北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成20年度 外洋練習航海[飛行課程]・近海練習航海

2009-03-11 23:01:48 | 北大路機関 広報

◆練習航海

 海上自衛隊HP3月10日更新に、練習航海、近海練習航海の情報が出ていましたので、本日はこの情報を紹介。

Img_3337 平成20年度外洋練習航海[飛行課程]について。第14護衛隊司令湯浅秀樹1佐指揮の下、第61期飛行幹部候補生課程修了者50名を含む370名が、護衛艦「みねゆき」、「おおなみ」にて練習航海を実施、3月20日に江田内を出航、4月1日から4日までシンガポールに帰港し、4月13日から16日まで沖縄の中城に寄港、18日から19日まで佐伯に寄港し、4月20日、呉基地に帰港する。

Img_7669  近海練習航海について。練習艦隊司令官、河村正雄海将補を指揮官とし、練習艦かしま、護衛艦ゆうぎり、練習艦しまゆき、の三隻を以て近海練習航海を行うとのこと。第59期一般会部候補生課程修了者170名を含む720名が参加し、3月20日に江田内を出発、22日から24日まで大阪に寄港し、25日に鳥羽沖へ。28日から30日まで大湊に寄港し、4月1日から6日まで横須賀、6日に晴海に到着する、とのこと。

HARUNA

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陸上自衛隊 春日井駐屯地創設42周年記念行事 観閲行進

2009-03-10 23:31:30 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆春日井駐屯地祭[2009.03.08]

 春日井駐屯地祭2009、詳報の第二回は、観閲行進についての特集である。後方支援連隊、施設大隊、偵察隊の様々な装備が行進する姿は、多種多様な状況に対応するべく努力する陸上自衛隊の意気込みが伝わってくるものだ。

Img_2475  観閲行進の先頭は、連隊長を支える第10後方支援連隊の幕僚たちが車両から観閲台の司令に向かい敬礼するところから始まる。春日井駐屯地の観閲行進は、駐屯地の装備が機械化されていることから、普通科部隊のような徒歩行進は行われず、すべてがテンポの速い車両行進により進められる。

Img_2474  観閲台と行進部隊。観閲台の周囲は、スタンド席となっており、スタンド席は、観閲台寄りの場所が招待席。その左右が一般席となっている。スタンド席はもうひとつあり、小生一行は、そのもう一つのスタンド席より撮影した。観閲行進を正面から見ることができる好位置にあり、眺望は抜群だ。

Img_3743  観閲行進の先頭を行くのは、第10後方支援連隊の車両。第10後方支援連隊は、第10師団隷下にある東海北陸地方の6県へ配置された部隊に対して、整備や補給、輸送に衛生などの後方支援の面を担当する部隊である。写真は、第1整備大隊の火器車両整備中隊に所属する車両。後部のコンテナにて、精密部品の整備や修理を行う。

Img_2512  後方支援連隊は、連隊本部・司令部付隊を筆頭に、全般的な整備を行う第1整備大隊、部隊に随伴して整備支援を行う第2整備大隊の二つの大隊と、補給隊、衛生隊、輸送隊より成る。写真は、補給隊の73式3トン半燃料輸送車。補給隊の編成は、需品補給小隊、部品補給小隊、業務小隊より成る。

Img_3747  第1整備大隊本部付隊の重レッカー車。故障車両のけん引や重車両のエンジン交換などに用いられる。この重レッカー車が二台協力することで、96式装輪装甲車などの回収も可能となっている。なお、第1整備大隊の編成は、大隊本部付隊、火器車両整備中隊、工作回収小隊、通信電子整備隊、施設整備隊より成る。

Img_2537  輸送隊の中型セミトレーラ。後部には、74式特大トラックが載せられている。なお、第2整備大隊は、四個普通科直接支援中隊、戦車直接支援中隊、特科直接支援中隊、高射直接支援隊、偵察直接支援隊が配置されており、今津駐屯地や金沢駐屯地、豊川駐屯地、守山駐屯地に展開し、装備の整備などを直接支援するという形を採っている。装甲車の増強やミサイル装備の充実などを背景に行われた措置だ。

Img_2547  衛生隊の観閲行進。衛生隊は、本部、治療中隊、救急車小隊より成る編成を採っている。後方に野戦病院を設置し、負傷者の救命などにあたるとともに、第一線から野戦病院への負傷者の搬送を行う。負傷者に救命措置を施し、迅速な治療を行うことで、戦線復帰を早めるとともに、負傷しても命は助かるという体制を組むことで、士気を高揚させることができる。

Img_3774  73式中型トラックを用いた救急車。車体後部を救急車とした車両で、用途は一般の救急車と同じである。ただし、救急車は不整地に対しても一応の走行能力を維持できる73式中型トラックを用いているため、通常の救急車では入れないような場所に対しても出動することができる。可能なら、より不整地突破能力の高い高機動車や弾片に対する防御力を有する軽装甲機動車を元にした救急車も必要なのではないか、とおもうのだが。

Img_2551  野外手術システム。手術車・手術準備車・減菌車・衛生補給車を連結させて手術を野外にて行うためのシステムで、執刀医と助手、麻酔要員、器械要員、X線要員、臨床検要員、準備要員など7名が勤務する。戦闘により負傷した者に対して、初期外科手術を一日当たり10~15名、こなすことができる。

Img_2557  第10施設大隊の大隊長田平秀晴2佐が観閲台の間瀬駐屯地司令に向けて、敬礼。ここから、第10施設大隊の観閲行進である。第10後方支援連隊は、後方部隊であるが、施設部隊は、後方での任務とともに、最前線での戦闘支援任務にもあたる部隊であり、その運用の一端が観閲行進にあたる装備からも見て取れる。

