藤田英一先生が83歳で亡くなったという訃報が2,3日前の新聞に出ていた。大阪大学名誉教授で金属学が専門の先生である。
藤田先生に直接的には私は関係がないのだが、親友のY君の属していた講座の教授であった。
人柄もよく、学問的にも尊敬できる人だったという。Y君は藤田先生のもとで学位も取ったし、助手もしていた。だから後で私がY 君と同僚になったときにも藤田先生のことは何度か聞いた。海軍兵学校の出身で戦後に東大に入りなおされたらしい。
私たちが物理を教わったことのあるO先生に藤田先生も海軍兵学校で教わったので、Y君のO先生をあまり評価しないという、O先生評には賛成されなかったと聞いている。
また、私の勤めていたE大学の金属工学科に多年にわたって非常勤講師として講義に来られていた。そのときに学生が講義を聞いて感激して、はじめて金属学の面白さを知ったという。
これは私は学生から直接聞いた話ではなく、その当時金属工学科に所属していたある先生Mさんから聞いたことである。
学生を感激させるような講義ができる先生はすばらしいと思う。私などは学生を感激させるどころか、嫌悪感さえ抱かせたようである。私の人間性が素直でなく、ひねくれているせいだろうか。