヘリは整備の為に出されたようで、飛行する気配もないので、そのまま撮影し、一行は撤収した。
愛知県警の警備船「にっこう」。シャイローの周辺では、愛知県警の機動隊と警備船が警戒にあたっていた。
最後になりましたが、自動車を出していただきましたC.ジョニー様、文明様、現地でご一緒させていただきました氷砂様、ありがとうございました。
HARUNA
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