Img_3794_2  発煙機3型、施設科部隊の任務は、戦闘支援であるため、作業中は脆弱な部分を曝している。このため、攻撃を避けるべく発煙装置により、広範な地域を多い、作業を行う。本部管理中隊に所属しており、中隊には交通小隊、渡河器材小隊、通信小隊、衛生小隊、補給小隊、偵察班などが編成に盛り込まれている。

Img_3802  第10施設大隊の観閲行進、大型の車両の一団が行進する。車両は、81式自走架柱橋。本部管理中隊に所属し、74式戦車をはじめとする師団のすべての装備を渡河させることが可能な橋梁を迅速に設置するための装備である。河川の多い日本の国土を防衛する上で、重要な装備である。1台で10㍍の橋を架けることができ、繋ぎ合せて長い橋梁を構築する。

Img_2603 渡河ボート。架橋装置は最前線では使い難く、特に架橋作業は多くの車両が終結して行われるため見つかりやすく、夜間に無灯火で行われる。この渡河ボートは、架橋作業に先んじて、必要な装備を対岸に輸送する等の用途に用いられるほか、洪水などの災害時にも威力を発揮する。二つに分解して、このように牽引輸送。

Img_3813  グレーダー。地均しをする為の装備である。施設大隊の任務は、師団が必要とする補給路を航空攻撃や砲撃による損傷から復旧させ、後方支援の拠点までの兵站線を維持すること、そして、攻撃前進の際には敵が構築した障害を除去すること。防御の際には野戦築城を行い、敵の前進を阻む障害や味方の陣地を構築することにあり、グレーダーも必要な装備の一つである。

Img_3820  83式地雷敷設装置。トラックから牽引し、対戦車地雷を迅速に敷設するための装備。対戦車地雷は、戦車に対して有効な打撃を加えることが可能な装備であり、同時に、地雷原を迅速に構築することで、わが方が状況を有利に打開するまでの必要な時間を稼ぐための装備である。

Img_3833  道路障害作業車。第2中隊の所属車両。この車両は、73式大型トラックの後部に、クレーンやコンクリートカッター、ドリル、ウインチなど六種類のアタッチメントを装備することができるもので、これを駆使して、例えばアスファルトで舗装された道路や建築物などを障害物に置き換える、もしくは作り変えることができる装備。

Img_3835  トラッククレーン。第1中隊の所属と書かれている。20㌧の重量を有するものを吊り上げることができる装備。この種の装備品は、塗装こそ違えど、民間の企業が行う工事現場でも見られるものが多く、流用されているものが多い。この点、防衛装備品というと特殊なもののような響きがあるのだけれども、民生品との垣根が有って無いようなものも多いのだな、という印象だ。

Img_3843  ダンプカーの行進。各施設中隊から集められた装備のようだ。第10施設大隊は、四個施設中隊より成る編成を採っている。ダンプカーは、兵站線に用いる道路などが航空攻撃や砲撃で破壊された際に、土砂などを運搬し、復旧させるために用いられる。また、陣地構築などにも用いられる装備である。

Img_3852  ダンプカーが後部を高く上げて観閲行進に参加。大久保駐屯地の名物(?)、春日井で、ダンプがこのように行進するのは今回が初めてなのではないだろうか。ダンプカーも、日常よく見かける車両なのだが、このように多数のダンプカーが、後部を高く上げて集団で走行する姿は、駐屯地でなければ見ることが出来ない。

Img_2568  観閲行進の際に、当然ながら写真には音は写らないのだけれども、長い観閲行進の間、音楽隊の隊員が、勇壮な行進曲の演奏を続けている。写真も背景に少し写っているだけであるが、守山駐屯地の第10音楽隊の隊員たち。公式行事の度に音楽演奏のために参加しており、日曜日という単語から最も遠い部隊、大変な仕事であり頭が下がる。

Img_2578  ブルドーザーを運搬する中型セミトレーラー。兵站線の維持から野戦築城まで、不可欠な装備であると同時に、工事現場でも見かけるような、“はたらくくるま”と同じく、この種の車両は、自走して長距離を移動することができないため、セミトレーラーのような輸送車両を用いて移動することは不可欠だ。

Img_2587  掩体掘削機。一瞬、油圧ショベルにみえるのだが、アームの中央部分が回転して、バケット部分を横向きにして穴を掘ることができる。陣地構築には不可欠な装備品だ。また、傾斜地でも作業ができるようになっており、個人用掩体などはもちろん、掩砲所の構築にも用いることができる。欠点は、特殊な機構をアームの中央に有するため、バケットの容量が同種の油圧ショベルと比して少ないことだ。

Img_2597  施設大隊の観閲行進が終了。第10施設大隊には、このほか、敵弾下での作業を可能とした、75式装甲ドーザーや、広範囲の地雷原を強力な爆導索で一度に無力化する92式地雷原処理車などが装備されているのだが、観閲行進には参加しなかった(75式装甲ドーザーは装備品展示にて紹介されていた)。

Img_2613_2  第10偵察隊の観閲行進。82式指揮通信車の車上から、第10偵察隊長の荒井正芳2佐が敬礼している。春日井駐屯地は、後方支援部隊の駐屯地、というイメージがあるのだが、機関銃を装備する指揮通信車を先頭にした第10偵察隊の観閲行進をみると、その印象は変わってくる。

Img_2613  師団の先頭に立ち、情報収集を行う第10偵察隊の観閲行進。偵察とは、相手の勢力を推し量ることを意味し、普通科連隊や戦車大隊の本部にある情報小隊が行う斥候とは敵の有無を調べるもの。偵察隊は、敵対勢力と最初に接触し、その規模を反応から調べる任務にあたる。もちろん、抵抗が弱ければ、偵察隊が撃破して、次の敵を探すべく前進する。

Img_2628  82式指揮通信車。通信機を搭載し、指揮命令を行うための車両。12.7㍉重機関銃M2と、7.62㍉口径の62式機関銃を搭載して運用されていたが、今回の観閲行進では、作動不良や部品脱落などが多いとされる62式機関銃に代えて、信頼性が高いとされる5.56㍉機関銃MINIMIが搭載されていた。

Img_2636  偵察オートバイの一群が目の前を爽快に走り去ってゆく。背景に見えるオートバイは、即応予備自衛官が搭乗している。オートバイ斥候は、その速度を活かし、敵に忍び寄り、情報を収集する。なお、第10偵察隊は、隊本部、本部付隊、電子偵察小隊と、三個偵察小隊より編成されている。

Img_2658  偵察隊が威力偵察を行うための装備が、この87式偵察警戒車。六輪式の装輪式装甲車で、25㍉機関砲を搭載した砲等を有し、相手に攻撃を加えて、その反応をみることで、勢力の規模を計る為の装備。砲塔には微光倍増式暗視装置も搭載されているほか、対地レーダーなども搭載ができる。

Img_2673  88式鉄帽とともに、旧型の66式鉄帽を被った隊員が車上に立つ。即応予備自衛官とは、12年前に開始された制度で、自衛官経験者から希望者を募り、年間30日程度の訓練を行うことで、高い練度を保ち、防衛出動や災害派遣の際に召集を受ける。通常の予備自衛官制度よりも、訓練期間が長い。こうして、偵察隊の殿のもと、観閲行進は終了、訓練展示の準備へと移行した。

HARUNA

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陸上自衛隊 春日井駐屯地創設42周年記念行事 記念式典

2009-03-09 22:53:28 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆春日井駐屯地祭[2009.03.08]

 3月8日に行われた春日井駐屯地創設記念行事。本日から数回に分けて、陸上自衛隊春日井駐屯地祭の詳報を掲載してゆく予定です。

Img_2455  式典に向け、整列する隊員。春日井駐屯地は、1941年に陸軍造兵廠西山分廠としてこの地に造営され、陸上自衛隊が創設されてのちは、1955年に武器補給処西山弾薬支処として再出発。1962年に守山駐屯地の分屯地に、1967年に、第10施設大隊が豊川駐屯地より移駐し、春日井駐屯地が発足した。

Img_2459  部隊整列。奥に見える緑色のバルーンアーチ(全国シェアの80%を占める春日井の名産、小サボテンを模っている)が、春日井駐屯地の正門である。さて、春日井駐屯地の通史を続けたい。分屯地から駐屯地となった春日井駐屯地は、1974年に駐屯地業務隊が新編。1975年に岐阜から第10対戦車隊が移駐、1991年に第10後方支援連隊が守山駐屯地から移駐した。

Img_3612  2003年に、第10師団が師団改編を受け、一個普通科連隊が増強されるとともに、第10対戦車隊が解体、各普通科連隊に対戦車中隊が新編され、師団の対戦車火力は大幅に強化され、軽装甲機動車の配備も開始された。こうして、車両、火力の充実に対応するべく、後方支援連隊も改編を受け、今日に至る。

Img_3628_2  整列した、創設42周年記念式典参加部隊。春日井駐屯地には、第10後方支援連隊、第10施設大隊、第10偵察隊、春日井駐屯地業務隊、第426会計隊、第306基地通信中隊、第130警務隊、第104輸送業務隊が駐屯しており、春日井駐屯地では、1000名の隊員が所属している。

Img_3634  曇り空ではあったが、雨天が予報に出されていたこの日の春日井は、嬉しいほうへ予報は外れ、会場にも多くの観覧者が足を運んでいた。こうして、いよいよ式典が開始される時刻を迎え、春日井駐屯地司令を務める第10後方支援連隊長、間瀬元康1佐が、連隊旗とともに車両で式典会場に入場する。

Img_3642  部隊旗を振り上げて、指揮官を迎える式典参加部隊の隊員たち。春日井駐屯地創設記念行事は、式典開始が1000時からで、観閲行進などが1050時まで。音楽演奏が1050時から1110時まで行われ、訓練展示が1110時から1140時まで、というプログラムに沿って行われた。

Img_3648  連隊長ととにも入場した連隊旗に続いて、日本国国旗入場。国旗が入場する時には、観覧者や招待客は起立して国旗を迎える。国旗は、旗手とともに着剣した64式小銃を持つ国旗衛兵が附いて、会場へ行進して入場してくる。第10音楽隊の演奏を背景に見るこの様子は、非常に厳粛な空気が流れている。

Img_3652  国旗に対し敬礼ッ!捧げッ銃ッ!!、着剣した89式小銃、64式小銃を手に国旗に敬礼する。41センチもの長さに及ぶ64式銃剣を取り付けた64式小銃は、物凄い迫力。春日井駐屯地の駐屯部隊は後方支援部隊と戦闘支援部隊、戦闘部隊とが駐屯しており64式小銃と89式小銃が混在して装備している。

Img_3665  式典であるが、春日井駐屯地祭を見学するには、スタンド席とその周囲から見ることができる。スタンド席は、会場となるグラウンドの二つの方角に設置されており、観閲台となるスタンド席の左右に招待客、そしてその両端に一般席が配置されており、L字型に繋がるもう一つのスタンド席は一般客用となっている。当方一行は後者のスタンド席より撮影。

Img_3679  巡閲。国旗入場が完了すると、音楽隊の演奏を背景に春日井駐屯地司令が整列した各部隊の前を車両にて、廻る。駐屯地司令の乗った73式小型トラックが通過すると同時に、指揮官に向けて部隊旗が勢いよく振り上げられ、隊員は敬礼する。司令も車上から答礼してこれに応える。

Img_3684  春日井駐屯地司令を務める間瀬元康1等陸佐。2008年3月に春日井駐屯地司令として着任、第10師団の兵站を担う第10後方支援連隊長と駐屯地司令を兼任している。連隊長としての要望事項は、団結・挑戦・成長、統率方針は、積極・万全・即応支援、座右の銘は笑顔、健康とのことである。

Img_3691  間瀬駐屯地司令は、訓示において、まず、諸先輩方と隊員、そして式典に駆け付けた市民のみなさんへ挨拶を交わしたのち、春日井駐屯地の隊員は日々迷彩服で通勤し、家を出れば有事即応、武力攻撃から大規模災害まですぐに駆けつけることができるとした上で、いまこの瞬間にも発射さrてるかもしれない、北朝鮮のミサイルの事例などを挙げ、より精強な部隊の錬成へ決意を述べた。

Img_3712  指揮官訓示と共に、国会議員の祝辞が行われ、そして来賓紹介が行われた。多くの方々が紹介されたが、その中に初代統合幕僚長、先崎一氏が紹介された。十年前の第3師団長、統合幕僚会議議長から新しく創設された統合幕僚長のポストに就き、陸上自衛隊のイラク復興人道支援任務への派遣任務などの指揮を執った。

Img_3722  来賓祝辞、来賓の哨戒、そして祝電披露などが行われたのち、観閲行進準備へ、の号令が掛かった。いよいよ式典は観閲行進へ移行する瞬間だ。観閲行進の体形に移行するべく、式典に向けて整列した部隊は、列を解いて、車両が待機している位置へと移動を始める。

Img_3727  第10師団隷下の部隊が駐屯する駐屯地祭では、観閲行進準備の号令とともに、駆け足で車両が待機しているところに向かってゆく。しばらくすると、遠くで車両のエンジンが鼓動を撃ち始める気配が伝わってくる。そして、続々と車両の待機位置に向けて移動が始まる。この観閲行進の様子は、次回の詳報に掲載したい。

HARUNA

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航空自衛隊小牧基地・愛知県営名古屋空港 日曜日の午後

2009-03-08 20:39:49 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆名古屋空港&小牧基地を神明公園から撮影

 春日井駐屯地祭に出かけたので、せっかくだから、と足を小牧基地の方に伸ばした。なにか、それらしいものを撮れるかもしれないという期待を込めて。

Img_4052  KC-767空中給油輸送機。格納庫から一機が出されていた。現在は岐阜基地の飛行開発実験団において、各種試験を実施しているが、間もなく実任務にあたる部隊に引き渡されるため、垂直尾翼に描かれた“飛実団”のマークもそろそろ見納めとなる時期である。今しか撮れない、という意味では貴重な一枚。

Img_4060  今回、一番旬、最も見たい、と思ったのは、日本航空インターナショナルが新しく導入した、エンブラエル170旅客機。ブラジルのエンブラエル社製旅客機で、小型ながらビジネスジェットと小型旅客機の中間にある需要を見込んだ機体で、日本では、先月に運用が開始されたばかりの、文字通り最新鋭旅客機だ。

Img_4062  小牧基地ということで、C-130H輸送機も見ておきたいと思ったのだけれども、はたして休日、それも航空祭でもない時期に、どのくらい見れるのだろうかという、興味もあった。写真は、久々に神明公園から撮ったC-130H輸送機。従来の迷彩塗装に加えて名古屋の鯱鉾を模ったマークが垂直尾翼に描かれている。

Img_4048  小牧基地に駐機されていたC-130H輸送機は、なんと9機。もともと、国際線も乗り入れ、ボーイング747が忙しなく飛び交っていた名古屋空港であるが、国際線ターミナルは県営となって用途が無くなったことからショッピングモールに転用。今日では、航空機というと、自衛隊機の方が表に出てきている。

Img_4063  水色の空に溶け込むイラク派遣用迷彩を施されたC-130H輸送機と、低空飛行した際に山岳地帯や森林に溶け込むよう迷彩を施された従来迷彩のC-130H輸送機が並んでいる。このほか、小牧には救難教育隊のヘリコプターも配備されているのだが、日曜日は格納庫の中に収められているようだ。

Img_4061  KC-767空中給油輸送機用の格納庫は、現在一機分である。しかし、その隣では、もうひとつのKC-767用格納庫と思われる建物が建築中であった。飛んでいる飛行機は、小型ヘリコプターが飛んでいるくらいで、旅客機も自衛隊機も飛ばない日曜日であったが、明日からは、また滑走路は喧騒と活気に満ちた日常が戻るのだろう。

HARUNA

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明日は春日井駐屯地祭(創立42周年) 傾向と対策

2009-03-07 19:04:14 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆春日井駐屯地祭役立たないお役立ち立ちガイド

 明日、3月8日は、陸上自衛隊春日井駐屯地祭。そこで本日は、春日井駐屯地祭の見どころなどを紹介したい。

Img_8445  陸上自衛隊春日井駐屯地は、愛知県春日井市に所在する駐屯地で、第10師団隷下の第10後方支援連隊、第10偵察隊、第10施設大隊などが駐屯している。春日井というと、遠く感じるが、中央線の沿線で、名古屋からも近く、名鉄線でも行くことができる。もちろん、東京から中央特快で行くことはできないが、興味深い行事の一つだ。

Img_3973  式典は、春日井駐屯地HPをみたところ、駐屯地の一般開放が行われるのが0900時から。式典開始が1000時からで、観閲行進など、1050時まで行われる。続いて、音楽演奏が1050時から1110時まで行われ、訓練展示が1110時から1140時まで、という予定となっている。なお、大雨の際には、食堂などで式典のみ、規模を縮小して行うとのこと。

Img_8543  観閲行進は、偵察隊や後方支援連隊、施設大隊など、師団創立記念行事などではどうしても戦車や野砲に注目が行ってしまうため、じっくり見ているようで見ていない装備が登場する。何よりも、後方支援と施設、偵察といえば、災害派遣の華というべき装備でもあり、防災という観点からも自衛隊がどのような装備を有しているのかを知る機会だ。

Img_4058  観閲行進のほか、今年は春日井駐屯地にて、戦車試乗や、高機動車による81式自走架橋装置や施設科部隊が構築した“オフロード上”を走る、とのこと。81式自走架橋装置を見たことはあっての、実際に車両で渡ったという方は、多くはないはず、駐屯地HPでも今年の目玉ということで紹介している。

Img_6822  春日井駐屯地祭で有名なのは、第10偵察隊が中心となって行われる訓練展示模擬戦である。閉所戦闘訓練の模範を示して近接戦闘の展示を行うのは、同じ愛知県の守山駐屯地祭が有名だが、春日井の第10偵察隊も、訓練展示では建物に対する突入などを展示しており、第10師団が大都市名古屋などを想定した都市部の防衛に高い決意とともに訓練を行っていることがみてとれる。

Img_8587  偵察隊ということで、オートバイ斥候の妙技が訓練展示でもいかんなく発揮されるが、もちろんそれだけではない。87式偵察警戒車なども登場し、25㍉機関砲にて仮設敵を威嚇しつつ、部隊の任務遂行を支援する。駐屯地の立地や建物の位置から、74式戦車やFH-70榴弾砲は参加しないが、その分、偵察隊が縦横無尽に走り回り、迫力。

Img_6798  訓練展示の想定は、年々、若干異なるのだが、駐屯地の一角を想定重要施設(例えば原発)と見立て、仮設敵を確認し、排除する。地上からだけではなくロープを使っての突入もあり、三次元一体となった展示が行われるのだけれども、その分、何処から見ても凄味があり、来年はあそこから撮ろう、というような構想も湧いてくる。

Img_8592  慎重に想定占拠された建物に接近してゆく第10偵察隊の隊員。突入には装甲車が支援するのだが、また、装甲車やヘリコプターに気を取られてカメラでパチパチ撮っていると、その隙に突入、という見事な陽動戦術で、偵察隊の隊員が突入する瞬間を撮り逃すこともあった(私だけかもしれないが)。

Img_6825  訓練展示など、空包に驚いてお子様が泣き出す光景は、どこでも見られるが、戦車と野砲が参加しないので、音は小銃と機関銃のみ、ソフトである。また、駐屯地では式典と並行して、装備品展示を六か所で行っており、六か所を回るスタンプラリーも行われる、という家族連れ向きの行事になっているとのことだ。

Img_6823  さてさて、訓練展示は、戦闘を想定しているので、もちろん、戦闘には負傷者が付きもの。第10後方支援連隊は、救急車など衛生部隊を派遣し、訓練展示で発生した想定負傷者を救助するという展示が行われる。その際に、周辺警戒にあたる偵察隊員とのフォーメーションなども、注目してみたい。

Img_6853_1  施設大隊が今年は高機動車の体験乗車に協力し、もうひとつ、装備品展示の海上が六か所となっている、ということは、例年よりも広範に駐屯地が一般公開されるということかもしれないし、訓練展示の内容も、以上に上げたものとは異なっているかもしれないということは特筆しておくが、楽しめる内容であることは違いない。

Img_6867_1  装備品展示は、写真の掩体掘削車のように、一見普通の工事現場にいそうな装備なのだが、聞いてみると全然違う装備だったりするので、注目だ。この春日井駐屯地までは、JR春日井駅から0840~1140時と、1250~1420時までの間、十分間隔でシャトルバスが運行されているとのこと。もし、興味があるお方は、足を運ばれてみては如何だろうか。

HARUNA

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ひゅうが(ヘリコプター搭載護衛艦) 引渡式・自衛艦旗授与式

2009-03-06 12:58:54 | 海上自衛隊 催事

◆3月18日横浜で自衛艦旗授与式

 Weblog北大路機関、昨日が第1111号記事だったようで、先ほどアクセス数は888000を突破、キリの良い番号が続くようで、たくさんのアクセスありがとうごさいます。本日の記事は、この数字を組み合わせて生まれる181。

Img_2204  海上自衛隊公式HP()によれば、3月18日(水曜日)、護衛艦「ひゅうが」の引渡式と自衛艦旗授与式が行われる、とのこと。行事は、1030時から1330時に横浜市磯子区のIHI マリンユナイテッド横浜工場において行われる。行事の執行者は、横須賀地方総監の半田謙次郎海将。行事には海上幕僚長赤星慶治海将、装備施設本部副本部長の上田達朗海将補も出席する。

Img_9132  初代艦長は、山田勝規1佐。行事は、1030時から1035時:引渡式、1035時から1140時:自衛艦旗授与式、1300時から1330時:出港見送り、という予定である。式典は、一般には非公開であるが、磯子海釣り公園から、対岸の造船所が見えるので、造船所の外側から見学することもできる。徒歩で行くと遠いので、JR磯子駅の東口から出ているバスを利用するのがいいかもしれない。

Img_2625 ひゅうが型護衛艦は、現在二番艦も建造中。ひゅうが、は基準排水量13500㌧、満載排水量18000㌧、はるな型の2.5倍にあたる大きさだ。また、海上自衛隊の護衛艦としては初めて全通型飛行甲板を採用し、また、新造護衛艦として初めて、機関砲を除く艦砲を搭載しない、新世代の護衛艦だ。100000馬力のガスタービンエンジンにより、速力30ノット、国産の射撃指揮装置3型を搭載し、全長197㍍。しかし、最大の特色は10機程度の各種ヘリコプターを搭載できる点にある。

Img_2697  ひゅうが、はこの強化された航空機運用能力とともに、有事の際や大規模災害に対しての指揮中枢として機能を果たすべく高い指揮能力を有しているほか、二番艦は、インド洋津波災害に対する緊急人道支援の教訓から、陸海空自衛隊とのデータリンク機能などを盛り込み、物資輸送能力も盛り込んでいる。

HARUNA

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海上警備行動 ソマリア沖海賊対策の実施計画を発表

2009-03-05 21:43:15 | 防衛・安全保障

◆3月14日、呉基地を出航

 海上自衛隊のソマリア沖における海賊対策としての護衛艦派遣について、その計画の概要が報道された。本日は、その概要と注視した点について、幾つか列挙したい。

Img_9856  今回の海賊対策事案は、海上警備行動という位置づけであり、護衛艦2隻、自衛官400名体制ソマリア沖へ派遣される護衛艦は、呉基地の「さみだれ」「さざなみ」の2隻。護衛艦には2機ずつ、計4機の哨戒ヘリコプターを搭載する。また、司法警察業務を行うために、各護衛艦に4名、計8名の海上保安官が同乗することとなっている。

Img_0789 海上警備行動の実施計画は、3月14日に、さみだれ、さざなみ、が呉基地を出航、2~3週間後に現場海域に到着する。海上警備行動の活動拠点は、ソマリアの隣国、ジプチを中心として行う。防衛省は、今後、海運会社から護衛を規模する商船のリストの提出を受ける方針だ。今回の海上警備行動についてが、現在、インド洋とアラビア海において行われている対テロ海上阻止行動給油支援にあたっている補給艦、護衛艦とも連携を行う構想もあるとのこと。

Img_7780  幾つか重要な点があるので、列挙。まず、むらさめ型、たかなみ型が一隻ずつ派遣されるが、定数1機としていた哨戒ヘリコプターが、今回、2機搭載されているということ。もうひとつは、むらさめ型護衛艦の定員165名と、たかなみ型護衛艦の定員176名、これに航空機整備にあたる五分隊が増員されるのだが、それ以外の隊員も乗務している可能性があるとのこと。更に、商船の護衛リストを求めていることから船団護衛方式を採用していること、さしあたってこの三点に気づいた。

Img_1108  ヘリコプター2機搭載について。ヘリコプター搭載護衛艦はるな型、しらね型は別格としても、海上自衛隊は、護衛艦隊の対潜能力向上という観点から、はつゆき型以降汎用護衛艦について哨戒ヘリコプターの搭載を開始し、はつゆき型では一機分のヘリコプター格納庫を有していたが、以降の、あさぎり型護衛艦、むらさめ型、たかなみ型護衛艦は、通常、1機のヘリコプターを搭載しつつも、緊急時にはもう一機のヘリコプターを搭載できるよう、格納庫の容積に余裕を持たせてある。

Img_9115_1  ただし、実任務において、2機の哨戒ヘリコプターを搭載して運用することは、今回が初めてではないだろうか。ヘリコプター2機搭載は、海上自衛隊の護衛艦運用体系に新しい柔軟性を付与させる一例となろう。ただし、むらさめ型護衛艦に比べて、たかなみ型護衛艦の方が、着艦拘束装置用のレールが二条(装置は一基)あり、航空搭乗員心室等の位置、そこから生まれる運用の柔軟性で優れており、この点、どう影響するかが興味の生まれるところである。

Img_2763  もうひとつ、特殊警備隊も乗っていることが派遣される隊員について400名という人数を見れば推測することができる。400名、乗員に59名が加わっている。この数字は、もう一機のヘリコプター搭載に関わって、搭乗員に整備要員と、ヘリコプターにかかわる人員の数を上乗せしても、もともと航空関係の五分隊は、管制や施設管理などの要員も含めて編成されており、一機増えることで倍増するわけではない。この人数には、特殊警備隊も含まれていると考えることができよう。

Img_7774  特殊警備隊は、北朝鮮の工作船侵入事案に際しての海上警備行動、はるな・みょうこう・あぶくま、が参加した十年前(十年前の3月22日、奇しくも本当に十年前だ)に発令された最初の海上警備行動命令に際して、その必要性が痛感され編成された部隊で、拿捕した工作船に対する臨検と、必要であれば強行制圧も想定している部隊である。現在、特殊部隊としては、陸上自衛隊の特殊作戦群が自衛隊に置かれており、イラク派遣任務にも殿として出ているようだが、重ねての実任務対処に当たることとなり、その力量が試される機会となる。

Img_7513  ヘリコプターの増強、人員の増加。たかなみ型護衛艦は、もともと紛争時などの邦人輸送を想定して、科員室の二段ベッドを、必要に応じて三段ベットと変更できるようになっている。むらさめ型護衛艦と、たかなみ型護衛艦は、外見上、砲が3インチ砲と5インチ砲、垂直発射装置の種類と位置が違う程度であるが、内部は相当異なる為、一概には言えないものの、一応、一連の乗員増加には対応している設計ではないだろうか。

Img_7406  極めて重要なのは、船団護衛方式を採っていることだ。これは防衛省が海上自衛隊の護衛艦による護衛を希望する商船のリストを海運会社から受け付けることが、船団護衛方式を採ることを示している。サーチ&デストロイ方式での海賊対策となれば、疑わしい船舶を発見したとしても、それが海賊船か、占拠された一般商船なのか、見分けるのは難しい。たとえ疑わしい航行を行っており、船橋を見るとG-3やAKMで武装した覆面の一団がこちらを威嚇してきたとしても、撃沈することにはリスクがあり、誤って占拠された民間船舶を外国艦船が攻撃し、乗組員もろとも撃沈した事例もある。

Img_9660  対して、船団護衛方式であれば、もともと護衛するべき船舶が分かっているのだから、識別は容易だ。もちろん、第二次世界大戦中のような船団を組むわけではないだろうから、ヘリコプターを駆使し、護衛艦との定時交信を以て安全を確認するという方策が用いられるのだろうが、それでも、識別の手段があるというのは心強い。全般的にみても、様々な状況を想定した準備体制にて臨むようだ。

 他方で、護衛艦の航行する海域と商船の航行する海域を調整できるのについて、つまり二隻で充分なのかと問われれば、疑問符は残る。加えて、どの程度派遣を行えば終息するのかについての見通しも、ソマリアの治安機構再建にかかっているため、今なお不透明だ。

 海は広大である。

HARUNA

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ブルートレイン:特急富士(東京-大分)/特急はやぶさ(東京-熊本)

2009-03-04 18:24:43 | コラム

◆京都駅ブルートレイン撮影記

 京都駅ブルートレイン富士はやぶさ号撮影、いよいよ廃止間近のブルートレインは、どれだけ撮影しても撮り過ぎということはない。前日と同じ場所から、同じブルートレインを撮影した。

Img_2000  東京から列車の名前の由来となった霊峰富士を望見しつつ太平洋に沿って東海道本線を名古屋へ、名古屋からはかつての難所関ヶ原と近江の湖畔を一路走り、長躯、京都に到着した寝台特急富士はやぶさ号。時計に目を移せば、ブルートレインは、東京駅を出発してから、既に六時間半を経ようとしていた。

Img_1997  京都駅六番線に到着するブルートレイン富士はやぶさ号。二日連続の撮影を行った背景には、前日の撮影は、制約上、立ったまま撮影したため、上から目線でブルートレインを写したかたちとなった。しかし、極力、低い目線から仰ぎ見た方が列車は写りがいいだろう、そういうことで、再び夜の散歩、ということになった。

Img_2008  長大な編成が京都駅に滑り込んでくる。アーバンネットワークの新快速は十二両編成、東海道新幹線はより大型の車両にて十六両編成。決して今日のブルートレインは長い、という印象は無いのだけれども、電気機関車に牽引されて、ゆっくりと滑り込む独特の音と、客車の醸し出す雰囲気は、より存在感を強調する。

Img_2009  EF-66電気機関車は、高度経済成長時代、多数の電車や列車が行き交い、輸送能力の限界が指摘されていた東海道本線、山陽本線において、1000㌧の貨物を可能な限り高速輸送するために開発された強力な電気機関車で、この機関車が牽引していることが、この東海道、山陽道ブルートレインの象徴、というような印象も感じる。

Img_2011  ヘッドマークを掲げて富士はやぶさ号を牽引するEF-66電気機関車は、かつて、九州ブルートレインの、あさかぜ、さくら、などを牽引したEF-66や、今も日本海縦貫線を行くブルートレイン日本海、豪華寝台特急トワイライトエクスプレスを牽引するEF-81と比べると、流線形でスピード感溢れる形状が嬉しい。

Img_2012  もちろん、九州に入れば、電気機関車は替わるのだけれども、かつて時報代りに眺めたブルートレイン、2000時の京都駅発車へ、0800時近くの京都駅到着へ、現在では廃止され、歴史の中に引き込まれていった寝台特急なは・あかつき号を牽引したEF-66の力強い姿を思い出す。

Img_2016  先日、さくら号の復活というニュースが流れた。ブルートレインさくら号が廃止されたのは、2005年、しかし、さくら号が新しく九州新幹線・山陽新幹線直通列車の愛称として復活するとのこと。もしかしたらば、富士号、はやぶさ号も列車としては、いつか新幹線に生まれ変わることもあるのだろうか、という期待も湧いてくる。

Img_2027  他方で、現在、豪華列車、プレミアムトレインへの需要というものは、一応あるようだから、広々とした個室寝台、窓を大きく設計した食堂車、ダブルデッカー車に組み込まれた個室寝台や、格安で乗れるダブルデッカーのレガートシート車とミニサロン、などを組み合わせて、豪華なブルートレインとすれば、九州への非有効時間帯における旅客輸送の需要はあるとも思うのだが。

Img_2030  ブルートレインの明日を考えると、豪華列車とする以外にも、例えば新幹線と相性の悪い空港を、在来線にて運行されるブルートレインで結ぶ、という方法もあるように思う。関空と成田を結ぶ、伊丹と羽田の最寄駅を結ぶ寝台特急、というのもあっていいのでは、と。朝一の旅客機に間に合うダイヤを組み、アピールすれば、利用者もあるのではないか。

Img_2037  開放型B寝台の場合、これはかなり前の話、三段式から二段式としたことで、寝台料金が上がってしまっているが、寝台券と同じ料金、安い料金のビジネスホテルが普及し、新幹線が高速化する中で、どうしても釣り合わないように思う。特急料金と併せると、これ、もう少し安ければ、と思うのだけれども。

Img_2047  さて、富士はやぶさ号、いよいよ出発時間が迫ってきた。既に、京都駅の新幹線ホームは、運行を完全に終了しており、近鉄京都駅も回送電車を蛍光灯が照らしている。在来線も、京都駅の最終電車一本を残すのみ、これからは、夜行列車としてのブルートレイン、本領発揮というべき線路を進むのみだ。

Img_2052  特急はやぶさ号。平日なのだが、廃止間近の列車は、どの列車も同じであるように、かなりの乗車率。それにしても、いつ寝るのだろうか、というくらい、車内は盛況のようで、ビデオカメラにて車内から撮影している方もいた。もしかして、これまでの停車駅も全てそうしたのだろうか。

Img_2066  はやぶさ号と、富士号を連結している部分。はやぶさ号が先頭なので、はやぶさ富士号、と表記するべきなのかもしれないけれども、EF-66に掲げられたヘッドマークは、富士はやぶさ号、となっているので、このように表記している。ちなみに東京行きの編成は、富士はやぶさ号、という順番の編成となっている。

Img_2073  富士号。ゆっくりと加速していったブルートレインは、既に富士号が目の前に来る瞬間には、速度を上げていて、すこし写真がブレてしまった。ISO感度とシャッター速度を瞬間瞬間にマニュアルで設定して撮影するのだけれども、方向幕の部分は、もう少し速い速度で撮ってもいいのかもしれない。

Img_2080  前日とは異なり、今回は跨線橋を渡って停車している六番線に移動はせずに、そのまま最初撮影した五番線から発車する列車を見送った。時間は深夜、冷え込む京都駅のホームから、撮影に足を運んだブルートレインファンの方々は、液晶にて収めた列車の雄姿を確認しつつ、家路についていった。

HARUNA

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ブルートレイン富士・はやぶさ号 最後の東海山陽道ブルートレイン

2009-03-03 20:39:46 | コラム

◆寝台特急富士はやぶさ号京都駅到着

 寝台特急富士・はやぶさ号、1800時に東京駅を発車し、東海道本線、山陽本線を経て九州に向かうブルートレインだ。

Img_1445  かつて、寝台特急とは、東京から大陸方面に向かう優等列車として優美を極め、戦後は九州と首都圏を結ぶ夜行列車の花形であった。しかし、新幹線特急網は、夜間という時間帯に跨らずとも、九州と首都圏を結ぶことが可能となり、ブルートレインは、時刻表の列車から歴史の中に押し出されようとしている。

Img_1442  廃止までカウントダウンという状況に至る、最後の九州ブルートレイン、最後の東海山陽道ブルートレイン、そして東京駅に向かう最後のブルートレイン、富士はやぶさ号が京都駅に到着する。長大な編成の寝台特急を運行するために、強力なEF66形電気機関車が力強くけん引している。

Img_1443  大分駅に向かう、寝台特急富士号と、熊本駅に向かう寝台特急はやぶさ号。1800時という比較的早い時間帯に東京駅を発車したこのブルートレインも、京都駅に到着したのは0035時、発車時刻は0037時。賑わうアーバンネットワークの新快速網も運行を終了している時間帯に、夜行列車という響きそのままに到着。

Img_1447  0037時という時間帯は、京都駅と北大路駅を結ぶ地下鉄はすでに終電が発車した後であり、駐車場なども営業を終了しているところもあるのだが、京都駅には少なくないブルートレインファンがカメラを並べていた。乗車する人は疎らであるが、廃止間近の列車に共通するように車内は満員の活況。

Img_1454  京都駅6番ホームに滑り込むように停車。ブルートレインの定義として、ブルーの客車寝台車を用いる特急、という定義があるが、それと同時に、夜行列車の最上級としての位置づけと権威があった。しかし、その権威を支えた食堂車もロビーカーも切り離され、ビジネスホテルと同じ値段の開放型寝台と、カプセルホテルのような個室寝台が取り付けられ、車窓と響きに押されて今日に至る。

Img_1455  撮影位置を6番ホームに移動、ちょうど、発車のための安全確認が行われているのだが、乗客も寝間着のまま、デジタルカメラを手に京都駅に、数秒間の“途中下車”を楽しむ。どこからの乗客だろうか、京都駅を撮影している。この先、大阪駅を出発すれば広島駅、そしてその後しばらく進めば九州である。

Img_1471  1号車から6号車が、はやぶさ号。7号車から12号車が富士号である。従って、九州に向かうブルートレインの最後尾には、“富士”の姿が勇ましい。そろそろ発車の時間が迫っていることからも、乗客は再び寝台へ、京都駅には、深夜の、あるべき静寂が戻り、乾いたシャッター音が重なって響いている。

Img_1481  0037時、京都駅をブルートレイン富士はやぶさ号は、ゆっくりと出発していった。近代的な京都駅の駅ビルを背景に、新幹線でも行くことが出来ない程の長距離を行くブルートレインは、次の駅に向かって足を進めてゆく、京都駅は最終の野洲行きを残して、その日の営業運行を終了しようとしている時間だ。

HARUNA

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ソマリア沖海賊対処事案 図上演習にて省庁間の連携体制を確認

2009-03-02 22:01:31 | 防衛・安全保障

◆呉と目黒にて明日まで実施

 本日と明日にかけて、呉基地と目黒の海上自衛隊幹部学校にて、防衛省、国土交通省、外務省といった関係省庁が参加し、省庁間の連携を確認する図上演習が実施されている。主として、海上幕僚監部、統合幕僚監部、内局が図上演習を実施、これに関係省庁が参加するかたちで実施されているようだ。

Img_0787  いよいよソマリア沖に護衛艦が派遣される日も近くなってきた。海賊は、私人による行為であるから、憲法が禁止している国際紛争の解決手段として武力を用いるわけではないので憲法上の問題はない。ただし、日本向けの物資が載せられた船舶、日本人乗組員が乗船している船舶をどのように見分けるのか、また、これらに該当しない船舶が救助を求めてきた場合にはどうするのか、など、問題は多い。

Img_1363  今回行われている図上演習では、派遣部隊と、対抗部隊(実際に、対抗部隊、と称しているようなのだが、妙な響きだ)、他国海軍、関係商船、と別れて訓練を実施している。今回の図上演習では、先に列挙した問題への対応に加え、外務省や海上保安庁との協力や、各国海軍艦船との連絡調整なども訓練している。

Img_2723  加えて、武器が使用できる状況かの判断についても検証されているとのこと。海賊対策のために海上自衛隊が派遣できないか、と提案された昨年末では曖昧模糊としていた準備体制であるが、既に、海上保安庁と海上自衛隊との実動訓練も行われており、海上自衛隊は万全の体制で、アフリカ沖に出動することとなる。

HARUNA

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